協同乳業研究所 農学博士 松本光晴のブログ

ビフィズス菌LKM512研究スタッフ松本光晴博士が
お腹のためになる情報をお届けします。

2021年02月05日LKM博士
書籍がでました!(腸内微生物叢最前線) (続編:綺麗な図)

昨日紹介した「腸内微生物叢最前線 ~健康・疾病の制御システムを理解する~」
の図についての余談を少し書く。

昨日紹介した通り、執筆にあたり綺麗な図が要求された。
そこで私は3つの図を作成したが、図2として載せている以下の図は、週末返上で2日間パソコン前に座って作成した力作である。

20210205.JPG
(著作権等の問題があるので、本ブログでは敢えてはっきり読めないように載せている。悪しからず)

この図は、編集部から「非常に美しく仕上がっているので、編集部としては改変・編集を一切入れずに掲載させて頂きたい」といわれた(自慢)。

「ポリアミンの動脈硬化予防機構」とした本図は、何年間も私のウンコ色の脳内にしか存在せず、何かあるごとにアップデートし続けていた複雑なメカニズム(一部推測を含む)を具現化したものである。

ポリアミン(polyamine)を生体に供給すれば、なぜ、動脈硬化が予防できるのか?
主として、以下の4つを図で解説している。
1.血管内皮細胞と血管平滑筋細胞内でポリアミンによりオートファジーという現象が促進され、それら細胞の健常性が維持できる。特に血管内皮細胞が健常であることは血管柔軟性の維持に繋がる。
2.悪玉コレステロールが血管組織内侵入すると、それを退治するために免疫細胞が血管組織内に入ってくる。これが動脈硬化のスタートであるが、ポリアミンは免疫細胞が血管組織内に入るための接着因子の発現を抑える。血管内を流れている免疫細胞が血管組織内に入るには、一旦、血管壁にくっつかねばならないが、くっつくための手を出さないようにするのである。
3.抑え切れず血管組織内に免疫細胞が入ってきた場合、多量に存在する悪玉コレステロールと戦うためにさらに仲間を呼び寄せる(伝令物質を作る)が、ポリアミンはその作用を抑える。(際限なく侵入してくる悪玉コレステロールとそれを退治する免疫細胞との終わりなき戦いは、悪玉コレステロールを細胞内に溜め込んだ多量の免疫細胞の死骸を量産し、それがプラーク(塊)となり、その結果、血管内腔が狭く、且つ血管壁が硬くなる。まさにこれがアテローム性動脈硬化である。)
4.プラークが形成された場所が破裂すると、その部位に血小板が集まり、それが固まり血栓となる。ポリアミンはここでも活躍し、この血小板の凝集を抑える作用がある。

つまり、ポリアミンは、一つの作用ではなく、二段、三段、四段構えで動脈硬化を予防するのである(一部、証明されておらず確認中の箇所がある)。

ふ~っ 図の自慢をするだけのつもりが、少々熱く書いてしまった。
ご参考まで。

前の記事< | トップへ戻る | >次の記事