協同乳業研究所 農学博士 松本光晴のブログ

ビフィズス菌LKM512研究スタッフ松本光晴博士が
お腹のためになる情報をお届けします。

2019年11月28日
突如大発生した気持ち良くない虫(閲覧注意)

先月、気持ち良くない虫が研究所の周囲の歩道に大発生した。
虫慣れしている私は、一般人のように「気持ち悪い」と大騒ぎする程ではなかったが、決して気持ちの良い様相はしておらず、「気持ち良くない」という表現が適切である。
特に集団で出現した点が生理的嫌悪感を助長させていた。

20191128-1.JPG

私も初めて見たため、当初、名前はわからなかった。
昆虫の幼虫であるということはわかるが、何の仲間の昆虫か検討もつかなかった。
このようなことは昆虫に興味を持ち40年以上経過した私にはほぼ無く、屈辱的でもあった。

その後、ある研究所員がインターネットで探し当てたこの昆虫の正体は、
ケバエの幼虫!

ケバエの成虫は知っていたが(よくカマキリの餌にしていた)、まさか、幼虫時代にこんな姿とは知らなかった。
どのような成虫かは、興味がある方は各自で調べて頂きたい。
幼虫のようにグロテスクではないので怖がる必要はない。
調べると、この幼虫、晩秋に大発生することがあるようである。

2mとなりには、こんな集団が・・・

20191128-2.JPG

ピーク時にはこのような島(コロニーというべきか?)が僅か1m×20m程のスペースに5つも存在していた。

湿気た泥や僅かな苔が生育するコンクリート上で何を食べていたかが謎である。
そもそも動きが少なく、餌を探し求めている雰囲気はない。
ウィキペディアによると「自らの糞を活発に摂食する」と書いてある。
餌が糞なら、確かにコンクリート上でも食べ物に困らずに生育できる。
なんて効率的な生き物なんだ・・・しかもこのブログ向き(やや感動)。

2週間程大発生し、その後、忽然と姿を消した。
消えてしまうと、話題にもならない。

記憶にも記録にも残すためブログ化した。
ケバエの幼虫 二度と忘れないであろう。

2019年05月30日
無事目覚めました

飼育中のアマガエルは、今年も冬眠より生還しました。
起きて、しばらくは鈍いのですが、
先日の猛暑で完璧に目覚めたようです。

20190531.png

飼育ケージの蓋を開けると、こちらを見て飛び掛かる態勢になります。
特に、写真上側の個体は、今にもジャンプしそうです。
「餌をもらえる」とわかっているのでしょうか?
そこまでの知能は無いと思われるので、
おそらく、カメラか私を獲物と思っているのでしょう。

今年も、大好物のバッタやクモを沢山捕獲してあげようと思います。
畑に棲息しているウヅキコモリグモ(※)を自宅の植え込みに移植して、結構個体数が増えておりますので、調達が楽になるはずです。

※参照ブログ⇒
四月といえばこのクモです(https://lkm512.com/blog/images/2013/04/post-574.html
ウヅキコモリグモ(子守り個体)(https://lkm512.com/blog/images/2014/09/post-778.html

ちなみに冬眠は英語でHibernationといいます。
殆ど使う場面はありません。

2018年11月13日
カネタタキ

毎年、当社研究所内に侵入して鳴く虫の筆頭はこいつであろう。

夜、静まる研究室の中で、「チッ、チッ、チッ、チッ」と鳴く
人によっては、「チン、チン、チン、チン」と聞こえるらしい。

この音が鉦を叩く音に聞こえるので、「鉦叩き」。
ゴーンの鐘ではない、チーンの鉦である。

うるさくはない。むしろ音は小さい。
ただ、それ程美しい音色でもない。
私にとっては、年末までに論文投稿を終えようと、
秋の夜に、一人で頑張っていると聞こえて来る音で、
秋の風物詩のように感じる。

20181113.jpg

2週間程前、あまりにも私にアピールするのでスイッチが入り、
探して、捕獲して、発泡スチロールの上に放置して撮影。
少々ピントがあまいのは、動きが素早いからである。
通常のデジカメでは、ぶれない写真を撮るのは難しい。
触覚を小さく猛烈なスピードで動かす。

若干1cmと数mmの小さな昆虫である(図鑑的には0.9~1.5cm)。
この個体は、腹巻みたいな翅があるのでオスである。
この短い翅で音を出している。
メスには翅が無く、鳴かないので発見するのが難しい。

バッタ・コオロギ・キリギリスの仲間であるが、
カネタタキ科として一つの科に分類されている。

【捕獲時満足度】6(満点10)
小さいので野外で捕獲するのは結構困難.筆者自身、建物内での捕獲経験しかない。
(捕獲目的で探索したこともないが...。)

2018年08月02日
アオモンイトトンボ

暑いのでセミよりトンボでしょ!
(この感覚、わかりますかね?)

今日は、種を識別するのが結構難しいイトトンボを紹介しよう。

201808021.JPG

アオモンイトトンボである。90%以上の確率で...。

オレンジ色なのにアオモン(おそらく漢字で書くと青紋)なのは、
オス(全て)とメスの半数位(比率は生息場所により異なる)が、胸部の両サイドと腹部の先端域(正確ではないがしっぽの先といえる場所)がスカイブルーの綺麗なイトトンボだからである。
さらにややこしいのは、メスが、上に示したようにオスと同じブルースカイ色の個体の他に、色あせた枯草色っぽい個体と本個体のように鮮やかなオレンジ色個体も存在することである。
つまり、オス型のメスと、それとは異なる異色型のメスが存在し、
異色型メスは枯草色タイプとオレンジ色タイプが存在するということである。
一般的には、この写真の個体のような鮮やかなオレンジ色個体は未熟型で、
時間の経過と共に枯草色に変化し、枯草色タイプが成熟個体といわれている。

しかし、私はオレンジ色の未熟型が交尾をしている姿を何度も目撃したことがあり、
成熟度合いで色が変化するのではなく、単純に体色が異なるタイプではないかと考えている。
専門家ではないし、確認実験をするつもりもないが、そう考えている。

接近してアップでお顔拝見
201808022.jpg

間違いやすいのがアジアイトトンボという種類で、ややこしい。
腹部の第8節とか第9節の色が・・・
ということであるが、オスやオス型メスの識別法と、異色型メスの識別法が異なり、
マニアック過ぎるので説明は省く。

本個体に関しては、腹部第一節が黒くなくオレンジ色が主な色なので、
アオモンイトトンボのメスの異色型と判定した。

【捕獲時満足度】6(10点満点)
そんなに珍しい種ではないし、発見したら捕獲は簡単。とはいえ比率的に少ないオレンジ色型なので1ポイントプラスしておいた。

2018年07月04日
セスジスズメ

虫嫌いさんには、要注意ブログである。
(私は気が利くので、虫嫌いさんの目に、いきなり写真が入らないように行数を稼いであげよう 笑)

どうしても、スズメガの仲間の撮影に成功すると紹介したくなる。
スズメガとは蛾の仲間で、分類学上のスズメガ科に属している昆虫を指す。
結構大型の蛾で、もし室内に入って来ると、決して無視できない存在感を放つであろう。

さて、先日、羽化直後のセスジスズメを発見した。
まだ上手に飛べない状態で(数秒の飛翔、1m位で着地)、
且つ、翅が全く傷ついていない美しい状態であった。
標本系の虫屋(虫愛好家)なら、絶好の標本対象となる素晴らしい個体である。
完璧なシャッター・チャンスということで1枚パシャリ

20180704.JPG

枯れた植物の中では同化する芸術的な模様と色である。
スズメガの仲間を紹介する度に書くが、
この胴体のモフモフ感じと
ステルス戦闘機のような形態に魅かれる。

おそらく、胴体に一本通った白い筋が、名前の由来と思われる。
漢字で書くと、背筋雀である。

この蛾は、幼虫時代の迫力が凄い。
スーパーヘビー級のイモムシで、色使いもなかなかのものである。
怖いモノ見たさで見てみたい方は、インターネットで検索して頂きたい。

最後に、これまでに紹介したスズメガの仲間一覧を!
ホシホウジャク
ウンモンスズメ
クロメンガタスズメ(蛹)

2017年09月15日
ケラ

珍しい虫を捕まえた!

20170915-1.JPG

タイトルがなければ名前すらわからない人が多いと思う。
ケラである。

童謡「手のひらを太陽に」の
ミミズだーって、オケラだーって、アメンボだーってー♪
のオケラである。
正式には"オ"は不用で"ケラ"である。

なにしろ、殆ど地中で生活しているわけで、
そう簡単には捕獲できない。

昆虫図鑑でしか見たことがなかったケラを
初めて本物を見たのは小学校の校庭の隅っこ。
草むしりをさせられていた時、
大きい石をひっくり返したら3匹のケラがいたのを今でも鮮明に覚えている。

興奮して捕まえたが、
図鑑から想像していたのとは異なる速い動きと、
掌に乗せた時、指の間に潜ろうとするそのパワーに驚愕した。

休み時間は友達と遊ばず、こっそりケラの所に行っていたが、
3日後位に姿を消してしまった後、出会うことがなかった。
それ以来の遭遇である。

今回、改めて掌に乗せたが、あのパワーは健在であった。
虫嫌いの人なら気絶必至と思う。

20170915-2.JPG

この前脚は凄い!
穴掘り用に進化し過ぎている。
昆虫なのに指みたいになっている。
モグラと同じである。
昆虫と哺乳類、全く異なる生物なのに、
土の中で生きていく中で、
かなり類似した形態になるのは、
進化の不思議を強烈に感じる。

飼育したかったが、たぶん難しそうなので逃がした。

【捕獲時満足度】10(10点満点)
むやみに土を掘っても出会える相手ではない。まだ人生2回目なんですから、当然でしょ。

2017年08月24日
ショウリョウバッタ

決して珍しくはないが、この夏撮ったデジカメの写真を見直していると、
オス個体、メス個体の写真があり、
且つ緑色個体、茶色個体であったのでブログ載せてみた。
ひらけた明るい草原を好む。ショウリョウバッタである。

緑のオス。約5 cmである。
201708241.jpg

近付くと5~10 m位は翅を使って飛ぶ。
チキチキと音がするのでチキチキバッタとの俗称がある。


こちらは茶色のメス。約9 cmである。
201708242.jpg

デカい。国内最大のバッタである。
オオカマキリを飼育している虫かごに生餌として入れても、
時々カマキリの方が驚いて逃げ惑う時がある位の大きさである。

身体が大き過ぎるせいか、ジャンプ力なく動きが遅い。
小さい子供でも素手で捕まえられる。
一方で、一部の子供はその大きさに恐怖を感じるようで触らない(触れない)。
無理に近付けると泣く子もいる。

両後脚先端部を揃えて持つと、ジャンプしようとする動きにより、
身体が大きく上下に揺れる。その動きを何度も繰り返す。
その動作からコメツキバッタとの俗称もある。
そうやって、2分間程、子供に遊ばれることが多い。
私も捕獲すると、とりあえずやってみる。
ただ、すぐに飽きて開放してしまう。

緑色型の方が個体数は多い。
色の違いは環境由来(枯草や土が多い環境だと茶色化、一面が青々した草だと緑色)、
すなわち保護色ということであるが、
決定的な因子はおそらくまだわかっていない。

上の写真、なぜ、好物ではないナスの上にいたのかはわからない(イネ科が好物)。
ただ、少し枯れたナスの葉や茎、また葉脈と妙にマッチしており、
こいつがピョンと動くまで存在に気が付かなかった。

【捕獲時満足度】 雌雄共に2(10点満点)
捕獲による喜びはほぼ感じない。なぜ、撮影したのかすらわからない。

2017年05月31日
カエル達は元気です

もう4年目に突入した飼育中のアマガエル達は元気であることを報告しておく。
4月末に冬眠から覚めて普通に生活している。

今年は、新しい飼育環境を試している。
コケの絨毯みたいなものを飼育ケージの中に設置してみた。
すると結構気に入ってくれている。
夜間は、大概、この上に乗っている。

20170531.jpg

コケと書いたが、この植物は本当にコケなのかはわからない。
この植物、一般的なコケより背が高く、高いものでは数cmある。
調べる気がしないので、本ブログではコケ様植物と記述する。

奈良の実家の庭のジメジメとした場所に群生しているコケ様植物を
根から掘り起し、持って帰って来た。
豚こま切れ肉が入っていたトレイに適当に赤玉土と腐葉土を入れて、
その上に苔様植物を載せて、霧吹きで管理している。
乾燥すると枯れてしまうデリケートな植物である。

カエルは体表から水分を取り込むので、
塗れているコケ様植物に潜って、
身体を潤していると考えられる。
別に水を溜めた容器も置いているが、
最近は、もっぱらこちら側にいる。
相当、このコケ様植物絨毯を気に入ってくれたのだと思う。

ところで読者の皆さん
上の写真に、カエルが2匹いるのに気が付きましたか?

2017年04月14日
脱衣変態

「えっ、何が書いてあるの?!!!」とページを開いたそこのあなた。

残念~。

今朝、ダイコンとサンチュの種をまいた寒冷紗で、
蛹化中のテントウムシを見つけました。
「蛹化」は「ようか」と読みます。
完全変態する昆虫が、幼虫からサナギ(蛹)になる時の変化(変態)を意味します。

作業前、グレー色の幼虫の身体の背中が割れて、
脱皮が始まったところだったのですが、
作業が終わってみていると、既にサナギになっていました。

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卵黄色でピカピカです。
サナギ根元(写真では上側)にある黒っぽい物体が、
脱ぎ捨てた皮です。

観察しているとモジモジと動いています。
繰り返す背筋トレーニングのような反る動きを撮影。

170414-2.jpg

1枚脱いで寒いのか...。
突然、動けなくなった自分への苛立ちなのか...。
まだ幼虫っぽい動きです。

次に皮が破れると、あのテントウムシが出現するという事実は、
考えれば考える程、理解不能の頭パニックに陥る私であります。

2017年03月23日
発掘サナギ(クロメンガタスズメ)

土の中からこんなものを発掘!


170323-1.jpg


「ん????」と思われた方が殆どではないだろうか?
なにか象の鼻っぽいものが付いている・・・。
ヒンズー教の神様の偶像を発掘したのではない。


おそらく、これはクロメンガタスズメのサナギである。
この角度から見れば、サナギであることがわかるだろう。


170323-2.jpg


クロメンガタスズメというのは蛾の一種。
スズメはスズメガ(雀蛾)科に頻繁に使われるネーミングである。
メンガタは漢字で書くとおそらく「面形」で、
人の顔(骸骨)のような模様が背面にあることに由来している。
クロは「黒」が由来。3種存在するメンガタスズメの中で黒いからであろう。
見てみたい方は、「クロメンガタスズメ」で検索することをお薦めする。
意外としっかりしたドクロマークである。


スズメガは結構大型の蛾で、胴体が蛾らしく極太で、
幼虫時代は、角のある10cmを超えるスーパーヘビー級イモムシで、
虫嫌いには耐えられないタイプの蛾と思われる。
飛翔能力が抜群で、捕獲不可能な高速スピードで飛ぶ。


私は結構好きで、記憶が正しければ、スズメガ科の蛾を本ブログで過去に2回紹介したことがある。
参考ブログ①⇒ホシホウジャク
参考ブログ②⇒ウンモンスズメ


象の鼻のようなものは口器である。
羽化したらグルグル巻きになり、食事の時に伸ばす太めのストローである。


何故、クロメンガタスズメとわかるのか?
実は、発掘現場は半年前の空芯菜を育てていた場所。
そこにでっかいクロメンガタスズメの幼虫がいたのを記憶している。
食べ切れない程に空芯菜があったので育てていた。
蛹化時(サナギになる時)に地中に潜るのだが、
忘れてその場所を耕していたら偶然出てきたのである。


持って帰って羽化させようと畑の片隅に置いておいたが、


片づけをしている間に、野鳥が持って行ってしまった・・・。

2016年06月27日
カラスアゲハ

優雅に飛んでいる黒いアゲハがいたので撮影した。
優雅というのは、飛翔スピードが遅い(羽ばたき数が少ない)という意味である。

160627.JPG

黒い大きな蝶なのでクロアゲハと片づけたくなるが、
国内には、他に黒いアゲハは何種類も存在する。
クロアゲハの他に、カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、ナガサキアゲハ、モンキアゲハ、ジャコウアゲハ、オナガアゲハ...。

発見場所や環境で、ある程度、種を絞ることは可能である。
黒く進化しているだけあり、山間部を主たる棲息場所としている種が多い。

この個体はほぼ間違いなくカラスアゲハのメスである。
緑や青に輝く模様は、カラスアゲハかミヤマカラスアゲハの特徴である。
前翅の外縁の淡い白帯(白っぽく反射しているように見える箇所)が、
前縁に向かうほど幅が広がるっているのでミヤマカラスアゲハではないと判断した。
尾の方に赤い模様があるのはカラスアゲハの場合、メスの特徴である。

個体差が大きいが、もっと青緑色が強く鮮やかで、見とれる位に美しい個体も多い。
また、見る角度により輝き方も異なる。

山間部を好み市街地には少ない種なので(幼虫の食草が市街地に少ない)、
都市部在住の昆虫に興味がない方は本種を見たことが無い方も多いであろう。

【捕獲時満足度】8(10年満点)
市街地ではあまりお目にかかれない貴重さがあり、且つ美しいので高得点。飛び方が優雅(=遅い)であるため、発見時に花に夢中であれば、普通の運動神経の持ち主なら簡単に補虫網で捕獲できる。

2016年06月03日
遺伝子配列に頼り過ぎ?

久しぶりに本ブログで昆虫を取り上げようと書き始めたが、中断した。
いや、中断せざるを得なかった。

これまでも、昆虫を紹介する時は、その種名も紹介してきた。
しかし、今回の昆虫は種名に確信を持てないのである。
基本、飼育は好きだが分類は苦手なタイプ。
もちろん、未知の昆虫は沢山存在するので、
そういう類の昆虫の紹介なら多少曖昧でも問題ない。
しかしながら、今回はメジャーなチョウである。
この種かあの種というのはわかるのだが、そこがわからない。

最近の細菌学では(ダジャレではない)、こういう時、躊躇なく遺伝子で調べる。
大した労力もお金もかからないので、その方が楽で正確で賢明ある。
おそらく、直近の10年間に細菌学の世界に入った若い研究者は、
形態的特徴や生化学的特徴を調べるより先に、
遺伝子配列で菌種を同定するという手段を十中八九選択するであろう。
実際、我々もウンコ菌叢を調べるのに遺伝子配列を読みまくる仕事もしている。

そういう仕事をやりながらも、
私は、コロニー(培地の上に生えた菌の固まり)観察や顕微鏡観察から
細菌学と触れていったタイプなので、
正直、遺伝子配列至上主義には多少の違和感を持っている。

そんな私でも、このチョウの種の判定に関しては、
遺伝子配列で確認したいという欲求が強い。
私自身が遺伝子配列に頼ることに、どうやら慣れてしまっているようである。
自分で驚いた。

もちろん、それは無理なことである。
現物個体(チョウ)がないから、遺伝子を得られない・・・。

従って、昔ながらの形態学的手法で図鑑等を使って種を決定するしかない。
種がわかるまでは、本ブログにその昆虫は登場しない(悲)。

2016年04月28日
グッド スプリング!

こんな挨拶があるとは思えないが、
もし冬眠から目覚めたら、こんな挨拶になるのではないかだろうか?

やっと目覚めた!
アマガエル達。

160428.JPG

まだ基本的には穴の中にいて、そっと顔を出している状態である。
右下の個体がその姿である。
外に出ようとはしない。
アマガエルが穴の中にいる姿は結構珍しいであろう。

もう1匹はミールワーム(餌)で穴から外界へ誘導した直後の写真である。
食べたらすぐに穴の中に戻って行った。

どうやら完全に寝ぼけているご様子。
5ヶ月近く寝ていたので、寝ぼけている期間も長いのであろう。

完全に目覚めたら、また、餌やりが大変なことは覚悟しておかねばならない。

何はともあれ、無事生還してくれたことと、
アマガエルの飼育下での冬眠方法がほぼ確立できたことが嬉しい。

2016年04月26日LKM博士の勝手にベストセレクション
大袈裟にいうとホラー映画の序章であり見過ごしたらアカンのです

今朝、自宅にゴキブリがいた。
4月なので、もちろん幼虫である。

ただ、虫嫌いにはゴキブリと認識することができないかもしれない。

不完全変態の昆虫なので、「恐怖の成虫」(※)から翅を除き小さくした姿で、
形態は殆ど同じである。
よく見ると、成虫同様に長い触角をユサユサしているが、
遠目で見ていると、小さな甲虫と誤解する人も多いであろう。
今朝発見した個体は6~7mmで、軽く無視するところであった。

※一般論であり、本ブログは一般論で書く。個人的には不快であるが恐怖は感じない。

幼虫における成虫との一番の差異は、足が遅い点であろう。
成虫の素早さからは想像できない位に足が遅い。
テクテクと歩いている。
表現は人それぞれであるが、私レベルになると、カワイイと感じることもできる。
手に這わせるように乗せて捕獲して、カエルの餌にしようかとも思う。
そのため、発見しても慌てる必要はない。
簡単にティッシュで包んで退治できる。

一般人にとって大切なのは、ゴキブリの幼虫と認識する眼力を持っている事であろう。
見過ごすと1~2ヶ月後には、自宅を恐怖の館に変えてしまうかもしれない。
幼虫は移動能力が低いため、たまたま放浪個体が家に入って来たとは考え難い。
つまり、自宅で孵化したと考えられ、1匹の出現は数十匹を意味する。
ゴキブリの幼虫出現はホラー映画の序章のようなものである。
主人公は、近い将来自分を襲う恐怖分子に気付いていない・・・。

2016年03月04日
啓蟄(2016年版 1日早いけど)  ―怒りのキアゲハで祝いましょ―

早いもので2016年も明日(3月5日)が啓蟄である。
啓蟄とは、冬眠していた生き物が目覚めるという意を持つ、
二十四節気の一つである。

これに合わせるかのように気温が上がり始めた。
昨晩のNHKニュースによると、冬将軍はもう見納めになる可能性が高いらしい。

今年の啓蟄は昨年ちょっかいを出して怒らせたキアゲハの写真をどうぞ!

160304.jpg

もちろん幼虫である。
鳥粉状幼虫を経て、グロテスクになったばかりの幼虫である。
現在はサナギで春を待っている個体の幼虫時代の写真である。

ツンツンと指で突くと
突かれている方向に体をぶつけてくるように角を出して威嚇してくる。
この角は、何もない状態から突如ニョキニョキっと出現するので、
知識を持っていなければ驚くことであろう。

専門用語ではこの角を肉角という。
見せかけ(視覚的防御)だけではない。
同時に臭いを放出して威嚇して来る。
これは、アゲハ類の幼虫に共通した攻撃(防御というべき?)法で、
このニオイは食べている植物がベースとなっている。
キアゲハの場合、セリ科の植物を偏食するので、
パセリの濃縮液をベースにした刺激臭とでもいえばよいか...。

ただ、臭いの質としては耐えられないものではない。
便所の芳香剤を鼻先10cmに近付けて匂った時に受ける刺激
というのが、私がこの臭いを知らない人に対してできる精一杯の表現である。
自分で確認してもらいたい。
天敵の鳥などに咥えられた時には効果を発揮することであろう。

今年は久しぶりにカマキリでも飼おうかな~

2015年12月14日
眠りにつきました

アマガエル達は飼育ケージに大量の水苔を入れて、
外気に曝した途端に冬眠に入ったようである。

外に出して二日目にのぞいたら、
水苔の中にちゃんと潜りこんでいた。
あまり冬眠中の姿を見ることはないので思わず撮影した。
151214.JPG

低温で濡れた環境下、しかも裸。
ヒトだと数時間で凍死している条件であるが、
眼を閉じて気持ちよさそうである。

変温動物おそるべし!

リスクのある飼育下でカエルの冬眠。
経験はまだ浅いが、おそらく重要と思うことを整理しておく。

①直前2週間位は多目に餌を与えある程度太らせておく。
なにしろ5ヶ月間という長丁場。冬眠中の餓死が最大のリスクである。
②寒いところに置いておく。
暖かくなれば少し活動(ちょっと移動等)します。活動はエネルギー消費を招き、そして餓死に繋がります。
③水苔が乾かないよう管理。
乾燥に弱い生き物である。夏場同様に乾燥したら死ぬので、水苔がずっと水を含んでいる必要がある。但し、冬は乾燥が遅く最初に水苔に水を十分含ませておけばリスクは少ないはず。
④底の水量の管理。
水苔が乾かないよう必要だが多過ぎると危険である。氷点下になり水が凍結する時にカエルが水に浸かっている状態だと水と一緒に凍結してしまうリスクがある。水はケージの下4~5cm位がベストではないかと考えている。

春に無事再開できることを祈っている。

2015年11月18日
何が出てくるねん?


和歌山巡業中。
紀伊半島の左側に戻ってきました!
昨晩は紀伊田辺市に宿泊。
駅周囲にコンビニは一軒もないのですが、
飲み屋はおかしい程沢山ある街です。

泊まったホテルでこんなの発見しました。

151118-1.JPG

私、ビジネスホテル経験はそれなりに豊富ですが、
殺虫剤が常備されているホテルは初めてです。

何が出てくるねん?
どんな頻度で出てくるねん?

虫好きですが、これの対象となる虫はそんなに好きではありません。
特にムカデは...

これが置いてあることによる不安感(何か出てくるのか?)
これが置いてあることによる安心感(何が出て来てもやっつけられる)
心の持ちようで揺れると思います。

結果的にはこいつが出て来ました。

151118-2.JPG

ユニットバスでシャワー中に遭遇。
2cm程度。
ノメイガの仲間ですかね?
わかりません。
知っている方がいましたら名前教えて下さい。

勿論、蛾を相手に殺虫剤を使うようなことは決してしません。
一晩一緒に過ごしました。

2015年11月04日
煮られた侵入者

無農薬で畑をやっていたら、
たくさんの昆虫達が遊びに来て棲み付きます。
迷惑ですが...
ですが、安全である証拠ではあります。

先日、無農薬の丹波黒豆のエダマメを頂きました。
間違いなく高級品でしょう。
午後10時位に帰宅したのでしんどかったのですが、
11時位から真夜中にかけて茹でました。
美味しいものを美味しく頂くためには全力を尽くすタイプの人間です。

茹で上がったものを食べていると怪しげな小さな穴を発見。

注意して豆を出してみると...

侵入者が食べた跡と、その犯人の亡骸を発見!
根に生長する部分に一体化していますが、違和感は抜群です。

151104.png

この形態から判断すると、ノメイガの仲間の幼虫でしょう。
種まで判定できませんが、間違いないと思います。

不法侵入で釜茹での刑
といったところでしょうか。

2015年10月15日
今年は確認できました 赤トンボ

昨年(2014年)は私の周囲では1匹も確認できなかった赤トンボ。
物心ついてからは初めての体験でした。
参考ブログ→「いないんです 赤トンボが

ですが、今年はいました。
(^。^;)ホッ
151015-1.JPG
赤とんぼの代表格、アキアカネです。

私が小さい時に見ていた群生状態、秋の風物詩、というには寂しい限りの個体数(数個体)ですが確認できました。
少なくとも私の住んでいる地域では希少種といえます。

小学生時代には、何十匹、何百匹とカマキリの餌に捕獲していたアキアカネ。
今、もしカマキリを飼っていたとしても、貴重で餌として与えないでしょう。

日本人の好きな童謡ランキングで必ずトップ3に入る「赤とんぼ」。
このままでは、
今の少年少女が大人になる頃には心に響かない曲になっているかもしれない
と危惧する今日この頃です。

30年前の昆虫少年より

2015年09月30日
内臓は嫌いだそうです

フタモンアシナガバチが青虫の肉団子を作っていました。
(腹部の黄色の2つの紋が種判別のポイント)
150930-1.JPG

青虫を噛み砕き肉団子にして、
巣に持ち帰ろうと飛び立つ直前です。

実は、この肉団子、高タンパク質のごちそうです。
あらゆるイモムシは筋肉の塊であると表現して間違いないと思いますが、
(触ったらわかります。絶妙のプリプリ感で筋肉の塊であることが。)
この筋肉のみを削ぎ取って団子にしているからです。

内臓はお嫌いなご様子。
決して団子には入れません。
苦いのでしょうか?

実は、この写真にも内臓はばっちり写っています。
生命の営みではありますが、ある意味、虐殺現場なのであります。

赤い丸を入れました。
150930-2.jpg

僅かに筋肉部位(明るい緑)がまだ少し残っていますが(後で取りに来る)、
濃緑色部位は全て内臓です。
器用に筋肉のみが剥ぎ取られているのが分かると思います。

マウスの腸を取り出すことが仕事柄多いですが、
脂肪組織等が周囲に付着しており、これを取り除き綺麗な腸組織にするのは、
ピンセットとはさみを使って結構大変な作業です。
アシナガバチを手なずけて、腸のクリーニングに使えないかと思う今日この頃です。

2015年08月31日
残念な結果

オタマジャクシから育てていたアマガエル(通称ちび)が死んでしまいました。

このブログに最後に登場したのは4月の冬眠から目覚めた時。
参照ブログ⇒1匹は越冬成功

最も難しいとされるオタマジャクシからカエルになった直後の時期をクリアしたので、少なくともあと5年位は付き合えると思っていただけにショックです。

過去に読んだ本によると、
卵から孵化したカエルが1年後に生きている確立は数%ということなので、
生き残った数%には入ったため、最低限のことはできたと思います。

個人的に1週間程、喪に服しますが、
素人ながら、研究者の端くれとして、
私なりに原因となった可能性のある事象を列挙してみます。

①餌の問題
体長が2 cm位になり、夏までは小さなバッタ、コオロギやクモを食べていたのですが、この季節、それらは巨大化して餌とすることができなくなりました。
そこで、ワラジムシ(丸まらないダンゴ虫と表現すれば知らない人もわかるかな?)中心の餌になりました。
序盤は喜んで食べていたのですが、後半はあまり食べなくなりました。
餌の好みで食欲が落ちて、衰弱していった可能性が考えられます。
が、そんなことあるのか?

②土(培養土)
自然界では主として植物の上で暮らすアマガエル。
喜ぶだろうと観葉植物ポトスを入れていました。
そのポトスが、暑さ対策で日光の当たらない暗い場所で且つ化学肥料はカエルには好ましくないと肥料無しの水耕栽培で飼育ケージに入れていたので弱って来ました。
そこで、元気な鉢植えのポトスと入れ替えたのが、まさに1週間前。
小さな鉢に市販の観葉植物用の培養土を入れて、上にたっぷり水を含んだ水苔を載せていたのですが、この土にカエルにとっては良くない成分が入っていたのか?
ただ、同様の処理をした大人のアマガエルは今のところ健康そうである。

③ウィルス
飼育ケージを洗う際、手で別の容器に移動させていました。
手に致命的なウィルスが付いていたのか?

④太陽光
玄関の暗い場所が定位置でした。
従って、「ちび」は殆ど太陽光を浴びていないことになります。
ヒトでも太陽光を浴びることでビタミンDが産生されるなど、
あなどってはいけないことかもしれません。
ただ、カエルでも同様のことがあるのかは謎です。

⑤まさかの死んだふり
私なりに、昨日は、何に原因があったのかを色々調べました。
その中でカエルが死んだふりをすることも多々あるという事実を知りました。
その写真が、最後の姿にそっくりなんです。
厳密にいうと、ちびは喉が動いており死んでいなかったのは間違いありません。
ただ、物凄く衰弱しており、間もなく死んでしまうと判断したのです。
私は、最期は自然の中で迎えた方がよいだろうと考え、
メダカを飼育している甕の上のホテイソウの葉の上にそっと置きました。
しかし、翌朝見に行った時には死骸はありませんでした。
死んでいたら埋めてあげようと、かなり本格的に探したのですが・・・。

あれが死んだふりなら嬉しい・・・
そう信じて、水甕の水を10年間は枯らさないようにしてあげようと思います。

2015年08月12日
カエル喉詰まる

5月末から草むらでアマガエルの餌として捕獲してショウリョウバッタは、
既に餌に適したサイズを超えてしまいました。
(全長10cm級になるバッタです。)

小さめの個体を見つけて与えてみたのですが、
ほら、この通り。
20150812.JPG

喉が詰まりそうです。
いや、詰まっている?

前脚を使いながら、10分位で飲み込み完了していましたが、
バッタのサイズがカエルの体長と同じ位なので、
物理的に、どうして胃袋に納まるのか謎です。
もちろんカエルは噛み切ることができないので丸飲みです。

最初に胃袋に入った頭部を消化しながら、
腹部を押し込んでいったと推測しています。

2015年08月11日
最近は茶色がお気に入り

アマガエルが環境に合わせて体色を変化させることはご存知でしょう。
いわゆる保護色ってやつです。

最近は暑過ぎるため、日光も簾で遮っており、少々暗い環境で飼育しております。
1匹は、ケージに入れた木がお気に入りのようで、1日の大半を木の上で過ごしています。

そうすると、こんな体色になるのです!
20150811.jpg

まずは左側のカエル。
通常の綺麗な黄緑色のアマガエルとは異なり、
環境に合わせて、薄茶色の部分が増えています。

そして、右側のカエル。
「お前、本当はアカガエルか?」
と思ってしまう位に見事に変色しています。
乗っている木の色とほぼ同じです。

土色や灰色っぽくなっているアマガエルは見たことありますが、
ここまで赤茶色になっている個体は珍しいのではないでしょうか?

体色は、ホルモンで調整し、
彼らがこの色になろうと考えて変色している訳ではないようですが、
見事としか言いようがありません。

2015年08月07日
見つけたら獲りに行かないと気が済まないんです

一昨日、「年に1回は素手で捕獲しないと気が済まないんです」というタイトルのブログを書きましたが、間違いでした。
手が届く範囲でセミを発見してしまうと、
どうやら、私の体は反応してしまうようです。

今朝、会社の駐車場に車を停めて、研究所の玄関に着くまでに、
木にとまっているのを発見し、
思わず捕獲してしまいました。
もちろん手でです。
僅か20~30 mで2匹も。
ほぼ無意識で...。

今日の収穫は2匹ともメスのミンミンゼミでした。
前回同様、一般人はあまりじっくり観察しない裏側を撮影しました。
どうぞ。
20150807.png

年に一度どころか、30秒で2匹ですわ(笑)。

2015年08月04日
トウキョウヒメハンミョウ定住

タイトルの通り、トウキョウヒメハンミョウが定住したようである。

「何のこっちゃ???」
であろうが、その前に下にリンクを貼った、2年前の合計6話におよぶ大作ブログを読んで頂きたい。面倒な方は、④と⑤だけでも読んで頂きたい。
一部の読者からは大変称賛された2013年8月の「穴の中の生物シリーズ」である。
穴の中の生物① 
穴の中の生物② ―出会い編―
穴の中の生物③ ―大人編―
穴の中の生物④ ―ひらめき編―
穴の中の生物⑤ ―成功編―
穴の中の生物⑥ ―観察編―

こんなブログを書いてしまう位にハンミョウが大好きな私は、
この釣り上げたトウキョウヒメハンミョウの幼虫を持ち帰り、
自宅の植え込みの硬めの土壌にリリースし、移住を試みていたのである。
自宅には餌となるアリは無数におり、飼育するのではなく、自然条件下での生育と繁殖を目標としていた。

移住させた2013年は、その後越冬となり行方不明になっていたが、
昨秋、ハンミョウ幼虫の巣穴っぽいものがあることは確認していた。
しかし、成虫を確認することがなかった。

ところが、今年、ついに成虫を発見した!!!
車に乗る際に、地面を低空飛行する小さい昆虫を発見し、
まさかと思って周囲を捜索すると、
少なくとも4、5匹のトウキョウヒメハンミョウがいたのである。
20150804.png
これは、自宅の壁にくっついている所をギリギリまで近づいて撮影したものである。
警戒心の強い昆虫であるが、アップで撮らせてくれた!
接近撮影に成功したため大きく見えるが、実際は1.5cm程度の小さな昆虫である。
視覚で獲物を狩るための立派な複眼と、交差している牙は典型的ハンミョウの仲間の特徴である。

余談であるが、自宅の壁がこんなボコボコしているのに驚いた。

研究はあんまりうまくいかないが、こういうのは成功する私である(笑)。

2015年07月14日
不可解なこと

カブトムシの羽化というめでたいニュースの陰に不可解な事実あり。

羽化したカブトムシは2匹。
10月には7匹いたのに、他は死んだのか?
実は、飼育密度の問題で(密度が高いと当然栄養不足に陥り、立派な成虫にならない)、
別の容器で飼育することにしたのです。
100円ショップで購入した底が深めのタッパーで1匹ずつ。

これらが、全て1~2週間で死亡したのです。
極めて不可解です。

用いた腐葉土は生き残った容器のものと全く同じでした。
きっちり、空気穴も空けておりました。
容積が小さい分、外気温の影響は受け易いですが、
まだ11月で、しかも室内で飼育しており温度の問題はないと考えています。
でも、気付いた時は全ての幼虫はどす黒い死骸に・・・

研究という仕事をしておりますので色々考察できますが、
これ以上は書きません。

私の中では不可解を超えて、こわ~い事実として認識しております。

2015年07月13日
無事成虫になりました!

カブトムシが、羽化して出て来ました。

20150713.JPG

大きい幼虫と一回り小さな幼虫だったので、
オスとメスと予想していたのですが、
その通りでした。

ケージでの飼育下では、栄養不足やストレス等が原因で、
特にオスで、体が小さく角が短い可哀想な成虫なることが多いのですが、
今回は問題なかったです。
抜群に立派ではないですが、普通に立派なオスになりました。

昆虫ゼリーを与えると、
昼夜を問わず、食べ続け、完食でした。
サナギの間、約1ヶ月間は飲まず食わずですから、
そりゃそうかとも思います。

2015年07月08日
角確認

この幼虫⇒4/14ブログ「元気に生育中 カブトムシ」
覚えていますか?

6月初旬には飼育ケージの底で蛹(サナギ)になっている雰囲気は確認していました。
プラスチックケース越しですが、色が茶色になっていたので。
サナギになる際、幼虫は部屋を作る(クルクル回転して一定の空間を作る)ので、
ひっくり返して蛹を取り出したい欲求を我慢し、そっと放置しておきました。

昨日、水分不足は厳禁なので霧吹きをしようと覗いてみると・・・

20150708.JPG

ツノ発見!!!
わかりますか? 写真真ん中です。

どうやら羽化(蛹から成虫になること)したようです。

そっと掘り起こそうとすると、まだ体が柔らかかったので、
強引なことをせず、そのまま放置。
(ここがカブトムシを飼っていても、子供と異なり私が大人である点です)

もう少し待ちます。

2015年06月22日
シマサシガメ

サシガメ(漢字で書くと「刺亀虫」)を久しぶりに紹介する。
2012年5月にヨコヅナサシガメを紹介して以来、3年ぶりの登場となる。
参照ブログ⇒「ヨコヅナサシガメ再登場」

当時、「気持ち悪い」という指摘を受け、暫く自粛していたが、
昨日、NHK「ダーウィンが来た!生き物新伝説」で、国蝶オオムラサキの天敵として肉食系カメムシが登場し、サシガメを紹介したい気分を抑えられなくなった。

サシガメとは、他の昆虫を捕えて口器を挿し、体液を吸う肉食性カメムシである。
タガメやタイコウチが水中に進出した肉食性カメムシで、
サシガメは陸上の肉食性カメムシといえるだろう。

今日紹介するのはシマサシガメ(幼虫)。
以前紹介したヨコヅナサシガメより一回り小さいサシガメである。
20150622.jpg
下側が頭部で、その先にぶら下がっているのは獲物である。
獲物はハムシ類と思うが、種名までは断定できない。
とにかく、甲虫のなかまを捕食している所に出くわしたのである。

私の知る限り、シマサシガメは草木の上で活動し、選り好みせずに何でも捕食する。
体が柔らかいカメムシが硬い甲虫類の体にブスッと口を突き刺して食しているのは変に思われるかもしれないが、それ程珍しい光景ではない。

成虫は白と黒の縞々が特徴的で、それ故にシマサシガメと命名されている。
しかし、幼虫時代はこの写真の様にオレンジ色が目立つ。
成虫になった時は、このオレンジ色の部分が翅で隠れているだけかもしれないが、
成虫の翅をめくり上げたことがないので知らない。
とはいえ、脚の縞々は成虫と全く同じである。

サシガメに挿されるのはめちゃくちゃ痛いので、私は触らないことにしている。
写真のように硬い甲虫にもプスリと口器を刺すレベルなので、
ヒトの皮膚など簡単に刺される。
南米の方では、ヒトを含む動物の血を主食としている恐ろしいサシガメも存在する。

2015年06月16日
初カマキリ

今年、最初のカマキリです。

以前に蛾の幼虫を育てていると紹介したブロッコリーの何処かにいます。
わかりますか?
こっちを見ています。
20150616-1.JPG

ヒント...
なし。

近付いてみましょう。
20150616-2.JPG
目線を外されてしまいました。
1つ目の写真では、中央やや上側にいます。

たぶんオオカマキリです。

一瞬、飼おうかと思いましたが、止めておきます。
餌が、あまりにもアマガエルとかぶり大変なので。

2015年05月29日
大好物です by アマガエル

昨日のイモムシたっぷりの葉をアマガエル達にプレゼントしてみましょう。

ものの数秒でモゾモゾ動くイモムシに気が付き、
お気に入りのポトフの葉の上からピョンと降りてきました。

2匹とも、ご馳走たくさんのテーブルに着席した状態。
20150529-1.JPG

狙いを定めて オリャッ
20150529-2.JPG

イモムシゲット! 口の中をよく見て下さい。
20150529-3.JPG

ぐびっと飲み込み、何も無かったかのようなすまし顔
20150529-4.JPG

おそらく0.1~0.2秒の出来事です。
安物デジカメですが、連続撮影機能で何とか撮影。
10回以上失敗しました。

この無表情での連続攻撃は、愛玩動物ではなくプレデター(捕食者)そのものです。
そして、この動きは全イモムシが胃袋に入るまで淡々と繰り返されるのであります。

2015年05月28日
食べさせ頃

ブロッコリーです。
葉に穴があき、虫の被害を受けているのがわかると思います。
20150528-1.JPG

でも、これでいいんです。
イモムシを育てているのですから。

葉の裏側は・・・。
(虫嫌いさん、閲覧注意)
20150528-2.jpg
沢山のシャクトリムシ系の幼虫がいます。
(私の力ではこの幼虫の見た目から蛾の種の同定はできません。)

ギャーッと思われた方、何故(?)と思われた方がいると思いますが、
カエル達の餌です。
カエル用イモムシ牧場と表現したらよいでしょうか。

難しいのは食べさせ頃。
体長1cmの個体と2cmの個体とでは、その筋肉質の肉体容積としては5~10倍近くの差があります。
従って、同じ100匹でも、小さい時と大きくなってからとでは、
餌量としては全く異なるのです。

カエルの食欲を満たすためには1日でも遅く、大きく育ててから捕獲するのがベストです。
(もちろん、カエルが好む3cm未満である必要はありますが。)
ただ、イモムシは日々成長し、その食欲は対数的に増えます。
1日毎に失われる葉の量が増大し、ブロッコリーから葉が消滅する日が近づいて来ているのを感じます。
もし葉が消滅したら大変です。
当然、新たな餌を求めて周囲の植物に散り散りに移動するので、
イモムシの捕獲自体が困難になります。
さらに、移動先の植物に甚大な被害を及ぼすリスクもあります(偏食家なら大丈夫だが)。
何てったって、100匹越えですから。

と、研究と同じ位にイモムシの食べさせ頃について脳ミソをフル回転させて悩んでいる私であります。

これを喜んで食べるカエルの様子は明日紹介します。

2015年05月18日
アリの結婚飛行(たぶんアメイロアリ)

今の時期、多くの種類のアリが結婚飛行を行います。
新女王候補とこの時だけ生まれるオスアリ(共に翅を持つ)が一斉に巣から飛び出し、
他の巣のアリと出会い交尾し新たな家族を築くための第一歩です。
遺伝子の多様性を維持するために、同種の他の巣のアリ(同種であろうが普段は別の巣のアリは敵対関係)と連絡を取り合っているかのように、一斉に始まります。
実際は種毎に「5月の雨上がりの後の晴天」など条件が決まっているようで、
フェロモンなどの生物学的シグナルがあるという報告は聞いたことがありません。
(専門家でないので、虫好きレベルの知識です。)

アリの結婚飛行は私にとっては初夏を連想させる現象の一つで、
小学生の時は、女王アリを捕獲する絶好のチャンスで興奮していたものです。

今年は小さいアリの結婚飛行の現場を発見!
これです。
20150518-1.JPG
直径30 cm位の植木鉢の土の中からウジャウジャ出てきます。
虫眼(虫を探す姿勢)を持っていないと見つからない程小さいアリ。
下にあるのは私の人差し指ですから、非常に小さいことがわかると思います。
沢山いる小さい翅アリはオスアリで体長2~3 mm。
右下の大きなアリは女王候補アリで体長は5~6 mm。

周囲を見渡すとカップルになりかけているペアを発見。
20150518-2.png
でも、この後、メスが必死で振り払っていました。
もちろん、オスも必死です。
元の巣と近いので同巣出身で近親交配のリスクがあったのかもしれません。

さて、このアリの種類は何でしょうか?
正直述べまして、この類のアリの種の同定は苦手であります。
翅アリは特別な形態をしているので、普通の働きアリで推測します。
20150518-3.png
右側が普通の働きアリ。
90%以上の確立でアメイロアリですね。
頭部と腹部が黒褐色で、胸部が特徴的な黄色(黄金色)、腹部は縞々。
まさに飴色。
私にとっては昔懐かし「黄金糖」っていう飴と同じ色です。
最近食べてないな・・・

2015年04月30日
やっと目覚めました!

ここに来て連日の25℃前後の夏日。
心配していましたが(いいえ、諦めていましたが)、
遂にこいつらが約5ヶ月間の眠りから目覚めました!

20150430-1.JPG
まだ、下半身は水苔の中ですが、
顔を地表に出しているではないですか。

別の一匹も、前者と同じ状態でしたが、覗き込むとピョンと出ていました。
20150430-2.JPG

まだボーっとしており動きは鈍く、本格的に活動する雰囲気はありませんが、
私の初めてのカエル冬眠プロジェクトは3匹中3匹の生存、
成功率100%と大成功だったようです。
さすが俺!

それにしても自然って巧妙にできています。
我々ヒトの常識では、3月あたりから暖かく感じるわけで、
4月になるとコートを着ません。
その感覚で考えると、アマガエルも冬眠から目覚めてもおかしくないと思います。
温度だけで判断すると、活動していた11月より4月の方が暖かい日が多いです。

ところがアマガエルたちは目覚めません。
何故か?
少し考えてみました。

もし4月から活動したら困ることがあるのです。
非常にシンプルな理由で、食物が圧倒的に不足しているのです。
彼らの餌である生きた小昆虫の数が非常に少ないのです。
ところが、5月に入ると一気に増えます。 
つまり、長い歴史の中で、日本のアマガエルは気温的には活動可能な4月になっても敢えて目覚めず、餌が豊富になる5月に入ってから活動し始めるリズムを築き上げたと考えられるのです。

2015年04月22日
1匹は越冬成功!

12月初めに冬眠へ誘導したアマガエルの近況です。
参照ブログ→目覚めよ本能

昨年の夏にオタマジャクシから育てた「チビ」が越冬に成功しました!
冬眠用ケージ内でウロウロし始めましたので、
夏バージョンに飼育ケージを模様替え。
20150423-1.JPG
体長2cm程度。
冬の間、きっちり水苔の中に潜らず地表近くで寝ていたので死を覚悟していましたが、
生きてくれていてよかったです!

でも痩せたようです。
上の参照ブログと比較して下さい。
ぽっちゃりしていた腹が無くなってガリガリになっています。
20150423-2.JPG
やっぱり冬眠は命がけですね。
呼吸や心臓が動いているだけでエネルギーは消費していますので。
秋の餌の量が少なければ餓死の可能性もあったと思います。

少し臆病になったようで、昨年秋には食べていたサイズの獲物が怖いようで逃げ回ります。
リハビリとして私が育てている分葱に発生しているアブラムシを捕獲して与えていますが、
こちらは大好きなようで食べてくれます。
しばらくはアブラムシで体力回復です。

心配なのは大人の2匹。
まだ出て来ません。
死を受け入れる覚悟と心の整理はある程度できておりますが、
今年は天候不順で寒い日が多いので、もう少し掘り起こさずに待ちます。

2015年04月15日
カブトムシ幼虫のウンコに反応してしまった私

昨日のブログで、幼虫の周囲にウンコが沢山あると述べました。
飼育をする上で、ウンコは可能な限り飼育ケージから除去してあげる必要があります。

1つ、2つと拾い上げては捨てていたのですが、結構な量です。
自分のデスクは片付けもしないのに、カブトムシの部屋はせっせと掃除してあげる私。
「何故だ?」と自問しながら。

ふと気が付くと、
ウンコロジスト(※)の魂に火が点きました。
特技「ウンコ集め~」

身内から、「マウスのウンコじゃないんだから...。もう病気だな」
と聞こえて来そうですが。

腰が痛くなるまで無心でやること30分間、
気が付くと、直径20cm程度の篩がこんな状態に~。
20150415-1.JPG

だいたい除去できたなと思っていると、
幼虫が潜りながら、ブリッと一発。
20150415-2.JPG
「やはり、出来たてウンコは光沢があって美しい~」

ところで皆さん、この形に見覚えないですか?
20150415-3.JPG
その前に、「この人、なんで手にウンコを乗せているんだっ」と思われた方へ
カブトムシの幼虫のウンコは臭くなく、固めた腐葉土と殆どかわりません。水分含量が低く(きっちり測定したわけでないが)、手にウンコの一部が付着することもありません。
人糞と比較すると、その破壊力は1万分の1、いや1億分の1位です。

扁平な直方体(縦1.2cm×横0.6cm×高0.3cm位)。

はい! 120円位で売っているキシリトール入りガムとそっくりな形なんです~。
これ以上書くと変態的になってきますので、ここでおしまい。

※ただのウンコ好きではなく、ウンコを学問として追及している人物。エコノミスト=経済学者と同じように使用する。

2015年04月14日
元気に生育中 カブトムシ

昨年捕獲したカブトムシが産んだ卵から育てているカブトムシ。
掘り起こして観察してみました。
20150414-1.JPG
だいぶ大きくなりました!
と書いてもわからないと思いますので、11月のブログと比較して下さい。
巨大化中
偶然ですが、同じ角度で写真撮ったようです(笑)

体長はあまり変わっていませんが、重量が大幅に増しました。
特に、頭部から下側の肉厚感が大幅にアップしたのがわかると思います。
まるで、ある力士の幕下時代と横綱になった時の体格差のようです。

折角なのでよく見て下さい。
短い体毛があるのがわかりますか?

元気で育っている証拠に、幼虫がいる周囲には沢山のウンコがありました。
20150414-2.JPG
中央上側の白いのが潜っている幼虫の体の一部です。
その周囲にバラバラと沢山ある黒い物体がウンコです。

これから暖かくなり、益々食欲が増すことでしょう。

こいつが成虫になるまでには論文投稿したい・・・

2014年12月02日
目覚めよ本能

カエル達、1週間前より屋外に出している。
冬眠に入るためである。
彼らの定位置である自宅玄関では気温が十分に下がらず、
冬眠に入らない可能性を危惧したからである。

カエルの冬眠はヒトの睡眠とは異なり、
極限まで代謝(生命活動、例えば呼吸等)を落とす行為である。
要するに寝るのではなく、極力エネルギーを使わないように生活している状態である。
つまり、中途半端な寒さで、代謝が十分に落ちなかったらどうなるか?
たとえ動きが鈍く何もしていないように見えても、
呼吸しているだけで徐々にエネルギーを消費し餓死してしまう。
また、当然、冬眠中も皮膚から適度に水分を吸収する必要がある。
もちろん水の中だと凍結死もあり得るだろう。
要するに真冬にカエルが潜り込める適度なウェット環境をどう作り出すのかが課題になる。
水槽に土を用意しようと思ったが、どれ位、土を湿らせればよいのかわからない。
ドロドロが好きなのか? 腐葉土系のフワフワが好きなのか?

インターネットや書物で色々な冬眠環境があることを知ったが、悩んだ末に植物栽培用の水苔を利用することにした。
高級水苔を購入し(といっても1000円程度であるが)、
たっぷり水を含ませて、水槽に敷いた。

冬眠失敗の場合、もう会えなくなるのでこの時に記念撮影。
この夏カエルになったチビ。初の越冬である。
2014120201.JPG

一番元気なグリーンは越冬経験あり。但し、人工飼育下では初であろう。
2014120202.JPG

この日は白っぽく体色が変化したメス(たぶん)。こいつは殆ど餌を食べなくなっていたので体は冬眠の準備ができていると思う。
2014120203.JPG

ここ数日間、気温が15~20℃まで上昇し、全く冬眠する気配なしである。
餌も与えていないので、ボチボチ眠ってくれないと困る。
(冬眠前に餌を与えないのは、丸飲みされた獲物が未消化の状態で冬眠に入った場合、消化管内で腐敗等が起こることを危惧しているからで、決して面倒だからではない。)

イヌに教育するようにカエルに冬眠のやり方を教えることはできない。

この状況下で今晩から寒波が来るようである。
本能が目覚めて冬眠に入ってくれることを祈っている。

2014年11月28日
昆虫写真が消えた?由々しき問題です

昨日、Yahooニュースで驚きの記事を読んだ。
殆どの人が小学生時代に1度は使ったことがあるであろうジャポニカ学習帳の表紙の写真から昆虫が消えていたらしい。徐々に減っていき、2012年から消滅。

理由が呆れる。
現在社会を象徴するようなクレームという不愉快さ。

「娘が昆虫写真が嫌でノートも持てないと言っている」
「授業で使う時、表紙だと閉じることもできないので困る」

親だけでなく、教師がクレームを出しているというから驚きである。

まず、気持ち悪かったら買うなと言いたい。一連の行動が理解不可能である。

虫の写真を見ることも嫌がる教師が理科の授業をきっちりできるのだろうか?
逆に興味深い程である。

製造しているショウワノートにも、もっとプライドを持ってもらいたかった。
とても残念である。
いや、大好きだっただけに、裏切られた気持ちである。
会社の上層部に虫嫌いの事なかれ主義者がいるのであろう。

呆れ過ぎて、理系離れがどうのこうのと正論で意見(文句)を書く気はしない。
その代わりに昆虫界で起こっている現実の写真を載せてやる!
20141128.JPG
羽化の途中でアリの襲撃を受けるミンミンゼミである。

虫を拒否する大人たちは、この写真を見たら
「きもちわるーい」
「かわいそ~」
の大合唱であろう。

しかし、この写真の中には、
セミやアリの生態や生きるための戦い等の生物学的な事象の他に、
「最後まで気を抜いてはいけない」、「人生、運も重要な要素」、「小よく大を制す」など、我々が生きていく上で重要なメッセージも沢山隠れている。

2014年11月13日
巨大化中

小学生の時以来にカブトムシの幼虫を飼っています。

既にかなり巨大化しています。
10cm越え
20141113.JPG

手に乗せた時の感覚は、
theカブトムシの幼虫

持ったことがない人には説明できないのですが、
独特の肉感 & 昆虫を超越した感じの重量感
です。

3匹の幼虫がいるという認識でしたが、
先日確認したら7、8匹。
このままじゃ、飼育ケージのスペースが小さいので、
どうしたらええねんって悩んでいます。

2014年11月04日
ぼちぼち冬眠準備です

寒くなってきました。
カエル達は3匹とも元気に生きていますが、
さすがに温度が下がり鳴く回数は減って来ました。

オタマジャクシから育てたアマガエルのチビも2cm弱まで成長しました!
以前はこんな状態でしたが...
⇒参照:カエルになって1ヶ月
今では、こんな感じ! とは書いたものの大きさは伝わらんな・・・
2014110401.JPG
ポトスの葉より木の枝の方が好きで、最近はいつも体は保護色で茶色。

イモムシ系が大好物でこいつの体の80%は蛾の幼虫由来のタンパク質から成っていることでしょう。
しかし、11月に入り、さすがに獲物が減って来ました。
今朝も畑でマダラスズ(小さいコオロギ)を探しましたが、
捕獲できませんでした。
寒くなり、餌も減り、ぼちぼち自然界では冬眠ということです。

色々調べていると、室内で飼育しておけば越冬はできるようです。
でも、餌は調達できませんので、ペットショップでコオロギ等を買って来なくてはなりません。
そこまでして、自然に反して真冬に飼育したくありません。
従って、リスクもありますが、冬眠させる決意をしました。

2014年10月28日
いないんです 赤トンボが

秋の風物詩である赤トンボがいない。
全く見当たらない。
数年前までは近所の公園にも沢山いたはずなのに。
畑にも沢山いたのに。

今年はヤゴから育てて自然界に放ったのに・・・
本来なら10月には山間部から平地に戻ってくるはずなのに。
参照ブログ:ヤゴが羽化しました
3年遡れば、アキアカネの交尾で、へなちょこゴリラの結婚を祝うブログを書いたこともあった位に身近な存在だったのに・・・
参照ブログ→えっ、結婚!!!!!!!???????
(ちなみにへなちょこゴリラはこのブログの後、「俺はへなちょこじゃない」という主旨の真剣な抗議してきたので、正々堂々とブログでやり合いましょうと、本社にも許可を得て反論を書く機会を与えたが未だに書いて来ず。やはり「へなちょこ」である。私の目に狂いは無かった。)

近年、アキアカネの数が著しく数が減っており、専門家が色々な角度から検証しているのは知っていたが、初めて実感した。
原因は農薬等の諸説あるが、それとは異なる何かが起こっている気がする。
まさかデング熱で蚊が駆除され過ぎて餌が無かったとか?
とはいえ、薬剤散布は都市部だけでしょうから、夏の終わりに山間部にいる大多数の赤トンボはそんなに影響を受けていないはずである。

当然、獲物が減ってくる秋に大発生する赤トンボを餌としている生物も沢山いるわけで、彼らに与える影響も計り知れない。
心配で仕事が捗らない。

2014年10月10日
アオスジアゲハを育ててみよう(後半)

昨日の最後の写真ですが、中心の幼虫に視線が行きますが、
もう1匹いるのに気付きましたか?

さて、幼虫は緑型になり3cmを超えたら食欲が凄いです。
飼育していたら毎日葉っぱ調達をしなくてはなりませんので、屋外飼育を継続です。
ただ、4cm位になりますと、いよいよ蛹になる日は近いので捕獲。20141010-1.JPG

持ち込み初日は旨そうに葉を食べていたのですが、
次の日からピタッと食べなくなりました。
環境変化によるストレスかと心配し、より新鮮な大好物の若葉を持ち込んでも食べません。
初日はむしゃむしゃ食べていたことを思い出し、出した結論は、
「もうすぐサナギになるな」
こんなタイミングで室内に入れるなんて私の感はなかなか鋭い!

20141010-2.JPG
サナギの写真ですが、最初はどれか気が付かないのでは?
写真中央です。
完璧な擬態!
葉脈まで見事に再現されています。
これが自然界だと、更に沢山の葉っぱが重なっているので、そう簡単には見つかりません。
進化って不思議過ぎる。

放置しておくと、存在を忘れかけた頃に羽化します!
20141010-3.JPG
捕獲した成虫とは異なり、翅は全く欠けたり傷ついたりしておらず、とても美しいです。
蝶の標本マニアはこうやって自作で美しい個体を作ります。
ちなみに、私は標本は作りません。

たまに幼虫時代に寄生バチが体内で育っている場合があるので、ホッとします。
サナギの中から、小さいハチがたくさん出て来る現象はSF映画の世界ですからね。

ただ、羽化の観察のために室内で飼育したのに、またも気付かず。
来年以降の課題です。

2014年10月09日
アオスジアゲハを育ててみよう(前半)

クスノキの木があったらアオスジアゲハの幼虫を探すのが私の習性。

卵を発見しました!
20141009-1.JPG

孵化したての赤ちゃんです。
アゲハの仲間が得意な鳥のウンコ系擬態でしょうね。
20141009-2.JPG

少し大きくなりました。
20141009-3.JPG

さらに脱皮を繰り返し大きくなると緑色になります。
20141009-4.JPG
3~4cmになるので、そんな大きい鳥のウンコはないからですかね~。
鳥ウンコサイズを越えたら突然葉っぱへの擬態。
不思議です。

つづく

2014年10月02日
イチモンジセセリ(後半,あの時の調査は?)

昨日のつづき
(イチモンジセセリを知らない方は昨日の写真を見て下さい)

実は、私にとってイチモンジセセリは少し思い入れがあるチョウである。

このチョウは渡りをするチョウといわれている。
最新情報を把握していないので間違いかもしれないが、そういわれていたことは間違いない。
「渡り」とは渡り鳥の渡りで、要するに集団で長距離移動するのである。
この渡りに関する専門家の調査に、小学生の時、参加したことがあるのだ。

今は無き奈良・近鉄あやめ池遊園地では月に1度昆虫観察会が開催されており、
小学生の私は祖父か母親に連れられて頻繁に参加していた。
その主催者である先生が、ある大学の先生の調査に協力するということで誘われて、
よくわからないまま参加したのがイチモンジセセリの渡りの調査である。
たしか、色々な場所でポスターカラーペン(?)で印を付けて、
何処から何処に移動しているのかを確認する地道な調査だったと思う。
ある河原でイチモンジセセリを捕獲しては、
翅にマークが付いているかの確認と印を付けて放す作業を繰り返した。
一度手伝っただけであるが、捕虫網の使い方が天才的な私は相当貢献したと思う。

その結果がどうなったのかは知らないので、イチモンジセセリを見る度に、こいつらは何処から来て、何処に行くのだろうと気になっていた。
そんな状態を続けて30年。
このブログを機に、イチモンジセセリの渡りについて正しい知識を得ようと、
インターネットで検索したところ、詳細に調べられている日本語の解説記事が見つかった!
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/24/10/24_10_690/_pdf
読み進めていくと、どうやら大した移動はしていないことがわかって来てテンションは落ちたが、図3に差し掛かった時に
「ん? 琵琶湖、淀川、金剛山に生駒山・・・地元やん」

この解説記事の発行年は昭和61年(1986年)。
引用されている原著論文(データが発表されている)は1980年代前半が多い。
私が調査に参加したのは小学3年生から6年生の間のどれかの年なので、
昭和56年~59年(1981~1984年)のはずである。
もしかしたら、小学生の私はこの研究の一部に参加していたのではないだろうか!
ここに掲載されているデータでなくても、同グループの継続調査だったような気がする。
大体、イチモンジセセリの調査なんて限られた研究者しかやらないだろうし...。

ちなみに、この論文が掲載されている「化学と生物」は、
現在、私が所属している日本農芸化学会の会誌である。
少し縁を感じた。

2014年10月01日
イチモンジセセリ(前半)

今日はイチモンジセセリというチョウを紹介する。
秋になると個体数が増え頻繁に見かけるが、
形態と色からガと思っている人も多いであろう。
ただ、このブログで何度も書いているが、ガとチョウに分類学的な差は殆どない。
20141001-1.JPG
「あ~、これ見たことがある」という人は多いと思う。
飛翔スピードは比較的速く、周囲が静かだと羽音が聞こえる。
翅を閉じている事が多く、
翅の裏のこの白い斑点が一文字に見えるのでこの名が付いている。
長距離移動するチョウとしても知られている。

朝は体温を上げるため、日当たりの良い場所で翅の表面を広げて太陽光を浴びる。
戦闘機のような姿である。
20141001-2.JPG

ちょっと悪戯で日光を遮るとこの様に翅を閉じる。
翅を広げるのは少々エネルギーが必要なのであろう。
20141001-3.JPG
この性質を利用して、虫を操る能力を持っているように見せかけることもできる。
「翅を閉じさせるぞ~」と手でエネルギーを送っているように見せかけて日光を遮り、
次は「開け~っ」なんてブツブツ念じながら、日光を当てる。
感の悪いちびっ子なら簡単に騙せる。

とここまで書いて、「イチモンジ」の由来等の確認のためにインターネットでイチモンジセセリを調べたところ、気になる情報に出会ったので明日報告する。

つづく

2014年09月25日
ナガコガネグモのハンティング(やらせ)

丸々と肥えたナガコガネグモ(メス)発見!
2014092501.JPG
でかい
脚を含めない体長は2.5cm位であるが、脚も入れると6 cm近くはあるのではないか。

巣を張るタイプで大きなクモとしては、
以前に紹介したジョロウグモとこのコガネグモの仲間が存在するが、
私はコガネグモ派である。
誰も私がどっち派であるかということに興味がないことは十分承知しているが、
一応表明しておく。

獲物が巣に引っかかった時の反応の良さと「糸グルグル巻き」技術の凄さは、
クモ嫌いの方でもそれなりに感動することであろう(たぶん)。

皆さんにも知ってもらいたいので、オンブバッタを引っ掛けてみた。
(厳密には自分の欲求を満たしているだけかもしれないが...)
私がオンブバッタを投げつけたのだから「やらせ」と言われれば否定できない(笑)

2014092502.JPG
オンブバッタを投入した直後にデジカメを構えねばならず、
あまりのスピードであるためピントが合わなかった。
しかし、凄まじい量の糸が布のようにお尻から放たれ、
それを後脚に引っ掛けて獲物に巻きつけているのはわかるであろう。
この時、獲物は陶芸のろくろを使っているかのようにグルグル回転させられている。
しかし、どの足で回転させているのかは今一わからない。
おそらく上から2対目と3対目の脚を使っていると思われる。

文章で説明するのは困難なので、今度は動画を撮りたい

巻き終わるとこんな感じ。
2014092503.JPG
バッタが、少し足を動かすがどうにもならない。
この間、僅か3秒位。
期待を裏切らない3秒間であった。

2014年09月22日
ちょっとした連鎖物語

夏野菜畑から冬野菜用にシフトするため畑を耕す
⇒夏の間に棲み付いたアリの巣を破壊してしまう
⇒幼虫やサナギを担いで働きアリは大混乱
⇒アリに申し訳ないと思う
⇒次の日、アリの巣は復活
⇒ホッとする
⇒1週間後、植えたブロッコリーの苗が突如枯れる
⇒ヨトウムシかコガネムシの幼虫と思い捜索するが見つからず。
⇒次の日、隣のブロッコリーも同じ症状で枯れる。
⇒再び掘り起こし、真下にコガネムシの幼虫を発見
⇒私、怒る
⇒コガネムシの幼虫捕獲
⇒踏み潰しの刑を直前でストップ
⇒コガネムシの幼虫をアリの巣の近くに放置する
⇒アリへのお詫びだ
⇒アリ、獲物に喜ぶ
⇒どんどん巣からアリが出て来る
⇒しばらく観察
⇒ずっと観察
⇒遅刻しそうになる
⇒でも、ブログネタになった。

20140922.JPG
10匹弱のクロヤマアリがコガネムシの幼虫を攻撃しています。

2014年09月10日
テングチョウ

ある程度の虫好きでないと知らないチョウの紹介です。
この夏、奈良県生駒市の実家で久しぶりに目撃したので嬉しくて撮影しました。

テングチョウ
20140910.JPG
体長2 cmから3cmでモンシロチョウと同じ位の大きさです。
頭部の前方に伸びる突起が特徴です。
これが天狗の鼻のように見えるのでこの名が付いたのは明白でしょう。
専門用語では、この鼻はパルピとよばれています。
日本語では下唇髭と書きますが、何と読むのかは知りません。
それに何の役に立っているのかも分かりません。
「テングチョウの鼻の高さと交尾成功率の関係」
の様な研究を実施すれば何かわかるかもしれませんが、マニアック過ぎます。
私がジジーになって暇だったらやりますわ。

雑木林の周囲に多く、開けた明るい場所で目撃することは殆どありません。
鼻は高いのですが、ご覧の通り地味です。
翅の表側もこげ茶と橙色で、少々橙色が目立ちますが(この写真でも少し見えている色使いです)、結論としては地味です。
但し、枯葉っぽさを追求すると、かなり良い点数ではないでしょうか?
保護色!

モンシロチョウ等と比べると飛ぶスピードは格段に速いです。
キレがある飛び方といえばよいでしょうか?
でも、すぐに地面や植物にとまるので捕獲は比較的簡単です。

【捕獲時満足度】7点 
所沢市の自宅周辺では全く見かけないので点数が上がりました。

2014年09月05日
ウヅキコモリグモ(子守り個体)

卯月子守り蜘蛛

2年前、その名の由来である子守りのシーンとして卵(卵嚢)をお尻にくっつけて守っている個体を紹介しました。
参照ブログ⇒ウヅキコモリグモ(卵嚢持ち個体)
そして、先日、畑の隅っこで子供たちを背負っている個体を発見しました。
何処にいるかわかりますよね?
2014090501.JPG
これじゃわかり難いので、更に接近。
ボロデジカメでの撮影は大変ですが、なんとかアップでの撮影に成功!
2014090502.jpg
沢山の子供たちが腹部の上に乗っているのがわかるでしょう。
1~2mm位です。
目視で軽く30匹以上の子供がいます。
おそらく糸を使ってくっついているのでしょう。

何処にでもいるクモですが、
虫眼を持っていないとなかなか発見できない子持ち個体の紹介でした。

2014年08月26日
ヒメコガネ

ジャガイモ堀りの時に見つけたサナギを育てました。
参照ブログ⇒7/9ブログ「イモ掘り中に」
寒冷紗を掛けたニンジンエリアの隅っこで。
(羽化した成虫は寒冷紗の外に脱出できないので、確実に観察できるシステム)。
とは書いたものの、育てたという程の事はしていません。
土の中に、サナギになる直前に幼虫が作る蛹室(羽化する時の部屋)を簡易的に作り、
アリに食べられないように埋めて、羽化を待っていただけです。

10日後位に出て来ました!
ヒメコガネです。

当初、種の同定ができず、
スジコガネかと思ったのですが、
図鑑で調べたり、ツイッターで教えてもらったりした結果、
ヒメコガネで間違いないと思います。

ヒメコガネは金属系光沢色が多いのですが、暗赤銅色や緑系が多く、
今回のような黒系は比較的少ない気がします。

正面からお顔拝見
触角だけ橙色でなかなか愛嬌のある顔です。

とはいえ、こいつは完璧な害虫です。
成虫および幼虫は、それぞれ畑の作物の葉および根に害を与えます。

2014年08月22日
ブチヒゲカメムシ

昨日紹介したパクチーがまだ花を咲かせ、若い実をつけていた頃、
ブチヒゲカメムシもご来店でした。
20140822.JPG

体長1.5 cm位のカメムシです。
触角(ヒゲ)が白と黒のブチなので「ブチヒゲ」というネーミング。
腹部の両脇も白と黒のブチです。
脚の先も白黒ブチで靴下を履いているみたい。
背中の模様は、何かの紋章みたいで特徴的です。
(カメムシ全般がそうですが...)

害虫です。
エダマメ等のマメ科に口器を挿し、被害を与えることが多いようです。

今回は、食べないパクチーに来ているわけですし、そのまま放置しておきました。
そしたら、3日間も滞在していました。

2014年08月13日LKM博士の勝手にベストセレクション
シオヤアブ(空中テリトリー部門最強ハンター?)(後半)

シオヤアブがベニカミキリを狩った時の様子は簡単に推測できる。

①明るい草むらで草や石など少し高めで見通しの良い位置でじっと待ち伏せしているシオヤアブ
シオヤアブに限らずムシヒキアブ科のアブは匂いや触覚ではなく、視覚で狩りを行う。恐ろしく動体視力が良い。

②何処からか飛来して、シオヤアブの周囲数mの範囲(縄張り)に入って来たベニカミキリ
どんな昆虫であろうが、ここがシオヤアブの狩場であるとは気が付かない。もちろん虫好きの我々でさえ、シオヤアブが一度飛び出さない限りその存在に気付くのは難しい。カミキリムシやコガネムシなど飛翔スピードが遅い昆虫は格好の獲物となる。

③ベニカミキリに向かってシオヤアブ発進
縄張り内を飛翔する物体を無差別で攻撃する。たとえば、石ころや松ぼっくりを投げても発進する。いや、攻撃というより、襲撃あるいは奇襲と表現すべきかもしれない。ほぼ全ての昆虫は襲われるまでシオヤアブの存在に気付いていない。
自分の体(約3 cm)より大きい獲物でも襲撃対象である。信じられないであろうが、自分の何倍もの大きさのあるセミ、昨日挙げた最高レベルのハンターであるオニヤンマやオオスズメバチであっても発進・襲撃する。実際にこれらの大型肉食昆虫を獲物にした例は数多く報告されている。
ティッシュを丸めて彼らの縄張りに投げ込むとハンティングの様子がよく観察できる。

④空中で捕獲
発進して1秒程度、長くても2秒程度の出来事なので自分の目で動きを確認したことはないが、獲物を捕獲した後の様子から推測すると、背後から近づきレスリングでバックをとるような感じで棘のある足で抱えるように捕獲すると思われる。ほぼ全てのケースでバックを取った状態になっている。オニヤンマ相手に正面から向かうことは自殺行為なので、やはり後ろから近づく洗練された技術を身に付けていることは間違いない。
また、彼らの襲撃は1回限定。襲撃に失敗したら諦め、同じ獲物を追い回すことはない。おそらく、後翅が退化しているアブであるため、それ程飛翔力には長けていないからであろう。

⑤尖った口器をベニカミキリに刺しながら着地
ヒトが刺されても痛そうな太い口器を背中側から刺す。この口器は強力で、コガネムシ等硬い翅を持つ甲虫類の背中も突き破る。
小さな獲物だと捕獲後綺麗に着地するが、自分と同等、それ以上の獲物の場合は、墜落するかのように転げ落ちてくる。このシーンは、一瞬、2匹の昆虫が取っ組み合いの喧嘩をしているように見えるが、シオヤアブが凶器を突き刺し仕留める段階であり、既に勝負はついている。どんな昆虫であろうが助からない。シオヤアブの貪欲さは凄まじく、たとえヒトが拾い上げようとも獲物を殺すことに集中していて殆ど気付かない。

これ私の手の上である。こんなに食事風景が撮影し易い肉食昆虫は珍しい。

ジャン・アンリ・ファーブルは狩バチ(獲物を狩り、殺さず麻酔をかけた状態で巣に持ち込み卵を産むハチの総称。獲物は幼虫の餌となる。種毎に特定の昆虫、クモであったりイモムシであったり、を標的とする)が毒針を獲物の神経の集まっている部位に刺し、一瞬で獲物の動きを止めることを著書に記しているが、おそらくシオヤアブも背中側からその辺りの部位を刺していると思われる。いつも似たような場所を刺しているのでそう推測している。ただ、狩バチがピンポイント且つ一瞬で神経毒を刺しているのと比べると、シオヤアブは雑に大きな凶器で刺しているという印象を受ける。「死ねば良い」という程度で。その証拠に、獲物は長時間もがいている。

最後は、獲物を突き刺している口器が見える写真をどうぞ。
まずは真横から。
太い口器がわかるであろう。
20140813.JPG

次は、シオヤアブがほぼ絶命したベニカミキリを抱えて少し飛び、お気に入りの場所で食事に専念している時に覗き込むように真上から撮った一枚。
20140813-2.JPG

この機にシオヤアブを覚えてもらえると嬉しい。
書き忘れたが、見かけても怖がる必要はない。
飛んでいる物しか攻撃対象ではないので、シオヤアブからヒトを刺して来ることは無い。
しかし、もし捕獲した場合、素手で触るのはやめた方が良いと思う。
指を刺されたら、たぶんめっちゃ痛い。

【捕獲時満足度】4(10点満点)
虫捕り網で非常に捕獲し易く、大して珍しくもないので点数は低い。但し、ハンティングを生で見られた時は満足度10点の最高点である。

2014年08月07日
カエルになって1ヶ月

以前田んぼで捕獲したアマガエルを飼育していることを報告しました。
参照ブログ:アマガエル達、だいぶ慣れました!
彼らは今でも元気です。
暑さが心配ですが、保冷剤を容器の上に置く作戦でなんとか耐えています。

実は、その時に一緒に捕獲してきたオタマジャクシも育てて飼っています。
過去に何度が失敗しておりますが、とにかくこの時期の飼育は難しい。
これ、カエルに成りたての時の様子。まだ尻尾があります。
2014080701.JPG

オタマジャクシの時は、放置していてもカエルになるのに、
カエルになった途端、飼育難易度が極端に上がります。
エサが大変なのです。
体長約1cmですから、小さい生きた虫しか食べません。
なんとかアブラムシと蚊で対応しました。

オタマジャクシをカエルにした子供達も99%はこの時期に殺してしまうでしょう。
親も相当変人でな限りこのサイズのカエルの餌を頑張って捕獲できないでしょうから。

自分の体を餌にどれだけ蚊を捕獲したことか。

体も2 cm程度になり、カエルらしくなりました!
2014080702.JPG
かなりかわいいです。
今はシソに発生するベニフキノメイガの幼虫が大好物であることを発見し、
比較的楽になりました。

2014年07月30日
ヤゴが羽化しました

先週紹介したヤゴが羽化しました!
参考ブログ:これは何で何のため?
と書いたものの、実は、羽化したのは数週間前。
ずっとブログ書くの忘れていたので紹介します。

7月中旬、好物のボウフラを与えても食べなくなってきたことから、私は羽化が近いことを察知した。
3日後、飼育容器を覗き込むと頭を水面に出していたので、今夜だと確信した。
慌てて割り箸で羽化場(自然界だと水面より上に伸びている植物の代わりになるもの)を作り、羽化を待つことに。

午後 8:00 割り箸を登り始めるが、洗面所(容器は玄関においてあるが洗面所の明かりをまともに浴びる環境)の電気が突然点いたことで驚き止まる。
午後 9:00 軍師官兵衛を観終わり観察するが止まったまま
午後10:00 止まったまま
午後10:30 止まったまま。とりあえず寝て、夜中に起きることにする
午前 2:00 まだ動きなし。もしかしたら驚いたことでそのまま死んでしまったのかと心配になる。また寝る。(ちなみに目覚まし無しで起きられる私)
午前 4:00 不覚にも...、羽化が殆ど終わって、既に翅もほぼ伸び切っている。
20140730-1.JPG

午前6:00 閉じていた翅が開いた。それにしても羽化直後の翅は美しい
20140730-2.JPG

まだ、飛び立てないだろうから、そーっと取り出し観察
オスのアキアカネと思われる。
もしかしたらナツアカネかもしれない。胸の模様で識別できるが、この個体は難しい。
20140730-3.JPG

アキアカネって赤トンボでしょ?
秋のトンボがどうして今頃羽化するの?
と思われた方はなかなか鋭い。

そもそも写真の通り、体色がまだ黄色く赤トンボとは言えない状態であるが、これはまだ未成熟なのである。
これらのトンボは羽化後、標高の高い山に移動して避暑地で餌を食べて成熟する。
そして秋になると、集団で再び平地に下りて産卵するのである。
成熟してくると体が真っ赤になる。
7月のアキアカネからは、あの童謡「赤とんぼ」の郷愁あふれる歌詞は生まれないであろう。

ちなみに真っ赤に成熟したアキアカネとナツアカネの識別は容易である。
顔まで赤くなるナツアカネ(酔っ払い顔)、顔は赤くならないアキアカネ。

基本的に、育てた虫達は育て親の恩を理解していない。
トンボもチョウも、知らない間に、名残惜しさゼロで飛び去って行く。
しかし、こいつは少し留まって私に写真を撮らせてくれた親孝行な奴である。

今頃、秩父の山奥で元気に過ごしていることであろう。
秋に真っ赤になって戻って来て欲しい。

2014年07月23日
これは何で何のため?

さて、これは何でしょう?
2014072301.JPG

わかる人はわかるでしょうが、知らない人が正解するのは不可能と思います。

第1ヒント
チューブに何かが入っている写真です。

第2ヒント
水に浮いています。

第3ヒント
生き物です。私が水溜りから捕獲してきました。

第4ヒント
殆どの方は嫌いな生き物の幼虫です。
厳密には、この写真の5匹の内の1匹はサナギですが。

正解はボウフラです。
蚊の幼虫です。

そんなもの捕まえてどうするの?
という声が聞こえて来そうですが、蚊が好きなのではありません。

こいつの餌です。
2014072302.JPG

わかりますかね?
写真の中央付近に虫がいるでしょ。
ヤゴです。
これはトンボの幼虫。
上側が頭部。
大きな複眼が二つあり、その間に位置するのが口です。
獲物を捕まえるための伸びる下顎は、この種のヤゴの場合、口の下側にマスクのように保持しています。
ヤゴは生餌しか食べないので、このようにボウフラ等を捕まえて来るんです。
危険が迫ると、下側のお尻の先からは水を噴射し、ジェット機のように逃げます。
と書き出すと切りが無い。

とにかく魅力的な昆虫なので発見すると飼育してしまいます。

2014年07月15日
別の目的:フキバッタ

昨日のブログで紹介した武蔵御嶽神社は東京都青梅市の御岳山に存在します。
標高約830 mの山の中です。

神社に着いてお祓いまでの待ち時間にすることは、たった一つ。
平地に住んでいる私は普段目にすることができない、
標高がある程度高い山地(低山帯というのか?)に棲息しているフキバッタを見つけることです。
翅が無い珍しいバッタです。
フキが好きなのでフキバッタというシンプルな名前です。

おそらく御岳山に棲息しているのはミヤマフキバッタという種ですが、
フキバッタ類は、標高の高い山に棲息していることと、
翅が無いので移動範囲が狭いため、
地域によって少しずつ遺伝的な特徴が出てきて、種の分化が進んでいます。

そのため分類学的にたくさんの種類に分かれており、種の識別が非常に困難です。
つまり、住んでいる山の違いで別種となる可能性もあるのです。

発見しました!

20140715.png
まだ幼虫ですが、通常のバッタの幼虫にある胸部背面の小さな翅(成虫になったら翅になる)が全く無いのがわかりますか?
茶色い体色のミヤマフキバッタはかなり珍しいと思います。たぶん・・・

カメラを10cm位の距離に近付けても全く逃げません。
翅が退化している
=翅を使う必要がない
=外敵が少ない・餌が周囲に豊富にある
=のんびりしている
=びびらない
ということでしょう。

2014年07月09日
イモ掘り中に

ジャガイモを収穫していたら、アリの巣に出会いました。
よくある事ですが、結婚飛行前の羽アリが大量に出て来たので観察してしまいました。
結婚飛行とは交尾のために主としてアリが一斉に巣より飛び出すことです。
同一種のアリは、ほぼ同じ時期のほぼ同じ気象条件の時に一斉に飛び出します。
普段はメスしかいないアリの世界は、この日のために翅を持ったオスアリが産まれます。
また、翅を持った女王アリ候補も大量に生まれます。
そこをざっくり掘り返したようです。
20140709-1.png
見難いですが、体の大きさにして働きアリの10倍位の翅を持った女王アリ候補が沢山いるのがわかると思います。

カエルを飼育している私は「チャンス! 栄養価高そうな餌大量発見」とせっせと捕獲。

実にこの2日後が結婚飛行日だったようで、畑は羽アリだらけ。

蛹になりたてのコガネムシも出て来ました。
まだよく動いていました。
2 cm位だったのと、畑ということを考慮するとドウガネブイブイでしょうか?
20140709-2.png
まだ幼虫の皮が残っています。
よく見ると手前側に幼虫の顔がそのままマスクの様に残っているのがわかります。
不思議です。
皮が破れたら、中からまた別の皮に包まれた異なる形状をした体が現れるのですから。

2014年07月08日
こう見えても益虫です

いかにアップに撮影して、グロテスクな風貌を伝えるか。
私のボロいデジカメでは一苦労です。
被写体に近づくと全くピントが合いません。
相手も秒速1 cm位のスピードで歩きます。
これは10秒経つと被写体の昆虫は葉の裏側に移動してしまうスピードです。

そこまで苦労して撮ったのは何?と思われるかもしれませんが、
珍しい被写体ではありません。
何処にでもいるテントウムシ(たぶんナミテントウ)の幼虫です。

20140708.jpg

アップにするとそれなりにグロテスクでしょ!
この個体は1 cm位でしたので、おそらく4齢(3回脱皮済)幼虫だと思います。

この配色、そしてトゲを装備したルックスは悪者感丸出しですが、
人を中心に考えると、害虫を退治してくれる益虫ということになります。
家庭菜園をしている私とすると「がんばれ~」となるわけです。

しかし、彼らの真の姿は、このルックスの通りの獰猛なプレデター(捕食者)。
アブラムシの殺戮を専門とする殺し屋です。
アブラムシからすると、とんでもない殺戮者でしょう。
ほぼ無抵抗のアブラムシを親兄弟の前で順番に食べていくわけですから。

比喩的表現になり過ぎましたかね(笑)
偏食家で、この幼虫は(成虫になっても)、アブラムシを主食としているというだけのことです。
(注意)テントウムシには植物を食べる種も多数存在する。本ブログは、この幼虫のように肉食性のテントウムシを対象にしているので悪しからず。

本当はアブラムシを頭からかじっている獰猛な姿を撮影したかったのですが、
私のデジカメでは無理です。

ちなみに左端にあるこげ茶色の物体はこいつのウンコです。

2014年06月30日
脱走 ―心配です―

いないんです。
どこを見てもいないんです。
今朝、家を出る時に水槽を除いたら、いないんです。
アマガエルが・・・。
(参考ブログ:6/24 アマガエル達、だいぶ慣れました!
昨晩までは元気にバッタ等を食べていたのに・・・

よく見ると、蓋が1 cm程度開いていました。
脱走です。
簡単に登れますからね。

周囲を見ると、
何とか1匹は近くに置いてあったスーパーの袋にくっついているのを発見。
捕獲!

しかし、もう一匹は見つかりません。
天井に貼りついているかと家の中を全体的に見回してみましたが見つかりません。

彼等は皮膚から水分を吸収するので、このまま家の中をさまよっているのは危険です。
餌となる昆虫も殆どいません。
このままでは、飢えと乾きで死ぬのは確実です。

心配です。
蓋の締め方が甘かったことを猛烈に反省しています。
というわけで、今日はかなり落ち込んでいます。

2014年06月24日
アマガエル達、だいぶ慣れました!

先日、田んぼで思わず捕獲してしまった2匹のニホンアマガエル。
シュノーケルアオガエルと間違えることがありますが、
私の捕獲したのはニホンアマガエルで間違いないと思います。

捕獲後10日程経ちました。
だいぶ慣れてきて、覗き込んでも慌てて逃げ惑うことは全くなくなりました。

棲家は、私ができる範囲で、大好きな湿気たっぷり環境に仕上げました。
20140624.JPG
慣れるまではケージの壁にくっついていたカエル達ですが、
今はお気に入りのポトスと湿った木の枝が定位置です。

最初は餌も食べなくて死んでしまうかと思いましたが、
色々な種類の虫を試した結果、
モンシロチョウの幼虫がお気に入りのようで、
それで体力を回復し、
今ではバッタやシジミチョウ等を入れると、
凄いジャンプ力で飛び掛かり一気に飲み込みます。

ピンセットで虫を掴んで顔の前に持って行くと、
パクッと食い付いてくる位に慣れました。
ペット化に成功! したつもり。

生餌しか食べないので、今は虫捕りが非常に大変です。
畑作業していても虫を見つけては捕獲に夢中になってしまうので仕事が進みません。

今は梅雨が明け後の、真夏の暑さに耐えられるかを心配しております。

実は、もう1匹、トノサマガエルも飼育しているのですが、
こいつはまた次の機会に。

2014年05月29日
トノサマバッタ(幼虫)

多くのバッタの仲間が孵化し、グングン育つシーズンに突入した。

秋にバッタが見つかる場所に行って探してみると、
この季節、とても小さくてかわいいバッタの幼虫達がいる。
幼虫といっても、バッタの仲間(直翅目)は不完全変態なので、
成虫と同じような姿をしている。
幼虫はちょっと頭でっかちな体型が多い。

畑で、おそらくトノサマバッタと思われる幼虫を発見した。
20140529.jpg
1.5cm位なので3齢幼虫か4齢幼虫と思われる。
成虫までは、あと2、3回は脱皮しないといけない。

やはり頭でっかちである。
哺乳類の子供と同様に、体長に占める頭部の比率が高いと、
バッタでも可愛らしく感じる。

将来5~6 cm級の殿様になるとすれば、今は若殿、あるいは若様といったところであろう。

成虫になると凄まじい飛翔力と用心深さを身に付けるので、
素手ではほぼ捕獲できなくなる。
そう考えて、今の内に!と、沢山触っておいた。

2014年05月15日
防御部隊を利用する

まだ発芽して野菜の植物体が小さいこの時期は、アブラムシに気を付けないといけない。
大事な新芽が被害に遭うと著しく発育が遅れる。

しかし彼らは非常に小さく、黄色~緑~深緑色の保護色、且つ葉の裏側に棲息しており、
発見が遅れることが多い。
しかも単為生殖で、交尾をしなくてもお尻からドンドン子供が産み落とされるので、
気が付くと、数百匹~数千匹に増殖していることも多々ある。
産み落とされた時には、既に腹の中に次の世代を宿しているらしい。
恐るべし増殖力。

そんな彼らをテントウムシ等の外敵から防御しているのがアリ達である。
彼らの肛門からは甘露と呼ばれる糖分たっぷりの甘い汁が排泄物として出される。
アリ達はこれが大好物で、そのお礼として彼らを守っている。
いわゆる共生という関係である。

と書いてはみたものの、
理系人間としては「お礼として守っている」、と書くのは好ましくないであろう。
おそらくアリ達は単純に自分達の食物を守っているに過ぎないと考えるべきである。
もし、アリとアブラムシの間に友情のようなものが存在するとしたら、
それは世紀の大発見である。
ふと、それを確かめる実験系をウンコ色の脳ミソの中で妄想していて、
このブログを書くのに1時間以上かかってしまった。
(ちなみに、素晴らしいアイデアなので私が大学の研究者なら早速手を付ける)

私はこの防御部隊のアリを目印にアブラムシを発見する。
アリがいたら「! ムムム...」
アブラムシ探しを始める。

キュウリの若葉の裏に発見!
20140515.JPG
ぶちぶち潰す。
もし気付かなかったら、2日後には葉の裏全体がアブラムシに覆われていたであろう。
そして、アリがいなかったら気付かなかったはずである。
逆に、アリ達は自分達が原因でこういう悲劇(彼らにとって)が起こっているとは気付いていないはずである。

私は彼らに敬意を払い、
植物全体に薬(アブラムシの場合は化学農薬ではなくデンプンをベースに作られる安全性の高い液剤を使うのが一般的)を撒くという方法はとらない。
見つけて、ぶちぶち潰すのみ。

アブラムシ&アリ軍団 vs. 私の正々堂々とした戦いはもう暫く続く。

2014年05月14日
ウンモンスズメ

鳥の話ではありません。
虫の話です。
(虫嫌いさん注意)

先日、朝から素敵な蛾に出会いました。

日本には3,500種類程度のチョウとガ(いわゆるチョウ目)がいますが、
この色彩のものは殆どいないと思います。

ちなみに分類学的にはチョウとガは識別できないはずです。
見た目である程度チョウとガを識別しているのですが、いわゆるチョウという名の付いたものは250種程度と言われているので、残りはガということになります。

これです(2014年5月2日撮影 東京都西多摩郡日の出町 協同乳業㈱駐車場にて)。
20140514.JPG

ウンモンスズメ(雲紋雀)です。
この緑ベースの躰、凄いでしょ?
この見事な緑色とうすい緑色(ウグイス色?)の濃淡で描かれた翅の模様!
(これが雲模様に見えるのでしょうか?)
緑のふかふか高級絨毯のような胴体!
そしてステルス戦闘機のようなこの形態!
芸術品です。
残念ながら、死んだらこの体色が失われるので、
標本では見ることができない色彩です。

何故、スズメという名が付いているのか?
それはスズメガ科だからです。
過去にこのブログで紹介したホシホウジャク(星蜂雀)
(参照ブログ:ホシホウジャク)もスズメガ科です。
体型が似ているでしょ。

【捕獲時満足感:9】(10点満点)
捕獲するというより眺めているのが好き。なかなか探しても成虫は見つかるものではないが、街灯近くでは不意に(電車に乗るため走っている朝など)見つかることもあり減点した。

2014年03月06日
啓蟄(2014年)―恐怖の寄生バエで祝いましょう―

虫好きの皆さん、おめでとうございます!
本年も啓蟄がやってきました。
まだ寒いですが、ボチボチ虫の季節がやってきます。

毎年、この日は比較的マイナーな虫を紹介しておりますが、
今年はヤドリバエの一種、おそらくセスジナガハリバエを紹介します。

20140306.png

見慣れないハエでしょ?
体調1cm位です。
こういうのは興味を持っていない人には見えない虫なのです。
ハリバエという名の通り、針状の毛が沢山あります。

ヤドリバエは宿りバエと書くと思います。
すなわち、「体に宿る」=「寄生する」ハエ、寄生バエの仲間です。
蛾や蝶の幼虫に寄生する種類が多いです。

ヤドリバエの寄生とは?
ヒトにおける回虫のように共存というケースは殆どありません。
寄生バエの成虫は、蝶や蛾の卵や幼虫(宿主)に卵を産み付けます。
その幼虫は、蝶や蛾の幼虫の体内で栄養を吸収し成長します。
順調に成長すると(多くは蛹の時代)、宿主を食い尽くして体外に出てきます。
宿主は死んでしまいます。

まるでホラー映画のようですが、
実際はホラー映画がヤドリバエをモデルにしているのでしょう。

ということで、今年も虫眼で発見した虫達を紹介していきます。

2013年11月12日
エンマ様の顔と裏

タイトルからは虫関係とわからない方がいると思いますので警告です。
これは久しぶりの虫ブログで、どアップ写真が出てきます。
虫嫌いの方は、至急退出願います。
特に春日野部屋のマネージャーさんは(笑)

関東でも木枯らし1号が吹いたようですね。
何故、「初木枯らし」ではなく、「木枯らし1号」なのか私にとっては謎なのですが、
急激に寒くなっております。
その木枯らし1号が吹く直前の畑で、
動きが鈍くなっているエンマコオロギを捕獲しました。

先日、扁平な顔のオカメコオロギを紹介しましたが(9/19 ハラオカメコオロギ来所です)、
エンマコオロギの頭部は全く異なり丸みがあります。

そもそもエンマという名前の由来は閻魔様で、
この顔が由来と言われています。
他の説として、他の種に比べ体が大きいからという説も読んだことありますが、
顔由来説が有力です。
201311121.png
複眼の周囲が黒い模様で(サングラスのようにも見える)、
その上側に白褐色の帯状の模様があります。
これが閻魔大王の怒り顔の眉のように見えることから命名されたそうです。

面白いことに、学名にもエンマが付きます。
Teleogryllus emma
これが学名で、コオロギ属エンマ種という表記です。

たまには昆虫の裏側も見てみましょう。
虫嫌いの方は少々気持ち悪いと感じるでしょうが、我慢して下さい。
201311122.JPG
非常に精巧な構造をしており、これも進化の賜物としか表現できません。
この立派な後脚。
脚の先のトゲ。
精密機械のようです。
ん~、美しい。
来年は虫の裏側シリーズ立ち上げようかな。

2013年10月24日
ササグモ

先日、オンブバッタ牧場としてシソを紹介しました(参照ブログ:オンブバッタ牧場)。

そのシソも秋になると花を咲かせます(これは10月前半の写真です)。
シソの花は居酒屋で刺身を食べると時々付いてくる薬味でお馴染みですよね。
わからない方は写真を見て下さい。
2013102401.JPG


地味なのですがこの花には、ハエ、アブ、ハチの仲間がたくさん寄って来ます。

『小昆虫集まるところに、それを食する虫あり』

観察すると・・・いました! 体長1 cm位のクモです。
2013102402.png

ササグモです。
通常のササグモより体色が黄色いので少々不安ですが、
以下に示すササグモの特徴を有しています。
1. 独特の腹部背面の模様
2. 足のトゲ(立派なのがたくさんあるでしょう?)
3. 円状に並んだ眼(8つあります)

よく見ると(よく見なくてもですが)、アブの様な虫を捕獲しているのがわかると思います。
徘徊性のクモで、動きも似ているのでハエトリグモの仲間と間違える人が多いです。
簡単な見分け方としては、目の並びが違います。
ハエトリグモは4つの大きな目(特に中心の2つが大きい)が横に直線状に並んでいます。
ちなみに残り4つの眼は背面側にあり、おそらく上から来る敵を発見するのに役立っていると思われます。

せっかくなので横からのショットもどうぞ。
2013102403.png
この角度から見るとガッチリ獲物に噛みついているのがわかると思います。
徘徊性のクモは捕獲に糸を使わず。専ら噛みつき攻撃です。

この個体はこの場所が気に入ったみたいで、暫くこの場所にいました。
歩いた跡の糸(徘徊性のクモは落下しないように糸を出しながら歩く)が周囲にあることからも、この場所の周辺を繰り返し徘徊していることがわかります。

【捕獲時満足度】なし。私はクモは殆ど捕獲しません。ただ、徘徊性のクモが獲物を捕まえる瞬間を見ることができると満足度8(10点満点)位です。

2013年10月07日
死を待つハラビロカマキリ

畑は完全に夏・秋野菜から、冬野菜へと作物を変換しました。
最後に残っていたのはナスとピーマン。

ピーマンにはハラビロカマキリの卵が産みつけられていました。
正確には卵嚢といいます。

初めは気付かなかったのですが、すぐ近くに、この卵を産んだと思われるメスのハラビロカマキリが!!!
20131007.JPG

産んだ卵を守っているように見えます。
とはいえ、基本的には産卵後死ぬ生物です。
卵を守る行動など聞いたこともありません。
たまたまでしょう。

触ってみると、もう全然力が無く、
自分の務めを果たして、死を待つのみという状態でした。

カマキリには悪いですが、ピーマンは抜かねばなりません。
堆肥にするのはかわいそうなので、卵嚢は自宅に持って帰りました。
親は、日当たりの良い場所に置いておきました。

カマキリで秋を感じる・・・。
毎年のことです。

2013年09月19日
ハラオカメコオロギ来所です

秋になりましたね。
3週間、殆ど外出して職場に来ていなかったためか、
昨日、久しぶりに落ち着いて1日研究所で過ごしたら、
様々な所で秋の訪れを感じることができました。

研究所の玄関には、ハラオカメコオロギが遊びに来ていました。

20130919.JPG
何故か、最初のハラを略して、オカメコオロギって呼ぶことが多いです。
しかし、オカメコオロギは複数種存在するので、
ハラオカメコオロギと正確に覚えた方が良いと思います。
我々が平地に見る殆どのオカメコオロギはこのハラオカメです。

頭部が特徴的で(特にオス、因みに、この個体はオス)、
顔面が平らで絶壁、横から見ると逆三角形の形をしています。
おでこが前に突出し、顎が手前に引っ込んでいる、
しかも、おでこと顎を結ぶ線は扁平と表現すれば良いでしょうか?

なかなかコオロギの横顔をじっくりと観察する人はいませんので、
皆さんのために、頑張ってそれがわかる写真を撮ってあげました!

日本全国何処でも見られる普通種なので珍しくないですが、
このブログでも何度か紹介したことがある
エンマコオロギ(参照ブログ:怖そうなコオロギ)と比べると、格段に知名度が低いと思います。

鳴き声は、私には、
「Rdiッ、Rdiッ、Rdiッ、Rdiッ、Rdiッ。(ちょっと休んで繰り返し)」
と聴こえます。

「リッ」と「ジッ」の間の音ってことです。
「リッ」:「ジッ」=7:3で混ざっています。
あくまでも個人の感覚です。

【捕獲時満足度】3(10点満点) 普通にその辺にいますから。しかも捕獲するのは簡単ですから。鳴いている姿を見ることができると、少しうれしいですね。

2013年09月02日
放置飼育(キアゲハ)

チョウの幼虫は偏食で大食漢なので、
捕獲して飼育するより、餌となる植物に放置して観察するに限る。

アゲハチョウやクロアゲハのように、

柑橘類の大きな木に棲む種類なら見失うこともあるが、
キアゲハはセリ科の植物を好むので、
ニンジンやパセリに産み付けられた卵はその植物体で生育し、
見失うリスクは少ない。

自宅のパセリに発見したキアゲハが成虫になった。
朝、玄関をドアを開けると私に驚いたのかバタバタ羽ばたきだした。
2013090201.JPG

しかし飛べない。
羽化して間もない時だったようである。
まだ蛹に掴まっていた
キアゲハの上方に蛹の抜け殻があるのにお気付きであろうが、
ちゃんと見たい方のためにアップ写真を提示しよう。
2013090202.JPG


ちょっと落ち着いたところを撮影。

2013090203.JPG

綺麗である!

単純に進化論と言われても納得できない「模様」と「色使い」。
そして翅の形も飛翔の効率性を追及したとは言い切れない、
飾りの様な尾状突起(後翅の後部にあるでっぱり)。
チョウの美しさを楽しむには羽化した直後に限る。

ちなみにこの1個体に食べ尽くされたパセリはこれである。
2013090204.JPG

蛹期間中に少し芽が出てきたが、ほぼ壊滅状態。
殆どの個体はこれだけ食餌を与えても、
いつの間にか羽化して去って行く恩知らずであるが、
成虫になった姿を見せてくれるとは、なかなか親孝行なやつであった。
おかげで遅刻しそうになったが...。

2013年08月19日LKM博士の勝手にベストセレクション
穴の中の生物⑥ ―観察編―

さて、苦労して捕獲したトウキョウヒメハンミョウの幼虫を観察せねばならない。

まずは、真上からの写真をどうぞ。
2013062801.png


恐ろしいのか、コミカルなのか、コメントし難い姿である。

まずは、頭部。
成虫と同じように硬く強靭で、大きな大顎(牙)が目立つ。
眼も大きい。
この発達した眼で、獲物を発見し、私のような外敵が現れた際は、
すぐに発見し巣内に潜り込むのであろう。

通常、この頭部と胸部の一部で巣穴に蓋をするような状態で獲物を待ち構えており、
アリ等が近づいた瞬間に大顎で噛みつき、地中に引きずり込み食すのである。
待ち構える様子はこのシリーズの①を参照。
参照ブログ:穴の中の生物①

それに比べて腹部の貧弱さは目を疑う程である。
消化管丸見え無防備さ。
頭部でアリを生け捕りにするが、
もし、この姿でウロウロしていたら逆にアリの餌食になるであろう。
動きも「よちよち」という感じで決して上手に歩いているとは言えない。

そのため、引きずり出されてはならない。
また、獲物を捕獲した際に穴の中に引きずり込まなくてはならない。
そのために、この腹部には凄い仕組みがある。
2013062802.png

背中に突起があるのがわかるだろうか?
これをフックのように巣内に引っ掛けて、体が外に引っ張り出されないようにしている。
また、穴の中へ獲物を引き込む際は、これを上手く使って下方に移動するのである。

ちなみに、獲物を捕獲する際は、
背中のフックを巣穴に引っ掛けて、後ろ側に反るような動きで大顎にて獲物を挟み、
頭を戻しながら巣内に引きずり込むのである。

プロレスでいうジャーマンスープレックス(投げっぱなし)を
巻き戻し再生するような動作で引きずり込むのである。

凄い進化である!

と、6回に渡って紹介してきたが本日にて本長編ブログは終わる。
疲れた。

【捕獲時満足度】10(10点満点) 説明する必要ないでしょう。

2013年08月16日LKM博士の勝手にベストセレクション
穴の中の生物⑤ ―成功編―

前回のブログで書いた疑似餌作戦を実行してみた。

書いた通り、少し離れた位置から、疑似アリを巣の周囲に落とし、
地面を引きずりながら巣の周囲を動かしてみた。

\(◎o◎)/!
驚いたことに、ハンミョウの幼虫が疑似餌に飛びついてくるように頭を跳ね上げてくるではないか!
次の瞬間、疑似餌はキャッチされ巣内に引きずり込まれた。
次の瞬間に私は引っ張り上げた。
ハンミョウが反応してから捕獲までおそらく1.5秒前後。

(@д@;)//
釣り上げた!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
20130627.JPG

別の巣でも、別の巣でも成功。
2年間、全く釣れなかったのに、10分間で3頭もゲット。
本気獲りしたら、100頭でも200頭でも釣り上げる自信あり。
ハンミョウ釣り選手権があれば金メダル候補一番手ではないであろうか?

考え抜いた作戦での成功。
ビビる程の巨大な達成感であった。

このブログ、ハンミョウファンのバイブルになるに違いない。

まだ、つづく

2013年08月15日LKM博士の勝手にベストセレクション
穴の中の生物④ ―ひらめき編―

ハンミョウ幼虫釣りに失敗して2年が経過。
軽く100回以上は失敗している。
しかし諦めてはいけないのが研究者である。
2012年の秋もたくさんの穴が発生した。
ただ、もう同じ作戦、すなわち、
枯草を巣穴に突っ込み、その枯草を幼虫がどけようと押し出される瞬間に釣り出す方法
を実行するつもりはなかった。

ちなみに100回以上の失敗はただの繰り返しではなく、
枯草の長さや太さ、穴への突っ込み方、タイミング、植物種、さらには生草等の検討も含まれる。

幼虫が枯草を持ち上げる行為は、住処に突っ込まれた枯草が邪魔で幼虫が巣から追い出す行為と推測される。
すなわち、よく考えると、
幼虫は枯草を巣穴から出したいわけで、その枯草を引き抜いたところで、
幼虫にとってはラッキーなことで枯草を噛み続けている必要がない。
一緒に引き上げられる可能性は当然低いはずである。

発想の転換が重要である。

この「枯草法」がダメな理由は以下の4点と分析した。
① 枯草にきっちり喰い付いていない可能性が高い。つまり巣の中から邪魔な枯草を頭を使って押し出しているだけの可能性が高い。
② そもそも枯草は脆く、きっちりハンミョウの幼虫が噛みつくことができないかもしれない。
③ 枯草が動いて地表付近に出て来た瞬間に手で枯草を引き上げていたが、おそらくハンミョウの視界に手が入った瞬間に、ずば抜けた反射神経ですぐに巣内に潜っている。
④ 枯草法を応用した「枯草シャベル法」は、掘るために巣に相当近づかねばならず、これまたハンミョウの幼虫視界に入ってしまう。

上の問題を見事に解決するため、私がとった作戦を以下に示す。
① 積極的に噛みつかせる方法にすべきで、疑似餌が良いはずである。
② 牙で挟みやすく(喰い付きやすく)するために、糸で作る。
③ しかも、メインの獲物であるアリに似せるため黒い糸を使い大きさをアリサイズにする。
④ 釣竿のようにして、私が1m程離れた所から疑似餌を扱い視界に入らないようにする。
⑤ 振動を感じているとすると真上から疑似餌を垂らすのは不自然なので、巣の周囲に疑似餌を落とし、アリの様な動きで巣の真上まで疑似餌を引きずる。

さて、完成したハンミョウ幼虫捕獲道具はこれである。
2013062601.JPG

疑似餌の部分のアップはこれである。胸部と腹部間のくびれも再現した。
2013062602.JPG


作製に要した時間、約10分間。

謎の自信があった。

つづく
次はクライマックスだ!

2013年08月14日LKM博士の勝手にベストセレクション
穴の中の生物③ ―大人編―

この巣穴は初秋~晩秋に発生する。
つまり、夏の間に成虫が卵を産んでいることはわかっていた。
しかし、有名なあのカラフルで美しいハンミョウを畑で目撃したことが無かった。

と、そんなある日、私の腕にハエかアブがとまった。
が、よく見ると甲虫である。
目を凝らして見ると、鋭い牙がある。
ハンミョウである。
いわゆるハンミョウ(ナミハンミョウ)の半分の大きさもなく、体色も地味であるが、
姿形は間違いなくハンミョウである。

とにかく身軽でよく飛ぶ。
素早い。
しかし、ハンミョウの仲間の飛び方は、数メートルから10 メートル飛んでは着地するのが特徴である(地面が多いが、植物上にとまることもある)。
高く、遠くに飛んで行くという飛び方ではない。
となると、本気になった私から逃げられるはずがない。
撮影成功! 間違いなくハンミョウの仲間である。

2013061901.JPG

その名はトウキョウヒメハンミョウ。
東京の小さなハンミョウという意味である。
実際、東京付近を中心に棲息している1 cmにも満たないハンミョウである。


2013061902.png

発達した牙(大顎)と大きな複眼。
両方共に獲物を素早く発見し噛み殺すための武器であり、
体は小さくても獰猛なハンターである。

芦田先生に確認してもらったが、
トウキョウヒメハンミョウで間違いないということであった。

ついに、あの巣穴の幼虫の正体がわかった。

つづく

2013年08月13日LKM博士の勝手にベストセレクション
穴の中の生物② ―出会い編―

昨日の写真ではわからないが、
ハンミョウの幼虫は、巣穴の外から見える頭部の下はコガネムシの幼虫の様なイモムシ系の肉体である。
もし巣穴を横から観察できるとしたら、
体の割に大きめの頭部を持ったイモムシが、
垂直に地中に伸びた竪穴に立っているような態勢である。

しかも、背中にフックのような突起が付いていて、地上に引っ張られる力が働いても、
簡単には巣から引き抜かれないような体形をしている。
この知識は図鑑から得たもので、私は本物を見たことが無い。
図鑑でも見られたことが無い多くの方には、文字で説明しても理解が難しいはずである。

従って、発見後、何度も私はこいつを吊り出そうと畑作業をそっちのけで夢中になった。
地面に屈んで枯草等を巣穴にそっと刺して、
幼虫がそれを押し上げた所を吊り上げようと挑戦するが、結局できずじまい。
(一応、「ハンミョウ釣り」という言葉はあり、この方法での成功例を稀に聞く。)

困った私は、共同研究者のシン君に仲介してもらい、
ハンミョウ分類の専門家の一人である京都大学の芦田久准教授(当時,現近畿大学教授)にメールし、どうやって釣り出したら良いか質問をした。
先生は朝日放送『探偵ナイトスクープ』でハンミョウ釣りネタの時にも登場されており、私はたまたま実家に帰った際にその放送を見ていたのである。
先生の本業は「糖鎖を介した微生物と生体の関わり」に関する研究なのであるが、
趣味の昆虫分類(新種発見)でも論文を多数出しておられる。

しかしながら、連絡をすると先生はその番組撮影中には釣れなかったらしい。
「あれ、かなり難しいですよ。ただ、この穴がハンミョウであることは間違いないです。」
という回答。

後々、この関係が共同研究に発展するのだから不思議な縁である。
京都大学とLKM512でキーワード検索してみて頂きたい。
2011年のビフィズス菌寿命伸長のニュースが沢山出てくるはずである。
参照:プレスリリース

この研究の一部のデータ作りを助けて頂いて論文にすることができたのであるが、
まさか、先生と私のファーストコンタクトが「ハンミョウの幼虫」だった事は誰も想像できないであろう。

芦田先生が探偵ナイトスクープで最終的に成功された方法は、
穴の入り口に顔を出した瞬間にスコップで掘り起こす作戦だったということで、やってみた。
しかしながら、散々やってみるも失敗の連続。

正直、大の大人が、地面に屈んでジーッと穴を見つめ、
突然、スコップで掘り起こす姿は異様だったことであろう。

ハンミョウの幼虫の巣は深さ30 cm程度はあるようで、
硬い地盤では一撃で掘り起こせるのはせいぜい深さ20 cm位が限界で困難である。
振動を敏感に感じ、しかも動きが素早いようで全く掘り出せない。
そうこうしている内に、2年の月日が経った。

つづく

2013年08月12日LKM博士の勝手にベストセレクション
穴の中の生物①

今日から6回にわたり公開するブログは仕上げるのに3年半も要した。
やっとブログとして公開できることを大変うれしく思う。
但し、私の熱意と苦労が、読者の皆様に伝わる自信はないし、
皆様にとっては大したことではない可能性が高い。
しかし、それなりの知識と努力と運が必要であることは主張しておく。

本編

畑の端(作物を植えないエリア)の湿気た硬い土壌に開いた直径5 mm程度の穴。
2013061801.JPG

鋭く尖った金属を地面に挿して抜いたような無味乾燥で人工的な様相すら感じる程に真ん丸である。
地面+穴=アリの巣
と連想する人もいるかもしれないが、こんなにまっすぐ地中に伸びる穴をアリは掘らない。
第一、護衛のアリがいないし、巣の中から運ばれてくる土やゴミがない。

と、勿体ぶる必要はない。
ハンミョウの仲間の幼虫の巣であることは明白なのである。
ハンミョウ(ナミハンミョウ※)は私が最も好きな昆虫の一つであるので間違えようがない。
※ナミハンミョウを一般的にはハンミョウと呼ぶ。知っている人は知っている、あのメタリックな青、緑、赤、白のカラフルな奴である。知らない方は、インターネットで調べて下さい。

この家主は、極めて用心深く、地面の振動等を敏感に感じる相手。
全ての気配を消してじっと待つしかない。
待つこと、4、5分。突如地中から頭が出てくる。
が、デジカメをそっと向けるとまた地中に。
とにかく用心深く、素早い。
またまた待つこと、5分か10分。
用心深くなっているので、なかなか出て来なくなる。
出てきた瞬間に撮影するが、シャッターが下りた時にはもう地中へ戻り写っていない。
これの繰り返し。
不思議なことに、撮影で狙っていない1 m向こうの複数の穴からは頭が見えている。
時間をかけて、なんとか撮影成功した写真がこれである。


2013061802.JPG

見えているのは頭部。
見難いが頭部にはハンティングには欠かせない大顎を持っている。
地中に垂直掘った巣穴に蓋をするように頭部だけ地表に出して獲物を待ち、
この近くをアリやイモムシなどが通ると、一瞬で頭を反らすように出してきて大顎で掴んで巣内に引きずり込むのである。

つづく

2013年08月08日LKM博士の勝手にベストセレクション
オンブバッタ牧場

今朝、オンブバッタの成虫2013年度第1号を確認しました。
羽化したばかりのメスで、何も傷がついておらず綺麗です。
20130808-1.JPG
バッタの仲間が成虫になり始めると、いよいよ夏も後半を迎えることを意味しております。

自宅には大量のオンブバッタがいます。
「飼っている」のか、「勝手にいる」のか?

毎年自然に生えてくるシソを私は適当に間引き10本ほどを大きく育てます。
毎年自然にそこにオンブバッタが発生します。

シソを食い荒らしますが、私は放置しています。
所詮、シソなんて必要な時で1日2~3枚、年間40枚位でしょう。
それ位は収穫できます。

シソとバッタの健全な生育を目指し、少々肥料も与えますし、
新芽を糸で巻いた穴に住みつくベニフキノメイガなどは退治します。

そもそも、私の真の目的はオンブバッタ目当てにやって来るカマキリですから!
そのためのオンブバッタ牧場です。

生きた獲物しか食べないカマキリを飼育する際は、餌採りが大変です。
この牧場は、その労力を省くために運営しています。
忙しい時や天気が悪くチョウの仲間が捕獲できない時は非常に重宝します。

上の写真のようにシソでない植物(これは牧場の横の鉢植えエダマメ)に被害を出した場合、そのバッタが優先的にカマキリの餌になるシステムです

先日、近くにいたハラビロカマキリにエダマメの新芽を食したバッタをプレゼントした時の写真です。
20130808-2.JPG
おいしそうに食べてくれました!

2013年07月16日
セミの羽化

35℃を超える暑さのため、既に7月末から8月上旬の夏本番の様な気がしますが、
まだ7月中旬に入ったところ。
例年では、まだ梅雨。
それを思い出させてくれる存在が昆虫です。

関東地方で一般的に最初に鳴き声が聞こえるセミはニイニイゼミ。
過去に紹介したことがある小柄なセミです
参照ブログ:ニイニイゼミ

6月下旬から泣き始め、7月下旬に梅雨が明けるまでは彼らの独壇場です。
実際、先週東京都西多摩郡日の出町で鳴いていたセミは100%がニイニイゼミでした。

そして、これからアブラゼミとミンミンゼミが登場します。

一昨日の夕方、そのどちらかの幼虫が羽化しようと地上に出てきた所を発見しました。
両種の幼虫の識別は難しい。
ちょっと面倒でしたが、今年初というものあり、自宅に持ち帰り鉢植えで羽化させました。

羽化に適した場所を探し中。
2013071601.JPG

八重さんの戦い(『八重の桜』を視聴)に感銘を受けている間に羽化開始!
上半身が既に垂れ下がっておりました。
2013071602.JPG>

まさに上体を起こす瞬間です。
2013071603.JPG


こうなると眺めていてもわかる位、翅がグングン伸びてきます。
2013071604.JPG

あとは全身が乾き表皮が硬くなるのを待つだけ。

2013071605.JPG


アブラゼミと予想しましたがこの翅の透明度から判断してミンミンゼミでした。
やっぱり難しい。

朝まで待てないので、撮影はこれにて終了。
おやすみなさい。

ということで、ボチボチ、関東地方ではミンミンゼミとアブラゼミの大合唱(大合奏と言うべきかもしれませんが)が始まり、夏本番を迎えます。

関西以西ではこれに早朝にクマゼミが加わるから暑苦しい・・・。


【捕獲時満足度】6(10点満点)個人的にはアブラゼミとミンミンゼミは見慣れているのと、本気出したら羽化シーズンなら必ず捕獲する自信があるので満足感は低い(他の種のセミなら点数は上がる)。子供受けが良い点はポイントアップ。

2013年06月06日
アシナガバエの仲間

体長1 cmにも満たない小さなハエである。
畑のジャガイモの葉の上におり、美しかったので暫く観察した。

2013060601.png

昆虫ならではの緑系メタリック色がたまらない。

しかし、こいつが何者なのか種レベルでは私にはわからない。

アシナガバエ科に属することはわかるが、
この仲間は日本だけでも500種以上存在すると推測されており、
専門家でない私がわかるわけもない。

よく見ると、背中に立派な毛が生えているのがわかるであろう。
この毛、専門用語で「剛毛」という。
「そのままやんけ」という声が聞こえそう。

実は、この剛毛の並び方が、ハエの種を識別する上で非常に重要なのである。
どの位置に何本あるか?
例えば、正中剛毛(正中線に沿って対になっている剛毛)の並び方で識別できる種もあるそうだ。

凄い世界である。
マニアック過ぎる。
というか、剛毛の位置でハエの種を見切ることができる研究者は世界中に何人位いるのか興味深い。

話はずれたが、少々調べた所、アシナガバエの成虫は肉食らしい。
小さな昆虫を捕獲して食べているということ。
ジャガイモのアブラムシでも食べるために来てくれたのだろうか?

【捕獲時満足度】3(10点満点)。ハエマニアではないので、綺麗と思うが大してテンションは上がらない。しかし綺麗なので捕獲したら誰かに見せたくなる。

2013年05月13日
なんとか捕獲!(注)爬虫類です

生垣の上に日光浴をしているカナヘビ発見!
正式にはニホンカナヘビ。
日本の固有種である。

こいつを捕まえるのは結構大変である。
とにかく素早い。

下に虫捕り網で構えて、上から落とす作戦に決定。

実行。
でも、失敗。
しかしまだ生垣の中にいる。
詳細は省くが、何とか捕獲!
5分間位は追いかけっこをしていたはずである。

なかなか精悍な顔である。
201305131.JPGヘビという名前は付くが、ちゃんと4本の足があるトカゲである。
腹側は極端に黄色い個体であった。
201315132.JPG私の知る限り、これは個体により白っぽい色から黄色、緑っぽい色、茶色まで様々あり、
雌雄の違いや繁殖期を示しているものではないようだ。

本州でよく見るトカゲの仲間は、主としてこのニホンカナヘビとニホントカゲがいる。
ニホントカゲは尾が青く、カナヘビよりウェット感がある皮膚である。
この2種くらいは識別できないと恥ずかしい。
いや、少なくとも私にはバカにされる。

2013年05月09日
抱卵エビ

自宅で飼育しているエビが卵を産みました。
抱卵している様子をどうぞ。

20130509.JPG


エビの体長が2 cm位なので、卵はめちゃくちゃ小さいです。

たぶんミナミヌマエビです。
「たぶん」というのは、ペットショップで購入したのではなく、
水路で捕獲したエビなので確信が持てないためです。

とはいえ、捕獲してきた個体ではありません。
その曾孫位にあたりますかね?
あるいは玄孫かもしれません。
当初の3匹から一時は50匹位まで増殖しておりましたが、
昨年は産卵しなかったので、一族が滅亡するかと思っていたのですが...。

少しずつなのですが世代を重ねるにつれ、体色が緑化してきている気がするのです。
わしゃわしゃと生育する水草に埋もれて生活しているからでしょうか?
小エビ達の色が楽しみです。

2013年04月23日
四月といえばこのクモです

過去に紹介したことがあるが、
4月なので、やはり4月が名前に付いているクモを紹介したくなる。
四月=卯月
そう、ウヅキコモリグモである。
ちなみに、
コモリグモ = 子守り蜘蛛
きっちりと子供(卵)を守るタイプのクモである。

巣を張るタイプなら卵の防御も簡単であろう。
しかし、この種は歩き回る(徘徊性)タイプ。
ずっと卵をくっつけて(引きずって?)歩き回る。
重労働であろう。

前回紹介したものより明瞭な卵嚢保有個体の写真がとれたので掲載する。
20130423.png

この腹部下の2つ目の腹のようなベージュ色の塊が多量の卵が包まれた卵嚢である。
もちろん、卵嚢は自分の糸で巻いて作られたものである。

ついでに、
クモは基本的に8つの眼を持っているが、
左側頭部の2つの眼も綺麗に写っているので見て頂きたい。

これは畑で見つけた個体である。
子蜘蛛には無事育ってもらって、
害虫たちを退治してもらいたいと願っている。

2013年03月21日
アシブトハナアブ

私がフナの水槽を洗っていたらアブがやってきました。
水を飲みたかったのでしょうか?
20130321.png

アシブトハナアブです。
漢字で書くと、たぶん「脚太花虻」。
この写真では見難いですが、後脚がバッタみたいに太く立派なのです。
翅があるのでこれでピョンピョン跳ねる姿は見たことないですが。

このブログで何度も書いていますが、今回もアブ擁護を繰り返します。

多くの皆様には、アブは危険な生物と受け止められているでしょうが、
我々を刺すアブはごく一部の種類です。

アブはハチではなくハエの親戚です。

もちろん、本種も見かけは少々獰猛な模様をしていますが、
名前の通り、花を愛するアブです。
植物の受粉にも貢献している生物です。
我々を刺してくるようなことは決してありません。

見かけたら優しく接してあげて下さい。

と言いつつ、私はよくカマキリの餌として捕獲する・・・

【捕獲時満足度】2(10点満点)どこにでもいる普通種のため。

2013年03月05日
啓蟄(2013年版) ―冬の枯れ枝系の蛾で祝いましょう―

虫好きの皆さん、おめでとうございます!
今日は啓蟄、虫達が活動し始めると言われている日です。

私も毎年忘れずブログにしています。
2010年 啓蟄

2011年 啓蟄(2011年版)どアップ(カマキリ編)で祝いましょう!
2012年 啓蟄(2012年版)新参者で祝いましょう

今年は、アヤモクメキリガで祝います。
2013030501.JPG

どうですか?
枯れ枝そっくりでしょ。
撮影用に私が無理矢理ブロッコリーの上に置いたのですが、
もちろん普段は木の幹などにとまっており、
折れた枝あるいは剥けた樹皮ように擬態しています。
見事な擬態なので、探して見つけるのはほぼ不可能です。

こいつは冬場でも成虫でウロウロして過ごします。
森が茶色い季節の枯れ枝系の擬態、見事です。

角度を変えてもう一枚!

2013030502.JPG


さらに凄いでしょう!!!
頭部から背中に、枝の年輪(木目)が見事に再現されてるーーーっ!

モクメキリガは漢字で書くと「木目切り蛾」のはずです。
(アヤが何に由来しているのかは知りません。)

その名に恥じないこの姿。
どう見ても見事な『枯れ枝の一部』です。

虫の進化の凄さを感じながら、
今年も目の前に現れた虫達を紹介しようと思います。

2013年01月21日
凍てつく土壌の中には

朝、畑に行くと水気を含む土壌は完全に凍っています。
その土壌を鍬でガツンとやると、
5~10 cm程度の深部の凍結していない柔らかい土との境目で、
表層側の凍ったままの土が塊として、ゴロッと浮き上がります。
ハクサイの生えていた土壌をこの方法でひっくり返すと、
あらら、こんなのが出てきました。
2013012101.JPG


蛾のサナギが3つもっ w(゚o゚)w
おそらくヨトウガの仲間でしょう。
おそらく、ハクサイを食い荒らしたこいつが成長したものです
参照ブログ:2012年版 野菜作ってます28 ―1週間で・・・、とほほ―

3個体ともギリギリ凍結しない深さで蛹になっているのは興味深い。

取り出して、もう少しアップで見てみましょう。

2013012102.JPG


右側が頭部、その横に翅になる部分があります。
手前が背中側です。
そして太い節のある胴体。
『蛾』を感じ取ることができます。

少々可哀想、でもハクサイを食べた憎い奴。
私とは真剣勝負をしていた相手です。
もし気付かれずに春に羽化していたら、容赦なく野菜を攻撃してくることでしょう。
このまま放置して鳥の餌にしておきました。

2012年12月12日
オオカマキリの卵

先日のブログ(参照ブログ:今年最後のカマキリかな)に登場したオオカマキリの卵です。
この個体が私のモロヘイヤに産んだ卵です。

2012121201.JPG

従いまして、卵が産み付けられている枯れた植物は、モロヘイヤの茎です。

カマキリの卵は、正確には卵鞘(らんしょう)と呼びます。
卵嚢(らんのう)と呼ぶこともありますが、嚢は袋と言う意味で、
クモの卵などが入っている袋状のものをイメージするので、私は卵鞘を使っています。
この卵鞘の中に、多量の気泡と共に大体200~300個の細長い卵が入っています。

卵鞘は見た目の通り、断熱効果も強く真冬でも卵が凍死することはありません。
触られた経験のある方はわかると思いますが、衝撃に非常に強いです。
特にオオカマキリのものは耐衝撃性が抜群に良いと思います。

2012121202.JPG


これ正面からの写真です。
本気の一撃で踏んでも、半数以上の卵は生き残ってそうなイメージです。
(実際は可哀想でやったことありません)

実は、この卵鞘の形状はカマキリの種類により大きく異なります。
昨年紹介したハラビロカマキリの卵は(参照ブログ:孵化の頃には)、
もう少し硬そうで、もう少し流線型で、黒光りしています。

成虫がオオカマキリと酷似しているチョウセンカマキリでも、
卵鞘は全く異なり、細長い形状です。
今度発見したら紹介します。

カマキリが卵の産みつける高さで、
その年の積雪量がわかるという迷信みたいなものがありましたが、
私が知る限り、幾つかの調査でそれは間違いだということに決着していると思います。

動くものを獲物にして食べるのみ!
比類なきハンターが、緻密に雪の高さなんて予測していて欲しくないものです。
卵鞘の断熱効果で、雪の中に埋まっても、どうってことないということでしょう。

2012年10月25日
今年最後のカマキリかな

今年最後のカマキリだと思います。

立派な茶色系のオオカマキリのメスがギロリッ。
201210251.JPG
しばらく私の巨大モロヘイヤに住んでいた個体だと思います。
私がモロヘイヤを引き抜いたためにウロウロしていたのでしょう。

かなり凶暴で、手で掴むと鎌で私の指を攻撃してくるだけでなく、
噛みついて手を食べようとする奴でした。
ですが、愛嬌もありました。

何故かこのお手上げポーズが得意!
厳密にはお手下げかもしれませんが。
201210252.JPG

モロヘイヤを抜き倒したら、
こいつのものと思われる卵がありました。

当然のように持ち帰りましたので、また紹介します。

2012年10月18日
クロシタアオイラガ

今日は危険な虫の紹介です。

研究所の入口で発見しました。

2012101801.JPG


その名はクロシタアオイラガ。
もちろん「ガ」とつきますから蛾の幼虫です。
イラガの仲間です。
イラガは漢字で書くと『刺蛾』と書き、幼虫が毒を持っている仲間です。
幼虫の体長は2.0 mm弱で、足が短く見えないので、
ナメクジやウミウシのような体型のイモムシです。

この毒々しい色合いと風貌からもご想像の通り、刺します。
しかも、そんじょそこらの痛さではありません。

激痛です。

私も刺されたことがありますが、刺された瞬間に電撃的な痛みです。
『電気虫』と呼ぶ地域もあるそうです。
たとえ仕事で大事なプレゼンがあっても、休みたくなる痛さだと思います。

せっかくなのでアップにしてみました。

2012101802.png


どうですか、このトゲトゲ突起による完全武装!!!!!
トゲと毒腺と繋がっており、触った瞬間に毒液を注入してきます。
ちゃんと治療しないと数日から1週間位はダメージが残るはずです。

ちなみに、成虫は淡緑色の珍しい色ですが、
毒は持っていない数cmの目立たない蛾です。

ガーデニングをする方から聞いた話では、もし刺されたら、
まず、セロハンテープで刺された所を何度も貼ったり剥がしたりすると良いらしいです。
眼に見えないが患部に残っている毒付のトゲを取り除くのです。
それから薬局に行って薬を塗ります。

最後に蛾の名誉のために言っておきますが、刺す蛾は極めて少数派で、
殆どの蛾の幼虫は触っても大丈夫です。
たとえ、毛むくじゃらでも。

2012年10月11日
運悪く、運良く

9月、10月は、夏野菜から秋冬野菜への切り替えのため、畑を耕します。
耕すというのはクワで掘り起こすということです。
そうしますと、たまに、コガネムシの幼虫が出てきます。

ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、コロッ
って感じで出てきます。

作物に悪いことをする場合もありますが、
有機物を食べて良いウンコを出す役割もありますので、私は敢えて退治しません。

放っておくと、30秒以内に土の中に潜っていきます。

しかし、運悪く、アリに捕まると大変です。
20121010.png


牙で噛まれて、巣まで引きずられていきます。
なんとかもがいて逃げようとしますが、スピードが違いますから逃げ切れません。
こういうタイプの幼虫は、筋肉質でタンパク質豊富でしょうから、
アリも頑張って運びます。

コガネムシには不運なことですが、アリにとっては幸運なこと。
私にとってもブログネタができましたので幸運なことだったと思います。

2012年10月09日
マダラスズ

鳴く虫の季節でありますが、このコオロギを知っている人は少ないでしょう。
2012100901.png

見た目の特徴は、白(灰色?)と黒の斑(まだら)模様の後足で、
そこから名前が付いたのは言うまでもない。
開発で激減している種類ではなく、
住宅地などの空き地などに普通にいるコオロギである。
しかし、この虫のことを誰も知らない。

理由は、小さいことによるのか(?)
体長6~12 mm程度。

人差し指と比較するとこんな程度である。
2012100902.JPG

例え見つけたとしても、「あっ、コオロギの子供」と思われる程度で、
一般的にはどうでも良い存在に違いない。

「あっ、見たことある」という感覚さえ、皆さん、持っていない虫ではないだろうか。
もちろん、上の写真の個体も翅の生えた立派な成虫である。

話はずれるが、
成虫に向かって、体が小さいから「子供(幼虫)」と適当に
子供に教える癖は止めるべきだ!

と全国のちびっこの親御さんには伝えたい。

話を戻して、鳴き声が今一地味であることも不利に働いている。
「ジーッ、ジーッ、ジーッ」あるいは「ビーッ、ビーッ、ビーッ」と聞こえる。
規則正しく鳴くのが特徴であるが、大して音も大きくない。
残念ながら、飼育して鳴き声を楽しむレベルには達していない。

しかし、こいつ、他の秋に鳴く虫(キリギリス、コオロギ類)には無い特徴を持っている。
年に2度繁殖するのである(寒冷地を除く)。
つまり、6月頃に成虫になり産卵し、それが産まれて再びこの時期に成虫になるのである。
したがって、初夏にも鳴いている数少ない虫なのである。

よく考えれば、少しでも目立つように、
このブログでも初夏に紹介してあげればよかったと、
反省しつつ、マダラスズの紹介を終えようと思う。

2012年10月02日
キイロテントウ

このブログ5種類目のテントウムシの登場です。
見かけそのまま、キイロテントウ。

こいつも、先日紹介したヒメカメノコテントウ(参照ブログ:ヒメカメノコテントウ
と同じ位のサイズで、小型のテントウムシで体長4~5 mm程度です。

20121002.JPG


動きも素早く、危険を察知すると(私の存在に気付くと)、
すぐに飛んで逃げていく個体が多いです。

エナメル系の黄色一色で、胸部の2つの黒の斑紋もオシャレです。
(この色、白鵬が14回目の優勝を決めた後の14日目と千秋楽にのみしめた黄金まわしを思い出すのは私だけであろうか?)

一般的なナナホシテントウやナミテントウでも小さいと感じる普通の方には、
このキイロテントウは小さ過ぎ見つけられず、
たとえ発見しても、斑紋が無いのでテントウムシとは思わない人が多いはずです。

図鑑で見たことはあるけど、本物は見たことないという方も多いのではないでしょうか。
私も実は畑作業をやるまでは図鑑だけの昆虫でした。
しかし、畑で虫眼(心の奥で「虫がいたらうれしいな」と無意識に探している状態・心構え)で作業をしていたら、たまに出会えるのです!

その理由はキイロテントウの食性にあります。
実は、アブラムシを食べるのではなく、うどんこ病菌を食べるのです。
うどんこ病とは、うどん粉をまいたように葉が白くなり、
どんどん広がり光合成が阻害されるなどの被害が出る病気です。

そうです、畑の作物、特にナス科の植物、とりわけキュウリは高頻度で
この被害を受け易いので、それを食べに来ているのです。

どのようなセンサーでうどんこ病を嗅ぎつけているのか謎ですが、
「キイロテントウいる所、うどんこ病あり」ということです。
ちなみに写真はナスの枝で見つけた個体です。
植物にとってはありがたいテントウムシなのです。

最後に、ちょっと微生物を扱う立場の人間として言わせてもらうと、
うどん粉病『菌』と呼ばれていますが、厳密には細菌(バクテリア)ではなく
カビの仲間で、白いのは胞子です。

2012年09月24日LKM博士の勝手にベストセレクション
仁義なき戦い 優曇華の花編(後半)

この前に是非、前半を読んで下さい
*参照ブログ:仁義なき戦い 優曇華の花編(前半)
昨日の写真をアップにしてみましたので、よーく見て下さい(それでも小さい)。
20120924.png

この写真の寄生蜂は、おそらくクロタマゴバチだと思います。

聞き慣れない方は初耳だと思いますが、他の昆虫に寄生して育つ寄生蜂ってたくさんの種類がいるのです。
ハチといえども昆虫に寄生するわけですから、あのミツバチよりもずっとずっと小さいものが殆どで、体長1 mm未満の極小サイズのものも多数存在します。
多いのは、蝶やガの幼虫の時期に寄生蜂の成虫が卵を体内に産み付け体内で成長し、
蛹になった頃に寄生主の体内を食い荒らして出てくるというパターンです。

こいつに寄生されていた蝶の幼虫を飼育していた場合の悲劇①
幼虫から愛情を持って育てていて、蛹になって羽化を待っていたら、何故か中から小さなハチが出てくるわけですから、結構びっくりします。

こいつに寄生されていた蝶の幼虫を飼育していた場合の悲劇②
もし、その飼育を小さい子供と一緒にしていたら、その衝撃度は大きく、事実を教えたら間違いなく子供は泣いてしまいます。

こいつに寄生されていた蝶の幼虫を飼育していた場合の悲劇③
もし、寄生蜂に気が付かなかった場合、いつまでも羽化しなく、自分が何かミスをしたのか思い悩みます。(もちろん観察をすれば蛹に寄生蜂が出て行った穴が空いていますが。)

私の知る限り、クロタマゴバチは比較的少数派の卵に寄生するタイプ。
昆虫の卵は、非常に小さいですが、幼虫に寄生するより簡単なのです。
幼虫に寄生すると、この幼虫体内の生体防御システムが完成しているので、これと戦わねばなりません。
つまり、侵入者を排除しようとする、幼虫の免疫細胞(哺乳類でいう血中のリンパ球など)との戦いです。
しかし、卵時代は免疫細胞が発達しておらず、寄生の邪魔をされないのです。
但し、寄生する側には、卵内で成長するための、小さな体が必要になってきます。

ちなみに、この寄生蜂に寄生する寄生蜂(二次寄生蜂)も存在しますので、奥が深い凄い世界です。
はっきり言って、私が撮影しこのブログで紹介することは不可能でしょう。

優曇華の花など呼ばれ神秘的な姿をしていますが、常に危険にさらされています。
昆虫界は常にこのような仁義なき戦いの舞台でもあるのです。

2012年09月21日
仁義なき戦い 優曇華の花編(前半)

優曇華の花が何の事かわからない方は、昨日のブログ(優曇華の花)をご覧下さい。

場所はサトイモの巨大な葉の裏。
アブラムシが多いので、当然優曇華の花も見つかる可能性が高いのです。
もっと良い優曇華の花の写真を撮ろうと、ちょっと探して発見。

20120921.JPG


昨日紹介したものより数が多く、少し黄緑染みていて綺麗な色です。
背景が一面に緑で、優曇華の花が風に揺れるので、なかなかデジカメのピントが合わず苦労していました。
と、何度か撮影を繰り返していると、何か黒いものがいることに気が付きました。
体長1mm程度のものが卵からウニウニと這うように出てきます。
「幼虫か?孵化の瞬間や~、ラッキー」

でも、よーく見ると、私が知っているクサカゲロウの幼虫ではありません。
クサカゲロウの幼虫の姿はあの有名なアリジゴクに似ています。
この黒い虫は、めちゃくちゃ小さくて見極めるのが大変なのですが、絶対に違います。
しばらくすると翅のようなものが見えてきました。
指で掴もうとすると、その内一匹は飛んで行ってしまいました。
ハエ????
いや、もしかして、寄生蜂?????
寄生蜂が卵の中で育ち、それが羽化している瞬間だったようです。


次回へ続く...。

2012年09月20日
優曇華の花

うどんげのはな」と読みます。

仏教経典に出てくる「三千年に一度咲く花」の事で、花が咲く時には如来様が降臨したり立派な王様が出現したり、良いことが次々と起こるとされています。

日本でも「めったにないもの」を例える用語として使われております。
また、『竹取物語』『源氏物語』などの古典文学や、田山花袋『道綱の母』、
夏目漱石『虞美人草』などの近代文学にも、三千年に一度咲く架空の花として、
その名が登場します。

一方で、実在するクワ科のフサナリイチジクを指す場合、昆虫クサカゲロウの卵塊を指す場合もあります。
・・・
以上、インターネットで調べたものを抜粋して簡単に解説しました。

クサカゲロウの卵が優曇華の花!?
聞いたことあったような、なかったような...。

では、そのクサカゲロウバージョンの優曇華の花をご覧下さい。
2012092001.png


2 cm程度の卵柄の先に、1 mm程度の卵がついています。
一つ一つ丁寧に産み付けられております。
これは孵化前の卵ですが、孵化後に卵が割れて開いた状態を開花に見立てる方もいるようです。つまり、これはつぼみの状態。

なんとなく神秘性は感じますが、三千年の一度咲くという程に珍しいものではありません。
幼虫の餌のアブラムシがいる所では結構発見できます。
ほら、ミニトマトの先にも!

2012092002.png


少し卵柄が折れているのは、運搬中に他の収穫物に押されてしまったためです。

ちなみに、成虫は先日のブログ(参照ブログ:クサカゲロウ)で紹介したこいつです。

2012年09月12日
クサカゲロウ

8月に撮った、私のお気に入り写真をどうぞ。
2012091201.JPG

ナスの葉の下でひっそりと隠れているクサカゲロウの様子が、
ピンボケにより表現されている写真です。
ここで一句、
「夏空に 涼しげな姿の クサカゲロウ」

失礼して葉っぱをめくって撮影させてもらいました。

2012091202.png


体長2 cm程度の綺麗な姿です。
バッタの緑色より優しい感じの白っぽい黄緑色の体、
翅には網目状の白黄緑色の線(翅脈という)があります。
そして、翅の触感はトンボとは異なり、ふわっと柔らかいのです。
そして体も非常に柔らかい。
飛び方も、ふわふわしており、お世辞にも上手とはいえません。
アリジゴクの親として有名なウスバカゲロウをご存知の方なら、
あれの小型黄緑バージョンと思ってもらって問題ありません。
とは書いたものの、
少し背丈が高い草むら等に棲息し、ウスバカゲロウよりも普通にみられる種類なので、
ウスバカゲロウを捕獲したことがある方は、クサカゲロウは捕獲したことがあるでしょう。

実はクサカゲロウの仲間は種類が多く、日本では40種類位が存在しておりますが、
私は種類を識別できません。

また、語源も説が二つあります。
この草色の体色から、草カゲロウと名付けられたという説と、
臭いカゲロウという意味で、臭カゲロウと名付けられたとする説があります。
実は、めちゃくちゃ臭いニオイを発するクサカゲロウもいるのです。
日本では4、5種類のクサカゲロウが強烈なニオイを出すそうですが、
幸か不幸か、私は出会ったことがありません。
ネットでクサカゲロウ臭を調べたところ、歯周病の人の口臭のパワーアップ版だそうです。

2012年09月06日
オオシオカラトンボ(オス)

順番が逆かもしれません。
今日は、先日のブログで犠牲になったオオシオカラトンボを紹介します。
生前の写真です。
2012090601.JPG

シオカラトンボと間違える人がたまにいますが、簡単に識別できます。
名前の通り、少しがっしりして大きのですが、それ以上に体色の青が濃いです。
あと、顔が真っ黒で、シオカラトンボのように淡い青色(青緑?)ではありません。
また、翅の根本と腹の先端(写真切れててすいません)が黒いのも違いです。
ちなみにメスは、オスの青い部分が黄色です。

飛び回っているというより、草の先端などにとまっているのが殆どで、
蚊やアブなどの獲物が縄張り内に入ると、捕獲して食べます。
よーく見ると、口をモゴモゴして食事中のこともあります。

2012090602.png

アップ~。トンボの複眼は比較的カラフルなのですが、見事に真っ黒。
完全に悪者の顔ですね。
脚のトゲトゲも見て下さい。
肉食昆虫であることがわかって頂けると思います。

とんぼのめがねは水色めがね、あーおいお空をとんだから、とーんだかーら
とんぼのめがねはピカピカめがね、おてんとさまをみてたから、みーてたかーらー
とんぼのめがねは赤色めがね、夕焼け雲をとんだから、とーんだかーら

作詞家はオオシオカラトンボが頭になかったことだけは確実です。
私なら、サングラスバージョンを作りますがね・・・。

2012年09月03日
オオカマキリの成長

オオカマキリは成長していくと、獲物も大きな昆虫を食べるようになります。
成虫のメスの個体の大物だと、体長が10 cmを超え、
アゲハチョウやトンボはお手の物、アブラゼミ位のパワフルな昆虫も獲物にすることができます。
また、スズメバチを獲物にすることもあります。
ただ、オオスズメバチのような最高レベルのハンターとの戦いになると、
どちらが先に相手を発見し攻撃体勢に入るのか(ロックオンできるか)が勝負の分かれ目になります。

さて、前回紹介した終齢幼虫位ですと、まだ、体長1~3 cm程度のバッタ類やアブ、翅を広げても3~4 cm辺りのチョウ主食としています。
そこで、頭から尾まで6~7 cmのオオシオカラトンボ(ほぼ自分と同サイズ)を与えてみました。
すぐに気が付き、ゆっくり近づくのですが、そのスピードはヒシバッタ発見時と異なり遅いです。
明らかにビビっています。
さらに、もうカマを伸ばせば届く距離に接近しても飛び掛かりません。
ビビりまくっています。
待つこと20分間、どれだけ私が蚊の攻撃を受けたことか...。
(ちなみに私は幼い頃からこんな遊びばかりしていますので、
蚊にかまれても、ほんの30分位で跡形なく消失する体質になりました。)
勇気を振り絞って、やっと飛び掛かりました。
20120903.JPG


捕まえてしまえば、後は小さかろうが、大きかろうが、ムシャムシャ食べるだけ。
私の観察経験では、次からは、同サイズの獲物なら、迷わず攻撃するようになります。
ヒトもカマキリも同じ、少し高いレベルに挑戦して成長していくのであります。
現状維持はあかんよー。

2012年08月31日
オオカマキリ飼育中

カマキリは眼で獲物を捕らえる待ち伏せ型の肉食昆虫です。
従って、飼育中は生餌をやらねばなりません。

最も捕まえやすい生餌は断トツでオンブバッタ。
私は小学生の頃から、カマキリの餌用オンブバッタを育てる用シソを栽培しました。
(この話はまた機会があれば書かせてもらいます。)
次はヒシバッタとシジミチョウでしょうか。
20120831.pngヒシバッタをむしゃぼり喰う姿です。
虫かごを開けて、デジカメ最接近です。

凶暴と感じられる方もいるでしょうが、そう思ったら最後、カマキリとは付き合えません。
私など、非常においしそうに食べていると感じるので、
観察していると、こっちのお腹がへってきてしまいます。

昆虫界では食物連鎖の最上位に位置するカマキリですから、
これ位の迫力はなくてはなりません。

2012年08月29日
エンマコオロギ(終齢幼虫)

関東地方は全く雨が降りません。
通常は水などまかない露地栽培の畑も、連日の真夏日で、いよいよ干からびてきました。
仕方なしに、新しい苗等を定植すると、頑張って水をまいています。

虫達も水がうれしいのでしょうか?
ジョウロで水をまいていると、エンマコオロギが寒冷紗を登ってきました。
しかも、私が覗き込んでも恐れることもなく、全く逃げません。
さすが閻魔様! やたらと堂々としていました。
20120829.JPG

昨年紹介した個体(参照ブログ:怖そうなコオロギ)と異なり、これはまだ幼虫です。

あと一度脱皮したら成虫になる終齢幼虫です。
基本中の基本ですが、翅はまだ生えていないので幼虫とわかります。

そして、メスです。
これも基本中の基本ですが、キリギリス、コオロギの仲間は、
お尻の先に管(産卵管)があるか否かで性別を見分けます。
(私が何回説明しても、「なんでわかるの?」と聞いてくる人がいるんですね~)

この写真、注意して頂きたいのですが、触角の根本の光沢のある蟹の眼のような球は水滴で、本当の眼はその後ろ側の黒い丸ですから。

それにしても、見事な水のはじきっぷりですね!
これを見て、愛車を洗って撥水コーティングの効果を取り戻そうと決意したのでありました。

というのは、ウソです。
(この前も使ったな、この締め方 (・_+)>゛)

2012年08月27日
アオクサカメムシ(幼虫)

前回紹介したカメムシの卵ですが、しばらくすると、ゾロゾロと孵化します。
私の知る限り、多くのカメムシの幼虫は、
卵の中から上方を押し上げ、先端部を円状にパカッとくり抜くような感じで出てきます。

小さな幼虫は産み付けられた植物の汁を吸い始め、
1週間単位で脱皮を繰り返すような猛烈なスピードで成長し始めます。
産まれてしばらくのカメムシは、移動距離も少なく、集団でいることが多いのですが、
成長とともに単独行動し、食欲もドンドン増加しますので、植物の被害は甚大です。

カメムシは不完全変態(サナギにならない)ですが、幼虫の姿は成虫と似ていないことが殆どです。


20120827.jpg

これ、アオクサカメムシの2齢幼虫(1回脱皮した幼虫)です。
デジカメを必死で近づけて撮影したので大きく見えますが、体長僅か2~3 mmです。
あおく(緑)なーい!

終齢幼虫(成虫になる直前)はこんな感じ→参照ブログ:好きでない虫

成虫はこんな姿→参照ブログ:好きでない虫2

全然違いますよね。
3齢幼虫、4齢幼虫と、脱皮毎に緑の部分が増え、体が角ばってきます。
撮影できなかったのは残念ですが、野菜が甚大な被害を受けますので退治しました。

ちなみに、写真の頃は、歩くのもぎこちなく遅く、体も柔らかいです。
軽く指で捕まえようと触るだけでつぶれることもあります。
しかーし、油断してはなりません。
刺激すると成虫と同じ臭いを出します。
成虫より弱いですが、地面で踏み潰しても、1.6 m上方の鼻で感知できるので、相当のパワーです。
さすがカメムシ!

2012年08月24日
○○の卵

これ何でしょう?

20120824.JPG

ある昆虫の卵ということはわかりますかね?
下側に見えるのはミニトマトですから、大体の大きさは想像がつくと思います。
1個の卵の大きさは直径1 mm×高さ1 mm程度の少し丸みのある円柱ですね。
これが16個並んでいます。

正解はカメムシです。
私のカメムシ知識では卵から種類までは特定できませんが、出現頻度から判断すると、
先日紹介したチャバネアオカメムシアオクサカメムシの可能性が高いです。

カメムシの仲間は、几帳面に卵を並べて産み付けます。
嫌われ者ですが、孵化するまで親が守る、子煩悩なカメムシもいます。
水中での生活に進化したコオイムシもカメムシの仲間ですが、
オスの背中に卵を産み付けるのは有名です。
あの背中に背負っている卵と形が似ているでしょ!

机の上が崩壊状態の私は、
「この几帳面さは、少し見習わなくてはいかんな~」
とカメムシの卵を見る度に思い出す今日この頃です。

というのは、ウソです。

2012年08月23日
アヅチグモ

網を張らず、花などの側で待ち伏せするタイプのクモで、カニグモ科に属します。
カニグモ科のカニは蟹で、蟹に似た姿をしています。
8本足の前の6本(3対)が前側に、後ろの2本(1対)のみが後側に向いています。
さらに前の4本(2対)が特に発達していて蟹のハサミを彷彿とさせます。
カニグモ科の中には、色々な種類がありますが、
花の側で待ち伏せをしているハナグモ属の仲間(緑色のものが多い)が最も有名で、
多くの方が目にしたことがあると思います。

今回紹介するのは、カニグモ科アヅチグモ属のアヅチグモ。
(アズチグモとの表記もありますが、どちらが正しいのかはわかりませんので悪しからず)
ハナグモより腹の部分が大きくずんぐりした体型です。
こいつは体長2~8mm(オス3mm程度、メス6~8mm)と小さいですが強いです。
20120823.png


ミツバチを捕獲して食しているところを発見しましたので紹介します。
体長で判断すると、自分の5倍程ありますよね。
体重だと、20倍以上はあるのではないでしょうか。
このクモは、他にも蝶やアブなど、植物に寄ってきた自分より大きな獲物を捕まえます。

飛翔能力が強い昆虫達が獲物ですから、抱え込んでも空中に体ごと持ち上げられそうなものですが、植物にしがみつき、振り払われることなく息の根を止めてしまいます。
脚力が滅茶苦茶強いのでしょうね。
私の勝手な想像では、
ヒトの場合、飛び立とうとする小型ヘリコプターにしがみついて墜落させるイメージです。

こんな凶暴なアヅチグモですが、おにぎり型の腹部の斑紋がかわいらしいです。
個体差が大きいですが、
この個体の斑紋は、眉毛、眼、眼、口の、ちょっとサル似の人の顔に見えませんか?

2012年08月16日
チャバネアオカメムシ

チャバネといえばゴキブリという方は多いと思いますが、
今日は、チャバネはチャバネでもカメムシを紹介します。
その名はチャバネアオカメムシ。

昆虫の名前には色が付くことが多いですが、
こいつは名前に色が二つ付きます。
漢字で書くと、茶翅青亀虫
茶色いのか青い(緑)なのか、はっきりしろと言われそうなネーミングです。
わかり易くいうと、茶色い翅のアオカメムシという意味です。
従って、ツヤアオカメムシ(独特の艶がある)やミナミアオカメムシ(熱帯にいる)など、色々なアオカメムシが存在しています。

引っ張り過ぎましたね。これが写真です。

20120816.png


基本的にカメムシは口針を刺して、農作物にダメージを与えるので害虫扱いされますが、
こいつは、その中でも実績十分、トップクラスの害虫です。
つまり、被害が大きいのです。
主としてスギやヒノキの実をメインの食事としているようですが、成虫になると果樹園や畑に飛んできて悪さをするのです。
集合フェロモンを出すようで、集まるのが得意なようです。
余りに被害が大きいので、このフェロモンの研究も進み、化学構造までわかっています。

私のエダマメも、後半の5株がこいつらの集団攻撃を受けまして、見事な失敗に終わりました。
最盛期には100匹はいたでしょうか。
「こいつら、集合フェロモンを使いやがったな (`〆´)」
と怒りながら地面に叩き落として踏み潰すのですが、
潰しても潰しても、物凄い数で切がなく、しかも身軽に飛び回ります。
一匹でも恐ろしいカメムシが顔に向かって飛んできたら、さすがに怯みます。
挙句の果てに、その反撃悪臭で、私が倒れそうになるという恐ろしい体験でした。

2012年08月14日
マメコガネ

あまりにも普通にいる昆虫なので、
今まで写真を撮るのも面倒で紹介していませんでした。
世間はお盆期間中、軽く紹介するには良い昆虫です。
20120814.JPG


体長1 cm前後(0.8~1.5 cm)。
色々な種類の植物の葉や花を食べる昆虫です。
集団というか、数匹から5、6匹で植物を食べている姿をよく見かけます。
農作物の葉や花も食べるので、完全に害虫扱いされています。

北アメリカでは天敵がいないらしく、その害虫度合が凄いらしいです。
日本在来種でしたが、20世紀前半に移入したら一気に広がり、
めちゃくちゃ嫌われているそうです。
『ジャパニーズ・ビートル』と名付けられ、恐れられています。

「弱腰日本を感じる今日この頃、害虫やけど、なかなか力強いやんけ!」

コガネムシ系独特のメタリックな色使いは素敵です。
頭部と胸部の緑系メタリック色に対し、腹部後翅の褐色系メタリック色(銅メダル色)。
裏側は黒緑のメタリック色。
そして、後腹の縁には短い毛で白い縞模様。
胸部と腹部と左右の翅の境界の部分のおしゃれなV字模様。
いつも悩むのですが、単純に進化という言葉では理解できないデザインです。

写真の個体は、私のモロヘイヤを食べているところ。
デジカメを向けたら、突然、ウンコをしました。

2012年08月10日
今年もハラビロカマキリ!

毎年、お馴染みですが、大好きなハラビロカマキリの幼虫の登場です。
私の記憶が正しければ、このブログには4回目の登場です。

私の梅の盆栽にいました。
20120810.JPG
遠くから見ると、梅の幹から出ている新しい枝と葉に感じる、
絶妙な擬態だと思います。
私の眼はこの程度では誤魔化されませんが...。

昨年も書きましたが、幼虫時代のこのカマキリ(日本のカマキリ)だけに特徴的な、
この腹の反り具合がなんとも愛嬌があり好きです。
ちらっとこちらを見ている顔も凛々しい。

秋に成虫になるカマキリ達は、これから幼虫時代の最終段階に入り、
最後の脱皮を迎える頃です。
こいつは、まだ3 cm位だったので、あと2回の脱皮で成虫になると思います。
無事、成虫になってもらいたいものです。

本日は紹介しませんが、実は、現在、オオカマキリを飼育中です。
出勤前に、餌用の虫採りに励む日がある、今日この頃。

2012年08月07日
肉団子 材料は・・・

あやしいタイトルと思われたでしょう。
このブログのファンなら、「まさか、ウンコ系ネタではないか...」
という心配が頭をよぎったかもしれません。
いえいえ、真夏といえば虫ネタです。

肉団子の材料は蝶あるいは蛾の幼虫(イモムシ)。
料理人はコアシナガバチです。
20120807.png
(以前紹介したキボシアシナガバチとの区別がややこしいのですが、
背中の紋が黄色いので、たぶんコアシナガバチです。
キボシアシナガバチはもう少し赤褐色なはずです。)

どうですか! 見事に団子にされているでしょう。
見方によれば、和菓子にも見えます。
これ巣に持ち帰る直前です。幼虫の餌にします。

調理法(いたってシンプル)
①イモムシ(たぶん種類は問わない)(※1)を発見次第、馬乗りになり噛み殺す(※2)。
②柔らかい肉の部分を前足で抱え回しながら牙で噛み砕く
(ミンチ肉を作るというより、包丁で魚のなめろうを作るイメージで)
③頭部など硬い部分は団子には入れない(※3)
④途中、イモムシから溢れ出る肉汁は無駄にせず口で吸いこむ(※4)。
⑤適度な大きさの団子(抱えて飛べる重さ)にして、盛り付けないで巣に持ち帰る。

※1 毛深いタイプは好みませんが、自分の体より大きくても構わない。
※2 私のこれまでの観察結果では毒針は使いません。
※3 ②の作業中に切り落とすことも多いです。
あまりイモムシを観察したことない方はわからないと思いますが、
ぶにょぶにょした軟らかそうに思える肉体でも頭部は堅いです。
葉を喰いちぎる牙がありますから。
※4 これも巣に帰って胃から吐き戻して幼虫に与えます。
成虫はハンティングした獲物ではなく、
巣の幼虫が出す糖分を食べて生きていると言われています。

つなぎもなく粘性のある綺麗な団子になるので、
唾液等を配合している可能性はありますが、わかりません。

2012年07月24日
ナガメ

北海道から帰ってきました。
疲れていて、ブログネタが浮かばないので、
昨日に続きカメムシシリーズで対応します。

昨日とは対照的に、がっちりタイプで、さらに毒々しい色使いのカメムシを紹介します。
ナガメです。
20120724.png
この黒地にオレンジ色、どうですか?
触りたくないでしょう?

ナガメとは、菜の花によくいるカメムシという意味です。
菜の花だけでなく、アブラナ科の植物全般が大好きなようです。
一匹でいるというより、結構集団でいることが多く、
この写真のように、交尾している姿に出会う機会が多いです。
そして、時々他のオスに邪魔されている姿を目にすることもあります。
実は、この写真、穴をよーく見て下さい。
葉に開いた穴から、裏側にいる別のナガメの体の一部が僅かに見えています。
わかりますかね?
こいつは邪魔をしていた個体ですが、カメラを向けると裏側に逃げて行きました。

よく見ると、この模様は顔に見えませんか?
わからない?
下側の個体を見て下さい。
オレンジの線で、眼、眼、鼻、鼻とくっついた口。
ちょっと怒り気味のスキンヘッドのおっちゃんの顔
に、私は見えます。

2012年07月23日
クモヘリカメムシ

カメムシといえば肩幅が広く逆三角形のガッシリ体系をしいますが、
今日は細いガリガリのカメムシを紹介します。
関取で言えば、隆の山のような存在でしょうか?
20120723.JPGその名はクモヘリカメムシ。
体長は1.5〜1.8 mmです。
幅は3 mm程度です。
大きなアメンボ位の細さです。
(ちなみに、アメンボはカメムシの仲間です。同じ顔をしていますよ。)
緑色の体に、茶色い翅が特徴です。
多くのカメムシは危険を察知してから飛んで逃げるまで少し時間がかかるのですが、
こいつはすぐに飛びたつことができます。
まるで、ハチのようなタイミングでスッと飛び立ちます。


私はトウモロコシの葉で発見したのですが、
イネ科の植物が好みのようです。
イネからも吸汁しますから、害虫に指定されています。


ところで、この写真には2匹が写っているのに気が付いていますよね?

2012年07月17日
ヒメカメノコテントウ

私の記憶が正しければ、
メジャーな赤地に7つの黒点のナナホシテントウと黒地に2つの赤点のナミテントウ、
ちょっとマイナーで害虫系のトホシテントウに次ぎ、
このブログ4種類目のテントウムシの登場です。
20120717.png

ヒメカメノコテントウといい、体長3~4 mm程度の小型のテントウムシです。
昆虫の名前に付く「ヒメ」は「小さな」という意味に使われます。
但し、絶対的尺度としてのサイズではなく、ある類似種と比較して小さい場合に用います。

つまり、カメノコテントウという大きなテントウムシがいて、
それの小さい版(種類)という意味です。
(ちなみに、カメノコテントウは1 cmを超える個体が多く、日本最大のテントウムシであるが、私は実物を見たことない。)
「カメノコ」は亀の甲羅を意味しており、確かに模様が亀の甲羅に似ています。
まあ、亀の甲羅にしては光沢が強過ぎますが...。

こんな小さくてもアブラムシを食べる獰猛な肉食昆虫です。
体が小さいこともあり、大きめのアブラムシ(たまにいる翅の生えたタイプなど)の体長とほぼ同じサイズになりますが、
容赦なく頭からかぶり付きムシャムシャ食べている姿を目撃することもあります。

慣れない方はテントウムシと思えない位、小さいです。
計算上は、ナナホシテントウのサイズを1とすると、
体長半分(0.5)× 幅半分(0.5)× 高さ半分(0.5)= 0.125
つまり10分の1程度のサイズと思って頂いて問題ありません。

【捕獲時満足度】6(10点満点)慣れれば発見できます。

2012年07月11日
アオスジアゲハ(2回目)

昨年に続き2回目の登場です。
(参照:アオスジアゲハ

昨年、このチョウのことは詳細に解説しましたので、特に力説することはありません。
ですが、昨年は捕獲後の手掴み写真だったのに対し、
今年は自然な姿を接近撮影できましたのでアップします。
20120711.png
水溜りで水を吸っている所を激写しました。
きれいですよね!
自然の創造物の凄さを感じます。
羽化してすあまり時間が経っていないのか、翅が欠けたり、
鱗粉がはげていたりする箇所が全くありません。
ここまでアップで撮影できると、
ストロー状の口を伸ばして水を吸っているのもわかります。
意外に、頭から胸にかけて、毛むくじゃらであることもわかると思います。

虫嫌いの人へ
「チョウって、よく見ると気持ち悪~い」
なんて思わないで下さい。

最後に一言。
超高速飛翔、とにかく慌ただしく動くアオスジアゲハを、特別なカメラではなく、
3万円前後の普通のデジカメで撮影成功したことを評価して下さい。

【捕獲時満足度】8(10点満点)

2012年07月10日
クルマバッタモドキ(幼虫)

この時期、バッタはまだ幼虫です。
とはいえ、不完全変態のバッタは、小さい時からバッタの形をしています。
このブログでは何度か登場しているクルマバッタモドキの幼虫が、
参照:クルマバッタモドキ

「写真を撮って」
とばかりに私の前に現れました。

20120710.png


まだ、体長は2 cm弱。
推測ですが4齢幼虫位ではないでしょうか?
(孵化直後が1齢幼虫、それ後、脱皮の度に齢数が増える。3回脱皮したら4齢幼虫)
このタイプ(トノサマバッタやイナゴの仲間)のバッタ類の幼虫は、体の割に頭部が大きく、かわいい体型です。
バッタやキリギリスの仲間は、幼虫時代は、種類を見切るのが難しい種類が多いのですが、
これはほぼ間違いなくクルマバッタモドキの幼虫でしょう。
首の白線の模様がその特徴を示しています。

成虫になったら飛翔能力が高く、近づいたら10 m以上飛んで行く手強い奴らですが、
まだ翅も生えていない幼虫は、簡単に捕獲できます。

【捕獲時満足度】6(幼虫時)

2012年07月09日
ウヅキコモリグモ(卵嚢持ち個体)

真冬にも活動しているクモとして紹介しましたこのクモを覚えていますか?
20120709.png
ウヅキコモリグモです。

(参照ブログ:ウヅキコモリグモ(昨日のクイズの回答))

卵嚢(多量の卵をまとめて糸で包んで保護した塊)を持っている個体を、
やっと撮影できました!
時々畑で見かけるのですが、用心深い性格で、デジカメを近づけると、
素早い身のこなしで、草や石の下などに隠れてしまうので、なかなかまともな写真が撮れませんでした。
冬とはスピードが違います。

写真はちょっと見難いですかね?
とはいえ、彼らも保護色で自分の身を守っていますので、仕方ないことです。
おかげで、なかなかデジカメのピントが合いません。

どれが卵嚢なのかわかりますか?
この写真では頭部は左側、腹部は右側になりますので、
腹部側の白っぽいのが卵嚢です。
よく見ないと、大きな腹のクモのように見えますが、
腹部が上に反ったような状態で、その下に乾いた土のような色の卵嚢が付着しています。
卵嚢のサイズは腹部の3~4倍もあり、随分大きいのがわかります。

このように卵を持ち歩き、孵化後もしばらく仔グモを背中に乗せて守る習性は、
コモリグモの仲間の特徴です。
漢字で書くと子守蜘蛛。
その名の通りのクモなので、是非、覚えておいて下さい。

2012年06月26日
ノミバッタ

とにかく撮影が難しいバッタです。
探しても、そう簡単には発見できません。
たまに、偶然、目の前に現れるタイプです。
今回、畑の寒冷紗の上で発見しました。
アップは捕れませんでしたが、なんとか紹介できるサイズで撮れました。

20120626.png


何度か紹介しているヒシバッタの半分以下のサイズ、体長は5 mm前後の極小バッタです。
もちろん成虫でのサイズです。

どうですか、この黒光りしたメタリックなボディー!
そして、驚異的な太さの後脚!!!
スピードスケートのオリンピック代表もびっくりでしょう。

見た目の通り、ジャンプ力は強力で、一っ跳びで、ほぼ見失ってしまいます。
しかも用心深い。
発見して、そーっと50 cm位の距離にデジカメを近づけ、ピントを合わせていると視界から消えてしまう。
いつ跳んだ、何処いった???????
という感じです。
ジャンプした瞬間さえ気付かない程のハイスピードです。
このジャンプ力からノミバッタという名が付いているのかと思いますが、調べていません。

極小で、且つ体色も土の上では役立ち、石や木の枝と識別できず、見失うのです。
さらに土に潜る能力もありますから、手に負えません。
体長あたりのジャンプの距離は昆虫界でも1、2を争うレベルだと思います。
その代り、翅は短く退化していて飛翔することはできません。
しかし必要ないです。
何しろ、この私ですら、捕獲困難種なのですから。

【捕獲時満足度】8(10点満点)捕虫網があれば捕獲は可能のため減点。素手で捕れたらかなり凄い(10点)。しかし、その凄さを理解できる人は周囲には殆どいない(悲)。
【撮影時満足度】10(アップが取れた時)(10点満点)上述の通り。とにかく接近中に消える。今回の写真は8点です。

2012年06月22日
カエルさん、ごめんなさい

今日も悲しい話を。

先日紹介したオタマジャクシ達(2匹)ですが(「おたまのへんたい」参照)、
小さいカエルになって頑張って育てていたのですが、
月曜日に死んでしまいました。

カエルになり立ての頃の世話が最も困難で、
小さい生きた餌しか食べられないため苦労しました。
小さいといってもカエルの体長が約1 cmなので極小サイズの昆虫です。
ショウジョウバエ(小バエ)や小さなクモ、アブラムシ程度です。
蚊は無理でした。
結局、餌探しが大変なので、インターネットでショウジョウバエ(翅ナシ)を購入し、
自分で培養して与えることに。
予想以上にショウジョウバエにカエル達は大喜び!
元気にパクパク食べて、体も少し大きくなっていました。

で、かわいいので、もう少し自然な環境に近づけてやろうと、
土の上で生活するアカガエルなので、陸地を金魚鉢用砂利から腐葉土に替えました。
雑草も植えてあげました。

ところがです、月曜日、蓋を開けると2匹とも動かない。
どうやら、腐葉土で歩きにくくなり、プール(小さなタッパーに水を入れたもの)に
戻れなかったようです。
カエルは水を飲むのではなく、皮膚から吸収するので、
水に体を浸ける必要があるのです。
プールに戻れなかったら死んでしまいます。
ショックでした。
かわいそうなことをしてしまいました。
20120622.JPGこんなにかわいいやつでした。
まさか、これが最後の写真になるとは・・・。
ごめんなさい。

2012年06月13日
アブとハチの違い

一昨日、昨日とアブとハチを紹介しましたが、
アブとハチの違いはご存知ですよね?
念のため書きます。

系統的にはあまり近くない昆虫です。
まず、ご存知のように、ハチはお尻に針を持っていますが、アブは持っていません。
しかし、これはさすがに捕獲しないとわからんとクレームが来るでしょう。

では、見た目の体の特徴はどうか?
一言で述べると、
アリに翅が生えたようなのがハチ、
ハエのようなのがアブです。
アリとハエの区別ならできるでしょう。

実際、ハチは分類学的には膜翅目に属し、その中にアリもいます。
ハチはアブと比べると、頭と胸の間(おそらく表現は正しくないが首)と胸と腹の間(同じく腰)が細くてくびれがある体型です。
また、触角がある程度の長さがあるためきっちり見え、
眼が比較的小さい(頭の表面積の内、眼の占める割合が少ない)です。

それに対して、アブは双翅目に属していて、ハエやカがこれに属します。
頭、胸、腹の差が無く、くびれが殆どありません。
また、多くの種では触角は相当近づかない限り見えない程短いです。
あんなに短いのに、何故遠くから腐敗した食べ物やウンコの臭いを嗅ぎつけるのかは謎ですが...。
そして眼が大きいです。頭部の半分以上が眼という種が多いです。
また、よく見ると複眼であることがわかることが多く、
カラフルなサングラスの様にメタリックな青色や緑色の眼の種類も多いです。
ちょっと見難いですが、以前紹介したツマグロキンバエを参照にして下さい。
(参照ブログ:まだ活動中の虫

そして意外と知られていない大事なことがあります。
アブは双翅目、つまり翅が2枚なのです。
小学校で習うように、昆虫の定義では翅は4枚なのですが、
アブやハエはその内の2枚が退化していて、見たところ翅は2枚だけなのです。
実際には、退化した翅の痕跡が残っています。
アブのつもりでハチを触ったらいけませんので、ハエを捕まえて観察してみて下さい。
大きな翅の下側に、非常に小さい団扇のようなものが付いています。

えっ、見たいけど、そんな都合良くハエがいないって。
出したてウンコを屋外に放置したら、ほんの数分で来ますよ。
但し、ウンコを間接的に触ることになりますが。
( ̄ー+ ̄)

2012年06月12日
キボシアシナガバチ

昨日はハチのような模様のホソヒラタアブを紹介したので、
今日は本家のハチを紹介しておきます。

先月、自宅のガラス窓の外側に巣作りをしていたキボシアシナガバチです(たぶん)。
20120612.JPGもちろん、5月に一から巣作りしているこの個体は女王蜂です。

私が覗き込むと、すぐにこの態勢になり威嚇してくるので、
特徴である腹部前方の2対の黄色い斑紋(キボシ:黄星)は確認が困難でした。
ただ、この黒と茶色の地味系の体色と、この顔面の黄色い五角形は、
かなり高い確率でキボシアシナガバチと思います。
蛹になる時、巣の入り口に黄色い蓋ができるのが特徴なので、
中の卵の成長を待ち、それで確かめようと思っていましたが、
こいつが餌獲りに出かけている内に、妻が巣を排除したようです。
まあ、自分の家の窓際にアシナガバチの巣ができたら普通は排除するわな。

ちなみに、こいつはアシナガバチの中では攻撃性が強い方と言われております。
昨日のホソヒラタアブとは顔つきが違うでしょ?
たかが2 cm足らずの体長ですが、ハンターのオーラが出ています。

【発見時満足度】7(10点満点)
私の周囲では殆どがセグロアシナガバチで、結構珍しいので高得点。

2012年06月11日
ホソヒラタアブ

今日紹介する虫はアブです。
たぶんアブはこのブログ初登場と思います。
アブというだけで毛嫌いする方、それは間違った知識が植えつけられております。
ヒトを刺すアブは一部の種で、多くのアブは刺しません。
特に本日紹介するハチに似たアブの殆どは、刺さないおとなしいアブです。

ホソヒラタアブ
2012061101.JPG


体長1 cm程度の小さなアブです。
花の蜜や花粉が主食のタイプのアブで、ハナアブ科に属します。
細くて平たいからこのような名前です。
体がアブにしては細いのは写真からわかりますよね。

この角度からはわかり難いですが、横から見ると体が平べったい(=扁平)のです。
花の近くでホバリング(空中の同じ場所で留まる飛び方)していることが多く、
虫捕網があれば非常に捕獲し易い昆虫です。

メタリック系の黒と黄色のコントラストも良い感じですね。
この色使い、一瞬人工的に感じるのですが、眺めているとやっぱり自然の創造物です。
人には創り出すことはできないと思います。

もちろん、これはハチ(自然界では怖い存在)の模様に似せて身を守るように進化したといわれております。
いわゆる擬態ってやつですね。

幼虫の時はスケルトンなんですよ。
すなわち外側が透明で内臓が透けて見えるのです。
そしてアブラムシを主食にしています。
花粉の受粉にも貢献しますし、作物を育てている側の立場では完全に益虫です。

カマキリなど肉食昆虫を飼育している立場では非常に扱いやすい餌虫です。

【捕獲時満足度】3(10点満点)
但し、肉食昆虫等の餌として捕獲した時は5

2012年06月06日
ムネアカオオアリ(女王)

5月中旬の夜8時半頃、助手Aが
「これ廊下を歩いていたのですが、何でしょう? すごくデカいアリみたいなのですが?」
と、持って来たのはこいつです。
20120606.JPG


「おー、ムネアカオオアリ。しかも女王やん!!!」

その名の通り、胸から腹の部分が赤いアリで、
クロオオアリと並び、日本最大級のアリです。
朽木を好むため、開けた平地にはいないので知らない方も多いですが、山間部にはよくいます。
山登りをする人などは、登山中に木陰で休憩時などに見かけたことがあるのではないでしょうか?
私が、最も好きなアリの一つです。

体長2 cm弱、迫力のあるこのサイズは間違いなく女王です。

この季節、アリは結婚飛行を行うため、交尾直後の個体を捕獲したようです。
結婚飛行とは、交尾のため新女王候補とこの時だけ生まれる雄アリ(共に翅が生えて飛行する)が一斉に巣から飛び出し、別の巣の異性のアリと交尾をする繁殖行為のことです。
そして交尾できた新女王は地上に降り、翅を落とし、新しい巣になる場所を探すのですが、
そこを助手Aに発見されたというわけです。

つまり、翅アリが突然発生する時がありますが、それは結婚飛行の日なのです。
同種のアリが一斉に飛び出さないと交尾できないので、
アリの種により飛び出す条件が決まっています。
ムネアカオオアリの場合、5~6月の雨上がり直後、
しかも時間が昼過ぎから午後5時位の間のようです。
つまり、午前中雨が降り、昼過ぎから夕方に雨がやむ必要があるのです。
そんな都合が良い日が、この初夏の限られた期間に何度あるのだろうと不思議ですが、
その条件が厳しければ厳しいほど、
その地域で一斉に結婚飛行ができるというわけなのでしょう。

「これ、飼育したら働きアリを産んでおもしろいで。」
助手Aは「とろけるかぼちゃプリン つぶあんソース」のカップに入れて持って帰りました。

【捕獲時満足度】 9 (10点満点)
女王アリに限る。働きアリは4点。

2012年05月25日
もちろん探しているのです

昨日のヨコヅナサシガメのブログを読んだ方から、
「飼っているのですか?獲物を食べている写真なんて普通は獲れないでしょ。
そもそもこんな虫見たことないし。」という主旨の質問を受けました。

はい、見つけたら捕獲して飼っています。
というのは嘘です。

いつも探しているのです。
この虫に限らず、色んな虫を。
ある程度の知識があれば、この時期のこの植物にはこの虫がいると予想できますので、
姿、形、色をイメージして探しますので発見しやすいです。
そして不思議なことに一度発見すると、その条件が脳ミソにインプットされ、
類似した環境が目の前に出現すると無意識で捜索してしまうのです。

春先の桜の木の幹にはヨコヅナサシガメがいることが多いと知っていれば、
桜並木を1本ずつ調べると、ここ関東地方では10本調べればほぼ確実に発見できます。
50本位調べれば、昨日紹介した集団化した状態や、
捕食中の個体も発見できることもあるはずです。
来年、是非やってみて下さい。

但し、花見をしている方々の目には、サシガメ捜索はかなり異様に映り、
不審な行為と捉えられることを明記しておきます。
弁解のために発見したサシガメを見せると、もっと嫌がられますので気を付けて下さい。

ここで一句。

花を見ず
幹と枝のみ凝視する
サシガメ探し
我が花見なり

以上、失礼しました。

2012年05月24日
ヨコヅナサシガメ再登場

昨年に引き続きヨコヅナサシガメの登場です。
このブログの前に、
「横綱刺亀虫」を読んで頂ければ、
この昆虫の特徴はわかると思います。

まずは、これ。
2012052401.JPG


春先サクラの木に集団でいることが多いのです。
どうですか、かなり気持ち悪いでしょう。
虫嫌いなら、見て見ぬふりをするのではないでしょうか?
大きいのが成虫、少し小振りで赤い模様が大きいのが幼虫です。
わかり難いですが幼虫は翅もまだ生えていません。
おそらくこれ皆兄弟で、成長が早いやつが成虫になっていると思います。

さて、もう一枚。
この虫が獰猛な肉食昆虫であることを示す写真です。

2012052402.JPG


どうです?
何かの幼虫に自慢の針状の口器をプスリ。
体液スープを満喫中です。

見かけは気持ち悪いですが、作物を育てる立場からは益虫だと思います、こいつ。

「横綱の名を汚さぬよう、一撃必殺で獲物に口を挿し、益虫道を精進いたします。」
by ヨコヅナサシガメ(代弁LKM博士)

2012年04月23日
ヒシバッタ黒紋型の私なりの考察

先週紹介したヒシバッタの黒紋に関する論文ですが、
私の意見は著者と違いますので、ちょっと書かせて頂きます。

変温動物では、体色は体温調節に関与し、
黒っぽいほど体温上昇を促進するといわれており、
この論文では体温調節説の検証として、採集地の緯度で黒紋型の頻度を比較しています。

その結果、オスでは高緯度地方ほど黒紋型頻度が高くなることがわかったそうです。
但し、北海道では例外的に黒紋頻度が低く、また、メスの殆どが黒紋型だったようです。

一通り読んだ限り(他に読む論文があるだろうと言われそうですが...)、
著者らは、夏場のオーバーヒート(体温上昇)のリスクとの関係を重視しており、
オスが夏場に暑い開けた草地で配偶者を探索するため、
暑い低緯度地域のオスは黒紋型の方がオーバーヒートし易く、
黒紋は不利に働き、熱い低緯度では数が少ないと考察しています。
一方で、体温調節だけでは説明がつかないので、
黒紋によるコントラストが周囲の環境に溶け込む隠ぺい効果があることから、
探索行動をしないメスは、この隠ぺい効果の方による利益がオーバーヒートのリスクより高いため、殆どが黒紋型であると考察しています。

ただ、私は、同じ体温調節説でも、黒紋を夏場のオーバーヒートのリスクではなく、
冬場の体温上昇のための利益と考えるほうが妥当ではないかと考えています。
このブログでも、真冬の1月の埼玉県の畑で発見したヒシバッタを紹介したように

(2012年1月17日「ヒシバッタ」ブログ参照)

このバッタが本州では真冬でも活動していることを考慮すれば、
冬の貴重な太陽熱の獲得に黒紋は役立っていると推測されます。
そう考えれば、著者らが説明できなかった北海道で黒紋頻度の低下も説明できます。

北海道では寒さが厳しく、さすがのヒシバッタも冬には活動していないはずですから、
冬に黒紋で太陽熱獲得の必要がないのです。
従って、夏場のオーバーヒートのリスクのみがあり、黒紋型の頻度が著しく低いのです。

どうですかね?
まあ、私は専門家ではないので、好き勝手な考察ですが...。

一昨日も畑でヒシバッタを発見しましたので、撮影しました!
極小の黒紋があり、黒紋型か無紋型か微妙ですね。


20120424.JPG

寒冷紗の中で、若い野菜を食べていたので、放り出しました。

2012年04月20日
ヒシバッタ黒紋型

以前にも紹介した背中が菱形のヒシバッタの話です。
参照:ヒシバッタ
1月のブログの個体は、開けた畑、
つまり比較的地表が乾燥している土地で見つけたのですが、
背中に模様がない無紋型でした。

しかし、このような草原ではどうかと探してみました。
201204201.JPG発見! わかりますかね?中央です。
背中に黒い模様がありますねー。
201204202.JPG
黒紋型といいます。
黒紋型にも色々な形があるのですが、
これは外側に黒い筋が出るタイプですね。

さて、これは遺伝的なものか、環境によるものか?
私は周囲の視覚的環境に依存する(つまり保護色として変化する)と思っていたのですが、
色々な説があるようです。
面白い論文が公開されていました。

鶴井香織、西田隆義.ハラヒシバッタ(バッタ目ヒシバッタ科)における黒紋型頻度の緯度クライン.大阪市立自然史博物館業績第420号 2010年.

京大農学部の先生方のレポートです。
この先生方は体温調節説に注目し、採集地の緯度で黒紋型の頻度を比較しています。
それにしても、マニアックで楽しそうな研究ですな。
その結果、オスでは高緯度地方ほど黒紋型頻度が高くなることがわかったそうです。
但し、北海道では例外的に、黒紋頻度が低いようです。
メスは殆どが黒紋型だったようです。
詳しく知りたい方は自由にリンクできますので、
こちらから→http://www.musnh.city.osaka.jp/publication/bulletin/bulletin/64/64-003.pdf#search='ヒシバッタ'

ちなみに、花見もせずに、地面ばかり見てヒシバッタを探していると、
「何か落としたのですか?」
と結構声をかけられることを学びました。

2012年03月05日
啓蟄(2012年版)―新参者で祝いましょう―

このブログでは、毎年きっちりと祝う啓蟄

2010年啓蟄
2011年啓蟄
虫達が活動し始める日といわれております。
私の中の虫暦は、啓蟄を新年度初日と設定しています。

ということで、今年も昨年紹介し忘れていた虫の登場で祝いましょう!
実際は紹介し忘れていたというより、紹介できなかったのです。
名前を知らない昆虫でしたから。
その虫はこれ(↓)

20120305.JPG

マツヘリカメムシといいます。
昨年10月28日、東京都西多摩郡日の出町の研究所の玄関で発見し、
細身で模様が綺麗なカメムシなので撮影したものの、ずっと名前がわからなかったのです。
先週、Twitterで問い合わせ、やっとカメムシが得意なフォロアーに教えてもらえました。

名前がわからなかったのも当然といえば当然。
こいつ、新参者なのです。
北米西部原産の外来種のカメムシで、
日本で初めて発見されたのは2008年3月26日、東京都小金井市のようです。
(全然関係ないですが、この日は私の誕生日。縁を感じます。)
それから、東京都を中心に周辺の県などでポツポツと報告例が上がり、
どうやら関東一帯へ広がりつつあるようです。
そして昨年、東京都西多摩郡日の出町にも登場。
おそらく、ここ日の出町での発見は、これが最初のレポートだと思います。

マツ類の新芽や新果に口を挿し吸汁し、寒さにも強く冬でも活動している様子で、
もしかしたら今後、マツに被害が出るのではないかと心配されている種のようです。

とはいえ、彼らに罪はなく必死で生きている訳で、
どう接して行けば良いのかは非常に難しい問題ですね。
本年度は、外来昆虫という難しいテーマでスタートを切りました。

2012年01月20日
ウヅキコモリグモ(昨日のクイズの回答)

昨日のブログを見てない方は是非、そちらを先に読んで下さい。
【クイズ】何が写っているでしょう?

みなさん、見つけられましたか?
パッと見ではわかりませんが、真剣に探せば簡単に見つかりますよね。
(すいません、実物大にしようと試行錯誤して少し画質が悪かったかもしれません。)
写っているのはクモです。
正確にはコモリグモの一種。
90%以上の確率でウヅキコモリグモです。
20121120.jpg漢字で書くと卯月子守蜘蛛。
その名の通り、子守をするクモなんです。
卵嚢(らんのう,クモの場合、多量の卵をまとめて糸で包んで保護した塊)を
お尻にずっとくっつけて歩いて守っている姿をよく目撃します。
孵化後もしばらく背中に仔グモを乗せて生活し外敵から守ります。
卯月、すなわち4月頃に成体になるのでこのような名前が付いたようです。
一年中、特に真冬でも普通に活動しているのでこのネーミングは気に食わない私。
但し、さすがに真冬は動きが少し鈍くなります。

草原にはたくさん生息しており巣を張らない徘徊性のクモです。
体長は1 cm程度、足を広げると2 cm位で茶色からこげ茶色の地味なクモです。
畑にもたくさんいて、害虫を退治してくれる益虫ですから仲良く付き合っています。

これ、たぶんヒシバッタを狙っていた瞬間だと思いますが、私の撮影後にバッタがピョン。
たぶん私のせいです。すんません。

春には子守をしている姿を紹介しますかね!

【捕獲時満足感:2】(10点満点)
但し、卵嚢を抱えていると5
子供が背中に乗っていると9(私は1度しか見たことがありません)。

2012年01月19日
【クイズ】何が写っているでしょう?

201201194.JPG何がいますか?

正解は、一昨日と同じくヒシバッタです。
簡単ですね!
一昨日、初めてヒシバッタの存在を知った方も、
今日は瞬時に見つけられたのではないでしょうか?
ちょっと隠れ方が下手なのかもしれませんが、
皆さんの眼(脳)が一昨日ヒシバッタを確認・認識し、記憶したことも重要な要因だと思います。

もう一度、漠然のこの写真全体を眺めて下さい。
それなりに見事に周囲の枯草に紛れていませんか?
それに、一昨日の乾いた土の上の個体より、少し赤茶色のような気もしますし巧妙です。
簡単に見つけられたのは皆さんの眼がヒシバッタを経験したからです。
初めてなら、簡単ではなかったはずです。

このブログを書き始めてから、
「なんで、あんなに色々な虫を見つけられるの?」
と時々言われますが、
このように虫を探しては周囲の環境(棲息環境)と共に脳にインプットし、
「虫を見る眼」(略して虫眼,ムシメ)が鍛えられているからだと思います。

さて、ここからが本題です。ヒシバッタで満足していてはいけません。
もう1匹違うものがいますよね!
気付きましたか?
既に気付いていた方は「虫眼」が鍛えられていると思います。
意外と簡単に見つかりますから、探してみて下さい。

正解は明日です。

2012年01月17日
ヒシバッタ

さーて、今年一発目の虫ブログは、真冬でも活動しているヒシバッタから始めましょう。
これは、先週畑で撮影したものです。
201201171.JPG何処にいるかわかりますか?

その名の通り、背中が菱形だからこんな名前がついています。
深い草むらより、草が少なめで地表がむき出しになっているような環境に多いです。
体長は1cm前後ですね。0.8 cm~1.3 cm位でしょうか。
小さなバッタで、全国何処にでもいます。
草原を探せば大概見つけられますが、虫に興味ない人は小さいので
気付いたこともないかもしれません。
体、特に背中の模様、は生息環境により色々変化があります。
これは乾いた畑の土の上に棲んでいたので、明るい土色していますが、
もっと湿気な場所なら土の色に合わせて黒っぽい色をしています。
ただ、形は皆一緒で、菱形です。
でも、この菱形にたたまれた翅は見せ掛けで、羽ばたいて飛ぶことはありません。

太い足からわかるようにジャンプ力は結構凄いです。
40~50 cmは軽く跳ぶんじゃないですかね。
「それだけ?」と思われるかもしれませんが、体長1 cmですし、体の割には凄いです。
保護色もあり、ジャンプ前後も殆ど動かないでじっとしているので、結構見失います。
でも、見失ってもすぐ見つけられます。
着地した付近を手や足で触れば再び、ピョーンと再び跳びますので。

【捕獲時満足感:3】(10点満点)

もしかしたら見つからないって方がいるかもしれないので、印をつけました。
赤い丸の中です。
201201172.jpg

2011年12月22日
えっ、結婚!!!!!!!???????

昨晩は職場の忘年会でした。
本当なら、ウィルス性腸炎後、初めての飲み会だったので、
大丈夫であったことを面白おかしく報告する予定でした。

ですが、突然、職場内での予想外の結婚の発表があり予定変更。
衝撃で忘年会は大混乱。
しかも、「美女と野獣」のペア。
いや、野獣に失礼、「美女とへなちょこゴリラ」という表現が正しいでしょうか。
2年半付き合っていて、周囲に全く気付かれていなかった点は天晴であります。

もし、ウィルス性腸炎が完治していない状態で参加していたら、
その衝撃で私はウンコをちびっていたことでしょう。

昨日散々いじったので、今日は私から祝福の『ハート』をプレゼント。
20111222.JPG
アキアカネの交尾ですが、ハート型になっているでしょう。
上側がオス、下側がメスです。
トンボの交尾は解説が大変なのでお蔵入りしていたのですが、説明しましょう。

トンボの交尾器も他の多くの昆虫同様、腹部(しっぽ)の先にあります。
しかし、オスはこの部分は特種な鈎状になっており、これでメスの首をはさみ固定します。
その結果、連結状態になり、この状態で飛んでいるのを見たことがある方も多いでしょう。
しかしこれは交尾ではなく結婚飛行。新婚旅行みたいなものです。
交尾はこの後です。
オスは自分の交尾器がメスの固定で使えないので、尾の付け根にもうひとつの副交尾器(専門的には貯精嚢という)を持ち、ここにあらかじめ尾端の精子を移しておきます。
そして、首をつかまれたメスがしっぽを曲げて、これに自分の交尾器を接触させるのです。
この時にハート形になるトンボが多く、多くの方を魅了するのです。

【捕獲時満足感:3】(10点満点) 捕まえやすいトンボなので。この写真は満足の7点。

危うく、このブログがへなちょこゴリラの結婚ネタに乗っ取られそうになりましたが、
虫ネタで体裁を保ちました。

2011年12月16日
まだ活動中の虫

寒いです。
先週はこちらでも雪が降ったことを報告しましたが、
いよいよ冬本番ですね。

もう活発に活動している虫はいないと思っている方、
そんなことはありませんよー。
活動していても土の中だろうと思われている方、いいえ違います。

先日、「なかなか食卓までの道は厳しい...」
紹介したオータムポエムの花には、
12月でも晴れた暖かい日中には蜜や花粉を求めて、
虫たちが飛んできます。


201112161.JPG

ツマグロキンバエとミツバチのツーショット写真です。
特にミツバチは数が多いです。
働き者ですなー。

寒さのため、既にオータムポエムは茎が伸びず、
野菜としての価値はなくなっています。
しかし、虫たちのために一部は引っこ抜かずに残してあります。
殆ど花がない環境下、
私の畑の一角には花が残っているので皆集まってくるのかもしれません。

ちなみに、ツマグロキンバエはハエのくせにウンコより花の方を好みます。

201112162.JPG


花の蜜を舐めるために進化したと考えられる長い口と、複眼の横縞模様が特徴です。
変なメガネ見たいでしょ。

2011年12月06日
ジョロウグモ

東京都西多摩郡の気候だと、12月初旬でもまだ健在なのがジョロウグモです。
晩秋を中心に、街路樹や電線などを利用して、巨大な巣を張っている大きなクモで、
殆どの方が見たことあると思います。
この敷地の周囲にもたくさんいます。
201112061.JPG

雌の体長は2-3 cm、足を入れると5-6 cmにもなります。
一方、♂はその半分にも満たないサイズで、同じ巣の隅っこにそっと身を寄せていることが多いのですが、気が付かない方も多いと思います。

秋も深まり産卵が近づくと、腹が膨らむと同時に非常にカラフルになり、
黄色ベースに黒、青、そして腹の裏側には紅色の部分が出てきます。
クモ嫌いにはたまらなく気持ち悪い毒々しさでしょうが、
よく見ると綺麗ですよ。
せっかくなので腹側もどうぞ。
201112062.JPG

国内で巣を張るタイプの大きなクモは、このジョロウグモと以前に紹介したコガネグモ
の2種類です。
並べると明らかに模様は違いますが、もっと楽に識別するには、
ジョロウグモは晩秋で巣は樹木の上、
コガネグモは夏で巣は草原の中
と覚えておけば簡単です。
ジョロウグモの巣には、ギザギザ模様の隠れ帯がありません。
また、ジョロウグモの巣は食べかすや糞のようなものが放置されていることが多く、
掃除嫌いのようです。
上の写真にもゴミが写ってますよね。

この腹、柔らかくプニョプニョしてて触ると気持ちがいいんですよ!

2011年11月29日
例外もありますよ(ミヤマフキバッタ)

昨日、
「殆どの不完全変態(蛹にならない)の昆虫の成虫と幼虫の見分け方は、翅があるかないかで区別すれば間違いません。ゴキブリもそうです。」
と書きましたが、例外もあります。
ブログにするタイミングを逃していましたので、本日紹介します。

201111291.JPG

このミヤマフキバッタと思えるフキバッタの仲間もその一つです。
標高の高い所に棲んでいる翅が退化しているバッタです。
これは東京の西の方にある御岳(みたけ)山で9月末に撮影したもので、時期的にも成虫に間違いありませんが、翅は小さい茶色のものがちょこっとついている程度です。
これで立派な大人です。

このバッタ、標高の高い山に棲息していて、それに加えて翅が無いので移動範囲が狭いため、地域によって少しずつ遺伝的な特徴が出てきて、種の分化が進んでいます。
そのため分類学的にたくさんの種類に分けられており、専門家でも種の識別が困難で、
きっちり名前が言えない位難しいのです。
私には、ミヤマフキバッタの一種としか言えません。
実は、一昨年、東北の標高の高い山に棲息しているハヤチネフキバッタを山形県の月山で見つけた時にブログにしていますので、ご参照下さい。

この2種類のバッタは、「昔からの親戚だけど、翅が短くなって移動も大変なので会いに行けなくなり、ずーっと何百、何千世代も交流が無く、今では親戚とは言えなくなった」
というイメージでしょうかね。

【捕獲時満足感:9】(10点満点) 私にとっては極めて珍しいバッタです。

余談ですが、
このバッタを発見した御岳山の御岳神社には、毎年、協乳研究所でお祓いに行っているのですが、今年はアメリカ出張と重なり行けませんでした。
信心深い私はとても不安になり、9月末に個人的にお参りに行ったのですが、
台風の爪痕が、凄かったです。でも、このおかげでバッタに出会えましたが...。


201111292.JPG

2011年11月28日
コカマキリ

秋も深まり、昆虫たちを見る機会もめっきり減りました。
その気になればまだまだ見つけられますけど...。

今日は大好きなカマキリで、これまで登場していなかったコカマキリの登場。
201111281.JPG


晩秋まで見られます。
体長が4.5-6.5 cm程度の小さい茶色いカマキリです。
先のブログ、ハラビロカマキリ(週齢幼虫)で紹介しましたように、
殆どのカマキリは環境により緑型と茶色型の両者が発生しますが、
コカマキリは茶色型のみ。
但し、淡い茶色からこげ茶色の個体があり、茶色系の中で差はあります。

他のカマキリと比べると小さいので、子供(幼虫)のカマキリと間違う方が多いですが、これでも立派な成虫です。
こういう間違いをする人にアドバイス!
殆どの不完全変態(蛹にならない)の昆虫の成虫と幼虫の見分け方は、
翅があるかないかで区別すれば間違いません。
ゴキブリもそうです。

コカマキリの特徴は鎌(一番前の足)の内側の白黒の模様です。
これ↓
201111282.JPG

今度捕まえたら観察してみて下さい。
他のカマキリと異なり、力も弱いので、手を鎌で攻撃されても殆ど痛くありませんのでご安心下さい。

私の経験ですが、他のカマキリになくて、コカマキリだけの特徴として、
死んだふりをすることが挙げられます。
また、他のカマキリのように威嚇のポーズをとることも滅多にありません。
それに軽いのでよく飛んで逃げます(決して上手ではないですが)。
生き残り戦略として、自分が大して強くないことを認識しているのでしょうかね。

【捕獲時満足感:5】(10点満点)

2011年11月16日
あのヤモリ!?

今日は朝から、掃除のオッチャンが、ヤモリの話題。
「ヤモリだっけ、イモリだっけ?」
から始まりました。
やっぱり、以前に散々説明しましたが、ヤモリとイモリの区別がついていなかったようです。

「ヤモリの糞」「ウン小話18」を参照

寒さが増し、動きが鈍くなったところを発見されました。
201111161.JPG


間違いなくこいつはヤモリですね。
おそらく、あのウンコの犯人でしょう。

手に乗せたら、吸引力を感じます。

201111162.JPG


せっかくなのでお顔を紹介。
かわいいです。

日当たりの良い場所に逃がしてやりました。
無事冬眠して、来年も、研究所の守り神を担って欲しいものです。

2011年11月14日
オンブバッタ

極めて珍しくないバッタです。
極めて捕獲しやすいバッタです。
幼稚園児でも捕まえられます。

オスは2.5 cm前後、メスは4cm-4.5 cmの大きさです。
交尾していなくても、オスがメスの上にちょこんと乗っていることが多く、
大人が子供をおんぶしているように見えます。
そのままオンブバッタという名がついています。

ちょっと草があれば道端でも棲息しています。
昨年も朝顔の花を食べている様子を紹介しました(ミスマッチhttps://lkm512.com/blog/images/2010/08/26/
庭でシソなどを植えていると何処からかやってきて、それを食べることが多いです。
しかし、少食なのでチョウやガの幼虫と比べると食害はかわいいもので、私は放置しています。
但し、その代償として、私に捕獲され、カマキリやクモの餌にされる可能性はありますが。

先日、茶色型メスと緑型オスのコンビがいましたので、写真に撮りました。
20111114-1.JPG
噛みついたり、ひっかいたりしませんので、
小さな子供に虫を経験させる第一歩には、非常にふさわしい生き物です。

【捕獲時満足感:2】(10点満点)
※カマキリなどの餌として探索中は状況により満足感はアップする。

2011年11月04日
怖そうなコオロギ

横綱を名乗るカメムシ(ヨコヅナサシガメ)、
殿様を名乗るバッタ(トノサマバッタ
を紹介しましたが、今日は怖そうなコオロギです。
こいつです。
20111104.JPG
その名はエンマコオロギ。
体長3 cm前後と、日本最大のコオロギです。
黒褐色で頭は光沢があり、重量感がありますね。
この立派な後ろ足を見て下さい。
スピードスケートの選手の太ももみたいに立派でしょう!
しかし、あまり普段はピョンピョンと跳ねることはなく、歩いていることが多く、
これでジャンプするのは危険が迫った時くらいだと思います。
ジャンプしても体が重いのか、10 cm程度しか飛べません。
ピョン(跳ね)、ゴソゴソゴソ(歩き)、ピョン、ゴソゴソゴソと逃げます。

名前の所以は、顔を正面から見た時の模様が、
閻魔大王の怒っている顔の形相のようだからです。
すいません。正面写真撮り忘れました。
この写真でも目の横に白い線があるのがわかると思いますが、
これを正面から見ると怒っている時の眉毛のように見えるのです。

かなり力が強いです。
いたずらで「ゴキブリッ」って見せると皆びっくりして面白いので、
手の中に隠していると、脱出しようとする力の強さで、痛こそばくて、
耐えられなくなることがあります。

雑食性なので畑では害虫となることも多いです。
チョウやガや鳥を避けるための寒冷紗も、きっちりと地面に埋めておかないと、
隙間があると侵入してきます。
私のラディッシュは結構食べられました。

しかし、こいつの鳴き声は美しいです。
「コロコロコロリーー」
とでも表現すればよいですかね。
皆さんも秋には必ず耳にしている声ですよ。

2011年10月31日
ホシホウジャク

今日は蛾、ホシホウジャクの登場です。
聞いたことない方が殆どだと思いますが、知らない内に見かけたことはある人は多いと思います。

昼間に活動し、
ハチドリのように花の横でホバリングして花の蜜を吸うタイプの蛾です。
黒をベースにオレンジ色の模様が後翅と腹の部分にありますので、ハチと間違えられることも多いです。
漢字で書くと星蜂雀。
このオレンジ色がホシホウジャクのホシ(星)の所以らしいです。
蜂にそっくりで、雀はスズメガ科だからだと思います。

凄い飛翔能力で、高速で花から花へと移動します。
1つの花の吸蜜にかける時間は1-2秒で、次から次へ花を替えてあっという間に何処かに飛んで行きます。
逆に虫慣れしていると、あんなに機敏な動きをするハチはいないので
一発でホシホウジャクだとわかってしまいます。

では、花に狙いを定め、長いストロー状の口を伸ばし蜜を吸うホシホウジャクの一連の動作撮影に成功しましたので、4枚連続で紹介します(数秒間連続撮影できるデジカメを買いました)。
201110311.JPG


201110312.JPG


201110313.JPG

201110314.JPG


【捕獲時満足感:7】(10点満点)
※こいつは飛んでいる状態を見るのが一番です。捕獲したらオレンジ色の部分も前翅の下に隠れ、焦げ茶色系の地味な蛾です。

2011年10月24日
ハグロトンボ

この黒いトンボを見たことありますか?
見たままで、ハグロトンボと言います。
201110241.JPG


私が育った奈良の実家の近くでは全く見かけないトンボでしたが、
ここ東京都西多摩郡日の出町ではよく出会うトンボです。
初めて見た時は興奮しました。

川が大好きで、幼虫時代は川で過ごします。
分類でもカワトンボ科に属しています。
流れの緩やかでヨシ等の植物が生えている場所が特にお気に入りで、
そういう場所には数が減った現在でも集団で存在するようです。

ひらひらと蝶のように飛び、あまり動きは俊敏ではありませんが、
警戒心は結構強く、近づくと飛んで行きます。
アカトンボやシオカラトンボのように簡単に接近することはできません。
従いまして、手で捕獲するのは難しいトンボです。
捕れそうで捕れないトンボですね。
最後は川の中の方に逃げ込まれるパターンが多い。

上の写真はオスの個体なのですが、腹の部分はメタリックな緑色で美しいですね!
綺麗過ぎて逆に人工的に感じる色です。
メスはこんな感じです(↓)
201110242.JPG

多くの昆虫達と同じで、メスは地味なのです。

【捕獲時満足感:8】(10点満点)

2011年10月18日
偉いバッタ

8月に横綱と名乗る昆虫を紹介しました(ヨコヅナサシガメ)
横綱は偉大ですが、本日紹介するのは、おそらくそれ以上に偉そうな名前の昆虫
『トノサマバッタ』
現代においても堂々と殿様と名乗っているのは、このバッタとトノサマガエルくらいでしょうか。

トノサマバッタというだけあって、やっぱりでかくて立派で風格があります。
20111017.JPG


軽く5-6 cmはあります。
同じ体型(仮面ライダー型の顔で細長ではなくがっちりタイプ)のバッタは他にもいますが、それらと比べても圧倒的にでかい。
例えば、昨年紹介したクルマバッタモドキと比べるとトノサマバッタ(メス)の体長は2倍位あります。
横幅や体高も合わせると、5-6倍位の大きさに感じてしまいます。
捕獲してみるとわかるのですが、その質感とパワーは他のバッタを圧倒しています。
(殆どの方は、バッタ経験が少なくこの感覚が伝わらないので寂しい...)

そして、非常に高い飛翔能力。
ジャンプすると10-20 m先に飛んで行ってしまいます。
そして、非常に高い警戒心。
それ故、手で摑まえるのはほぼ不可能です。
補虫網を持っていても、網の届く範囲に近づくのは容易ではありません。

比較的草丈が低いイネ科植物が生えている日当たりの良い広い草原を好み、
そのような土地が殆ど無い都市部ではなかなか出会えませんので、
捕まえた時の満足感はかなり高いバッタです。

【捕獲時満足感:8】(10点満点)※素手で捕獲時は9になります。

2011年10月13日
アオスジアゲハ

市街地でも比較的見かける独特のスカイブルーの模様が綺麗な小型のアゲハです。

20111013.JPG


その名は見たまま、"アオスジアゲハ"。

都会の方でも殆どの方が夏に1-2回は目にすることがあるのではないかと思います。
但し、南方系のチョウのため、北海道や東北の方は見たことないですかね。
そう考えれば、熱帯のチョウにありがちなカラフルな色ですよね!

幼虫がチョウの例外に漏れず偏食家でクスノキ科のものに特化しておりますので、
都会でも街路樹を使って繁殖できるため、数が多いのです。

しかしながら捕獲された経験がある方は少ないのではないでしょうか?
実際に捕獲をしようと思ったことがある方ならわかると思いますが、
こいつ、飛翔能力が非常に高く、虫取網を持っていてもそう簡単には捕獲できません。
「あっ、ここの花の蜜を吸っている」
と思っても、次の瞬間には、はるか向こうの木の上方に飛んで行っていることが多いです。
蜜を吸う時もじっくり花に捕まるのではなく、羽ばたきながら次から次へと忙しいのです。
発見してから網の用意をしても間に合わないタイプの典型的な昆虫。
おそらく先日紹介したキアゲハより20倍(私の感覚)は捕獲が難しいと思います。
私も通算20回程しか捕獲したことはありません。

写真撮影もかなり難しいです。
でも、この夏、一度だけ撮影のチャンスがありました。
一瞬ですが、私との距離は1m程度。突然現れて、目の前の花に夢中です。
しかし、急いでデジカメのスイッチをONにした瞬間、視界から消えました。
なんと娘が虫取網であっさり捕獲していました。
「こいつ、虫取りの天才か...?」(ライバル心芽生える)
ということで、それを写真に収めました。

2011年10月06日
キアゲハ

ニンジンで幼虫が育っていました!
201110061.JPG


パセリやニンジンなどセリ科の植物を好むキアゲハです。
どうですか、この模様。
カラフルな毒々しい警告模様で鳥などの外敵から身を守っている雰囲気もありますが、
遠くから見ると、幾重にも重なり風に揺れる葉の陰と日光の中で周囲に打ち解けて、意外と保護色的に作用しているのではないかとも思います。
どちらが正解かはわかりませんが、それを色々と考えながら観察するのは結構楽しいものです。
こいつをツンツン触って怒らせると、濃黄色の角を出し、同時に濃厚パセリ臭のような強いにおいを放出し威嚇してきます。

201110062.JPG

これが成虫です。
カラフルできれいですね。
アゲハチョウと区別がつかない方も多いと思いますが、アゲハチョウはもう少し黒い部分が多く、ここまでカラフルではないです。
そもそも食性が異なり、アゲハチョウは柑橘類を好みますので、キアゲハのように野菜畑で出会う可能性は低いです。

私は、パセリやニンジンの葉だけでここまで立派に成長することが不思議でなりません。
だから、「パセリにはめちゃくちゃ栄養があり、食べると立派な大人になれる」と小さい時から考え、料理の付け合せのパセリは小学生時代から必ず全部食べてきました。
大人数で焼肉なんて食べに行ったら、皿に1つは付け合せがありますので、5分に1回パセリを食べている感じになり大変なのです。

立派な大人になれたかどうか・・・。
ただ、パセリを食べる度に、
「キアゲハはこれだけで成虫になる」と嫌がる他人に無理にパセリをすすめたり、
「キアゲハの成長に腸内菌叢が関与しているはずだ!」
ということを真剣に考えてしまったりする変な大人になってしまった気がします。

2011年09月30日
ゴマダラカミキリ

ラミーカミキリに次いで今年2度目のカミキリムシネタです。
とはいえ、個人的にはそれほどカミキリムシに魅力は感じませんが、今日は飛ぶ直前の翅を広げた写真が撮れましたので紹介します。

20110930.JPG


柚子かスダチか、柑橘類の木で捕獲したゴマダラカミキリです。
カミキリムシは比較的飛ばすのは簡単な甲虫ですね。
手でも木の枝でも何でも、先端部まで歩いて進む道が無くなったら、触角をゆっくりクルクルと回転させ、パッと翅を開いて飛んで行きます。
この写真は、そのような特徴から飛ぶ直前の翅を広げた瞬間を狙って撮ったものです。

子供の頃は、よく手に乗せて、飛んだらすぐに手で捕まえて、また飛ばす。
これを繰り返して遊んだものです。
今考えたらかわいそうですが、おかげで反射神経は鍛えられたと思います。

ゴマダラカミキリは3 cm前後の中型のカミキリムシで、
日本全土に生息し、草食昆虫としては珍しく偏食家ではなくあらゆる樹木を食し、昼でも夜でも活動していることもあり、殆どの日本人が見たことあるカミキリではないでしょうか。
でも、こいつ、果樹農家や街路樹にとっては害虫なんです。
特に幼虫が木の幹の中で育ちますので、樹木全体が大きなダメージを受けるのですね。
昔は被害が多い地域は駆除のために捕獲して農協に持って行けば買い上げてくれていたようです。
1匹何円位なのか知りませんが。

ちなみに、ウルトラマンを倒したこともあり、バルタン星人と並んで最強怪獣と考えられている『ゼットン』の背中の甲羅は、
このゴマダラカミキリがモデルと聞いたことがあります。

2011年09月26日
団扇をもつトンボ再登場

先週の台風は、多くのものを破壊していくと同時に、夏も終わらせましたね。
気が付けばもう長袖にしても良い位の気温になっております。
また、あの台風は、季節の変化を拒んでいたかのように存在していた真夏の昆虫達を一気に葬り去りました。
もう、セミの声は聞こえません。

そうなると、夏場に私の前に現れた昆虫達の写真を整理してみようという気分になるのです。

今日は、その中の一つ、腹の先が団扇状に広がったトンボを紹介します。
そのままの名前で、ウチワヤンマといいます。

201109261.JPG

2年前にも「団扇に見えますか?」で、紹介したことがあり、二回目の登場です。
写真で見るとオニヤンマに模様等は似ており、ヤンマと付くので大型種と思われる方も多いと思いますが、全長7 cm程度の中型のトンボです。
シオカラトンボと同じか少し大きい程度ですね。
私にとっては、これまでの人生でオニヤンマよりはるかに出会いが少ない貴重種で、2年前に初めて出会って、これが2回目の出会い。
しかも今回は私の家の花壇で発見です。
緊張してしまいます。
今回は捕獲ではなく、撮影で接近することを試みました。
気配を殺して正面下方から接近して撮った渾身の写真がこれです。

201109262.JPG


どうですか!
トンボが肉食昆虫であることを再確認できる獰猛な顔つきのショットです。
黒地に黄色。少しトラにも見えますよね。
足のトゲトゲも見て下さい。
この足で空中でハエやアブなどの獲物を抱え込み捕獲、顔の3割位もある口の牙でむしゃむしゃ食べるのです。

何度も失敗したのですが、渾身の一枚を撮らせてくれた直後に飛び去って行きました。
まるで、このブログのために来てくれたような・・・、心が通じたような感覚でした。

2011年09月14日
ツマグロヒョウモン♂

8月19日に紹介したツマグロヒョウモンを覚えていますか?
漢字で書くと褄黒豹紋と紹介したチョウです。
前回はメスの個体を紹介し、
「このチョウは雌雄で模様が違う」と紹介しましたが、
オスの個体を捕獲しましたので、紹介します。

20110914.JPG


だいぶ過酷な成虫時代を過ごしてきたのか、肝心のツマグロ(黒い翅の先)の部位が千切れておりましたが、本来は翅の下の部分に数ミリメートルの黒い帯のような部分があります。
但し、この状態でもメスとは模様が大きく異なるのはわかりますよね!
メスにある翅の左右の端の黒い部分が濃い黄色になっており、豹柄の紋が多いです。
知識がなければ別種のチョウだと思うでしょうね。
私はメスの方が好きです。

「よく、こんな知らないチョウを見つけられるなー」
と言われますが、
向こうから勝手に近寄って来るだけです。

2011年09月08日
ニホンアカガエル

今日は虫ではなく両生類の登場です。

201109081.JPG

ニホンアカガエルです。
平地から少し山側に入った開けた雑木林の草むらで、散歩がてらキリギリス系の昆虫を探していた時のことです。
昆虫より重量感がある生き物がピョンピョン跳ねるので、何かと思ったらこいつでした。
苦労して近づいてボロいデジカメで撮影したものです。

調べてみると、本種は減少しているそうです。
一般論ですが、両生類は幼生時代を過ごす水辺と、成長後を過ごす陸地の両方の環境が揃わないと生活できないので世界中で減少しています。
特に本種は、ヒトの生活圏に近い平地から丘陵地の水辺を好むようですから、被害は少なくないでしょうね。
非常に心配です。

少し追いかけて捕まえてみました。

201109082.JPG

追いかけっこで疲れたようで、おとなしく手に乗っています。
かわいいです。
体長3cm程度。まだ今年生まれた個体です。

殆どの日本人は、
小さいのがアマガエル、中くらいがトノサマガエル、大きくて茶色でイボイボしているのがヒキガエル、めちゃくちゃでかいのがウシガエル、
程度の知識でしょう。
私もそれに近いものがありましたが、最近、ツイッターで「カエル好き」をたくさんフォローしてかなりパワーアップしてきました。
このカエルもツイッター上で専門家にニホンアカガエル、しかも「今年生まれ」と確認してもらいました!

ちなみに、私、かなりのウンコ好きなんですが、カエルのウンコは見たことありません。
どんなんやろー?

2011年09月01日
ハラビロカマキリ(終齢幼虫)

最も好きな昆虫の一つがカマキリでして、
最も好きなカマキリがハラビロカマキリで、
しかも、最も好きなハナビロカマキリの状態が、終齢幼虫(成虫になる一歩手前)なんです。
なぜなら、腹が反っていてかわいらしく、格好良く、身軽でいて、凶暴で、一人前のカマキリと同じ動きもするから。

ちなみに漢字でかくと腹広螳螂。
何度か書いていますが、
よく見かけるオオカマキリと比べるとお腹が広いのでこのような名前が付いています。

とういう理由で、過去にもこのブログにハラビロカマキリは登場しています。

2年前の冬、「夏の忘れもの」

昨年の秋、「晩秋をカマキリで感じる」。(これは成虫です。)

この夏も、色違いの2匹の終齢幼虫の捕獲に成功しましたので、今日も登場です。
201109011.JPG

デジカメ近づけたら、ギロって睨まれました。
もう一つは樹木にいた茶色い個体。

201109012.JPG

同じ茶色系でも2年前の個体
より暗い茶色ですね。
環境により色は変化するのがよくわかります。

基本的なことで今まで書きませんでしたが、何故カマキリは睨むかご存知ですか?
彼らは、動いたものを目で確認し獲物を判断します。
ですから、動くものには敏感なんです。
そして、きっちり顔の正面に捉えて、鎌の届く距離まで近づくのです。
カマキリは横を向いてハンティングすることは決してありません。
そのため、ヒトであろうが、動きがあった方向にまず顔が向くのですね。

虫は長い触角など(センサー)で敏感に餌の化学刺激(ニオイ)を感知するタイプが多いでしょうが、カマキリは完全に視覚に頼ったハンターです。
但し、獲物に近付く時は、触角も獲物の方向を向くので、何かを感じている可能性はあります。

虫の観察をしたことある方には当たり前の話ですが、結構、知らない方多いので、
軽く説明しました。

2011年08月19日
ツマグロヒョウモン

残り少ない夏ですから、論文の件は忘れて虫ブログ。
なんといっても、このブログファンは虫ブログを支持してくれる方が多いですから。

今日紹介するのはツマグロヒョウモンです。
漢字で書くと褄黒豹紋です。
さて、どんな虫の名前でしょう?
正解はチョウの一種で、こいつです。

20110819.JPG

そのままの名前ですね。
ツマグロとは、翅の両端が黒いことを、
ヒョウモンとは、豹柄の紋があるからです。
ヒョウモンチョウの種類は多いですが、その一種ですね。
このチョウも昔は関西以西の暖かい地域に棲息していましたが、温暖化で北上中。
最近では関東地方の北部まで棲息範囲を広げており、この個体も埼玉県所沢市で見つけたものです。

ちなみにこれはメスの個体で、オスは模様が大きく異なります。
メスに比べると綺麗ではないですが、また捕獲したら紹介します。

ところで、この写真、綺麗と思いませんか?
相変わらず4-5年前の普通のデジカメですよ。
花に寄ってきたのを発見したので、
気配を消して近づいて、頑張って撮影しました。
渾身の一枚です。

2011年08月01日
横綱刺亀虫

歴代の横綱にこんな四股名の方がいたというわけはありません。
大相撲ネタではありません。
本日紹介するヨコヅナサシガメを漢字で書いてみました。
この昆虫のことです(↓)

201108011.JPG

翅の下の腹部が外側上方に隆起し白黒のまだら模様になっており、これが横綱の締める綱に似ていることからこの名が付いたと言われています。
カメムシ目カメムシ亜目のサシガメ科に属する、いわゆるカメムシの仲間です。
体長2 cm程度もあり、カメムシとしては非常に大きく、最大級のサシガメであることから横綱と名付けられたという説もあるそうです。

カメムシは尖った口で植物の汁を吸う虫です。
サシガメも同じく尖った口を持ちますが、肉食性で他の昆虫の体液を吸います。
つまり、サシガメとは"刺すカメムシ"の意です。
南米の方ではヒトから吸血する種もあります。
では、その"刺す口"を横からどうぞ(↓)

201108012.JPG

かなり立派ですねー。
これで、主としてチョウやガの幼虫を刺して体液を吸うのです。
また、カメムシの武器である臭いも、私がこれまで経験した限り、出しません。
この個体は畑で見つけたのですが、先日紹介したオオタバコガなどから私のトマトを守ってくれているのでしょう。
但し、この種は1920年代に中国から入ってきた外来種なので、生態系への影響を考えると益虫として喜んでいるわけにもいかないのかもしれません。

どうですか?
何ともいえないこの配色とこの形状、気味悪く感じる方も多く、捕まえてみようとは思わないのではないでしょうか?
動きは速いとはお世辞にも言えず、その気さえあれば、簡単に捕まえられます。
でも、あまり触らない方がいいですよ。
あの口で刺されると、非常に痛いと言われています。
私は、彼らが獲物を捕まえる瞬間を観察したことがないので、しばらく飼ってみようか迷いましたが...。

2011年07月28日
コガネグモ(幼虫)

畑に行く楽しみにクモ観察があります。
地面を素早く走るクモもいいのですが、
やっぱり巣を張っていつもほぼ同じ場所にいるクモの方が愛着が沸きます。
20110728.JPG

これ、コガネグモの仲間の幼虫です(私はコガネグモの細かい分類は詳しくない)。

巣の中心部の周囲にギザギザ模様の隠れ帯(白帯とよぶことも多い)を作るクモです。
成虫になると雷の稲光のような形のものが多いのですが、
幼虫の時は、このように周囲全体に作ることが多いと思います。

日本全国広く分布し、珍しいクモではないはずなのですが、
比較的平地など明るい場所に棲んでいることが多いようで、
山の麓である私の奈良県生駒市の実家の周囲には、ジョロウグモの方が幅を利かせており、
私にとっては貴重なクモでした。
なので、今でも発見したら少し興奮してしまいます。
畑で見つけては、自分のトマトなどに連れて来て飼育しています。

こいつで遊んだことが無い方は、見かけたら是非、餌をあげて下さい。
その糸巻き技術は凄いので必見です。
その辺にいる生きた虫なら何でもいいですが、バッタがお薦めです。

虫が網に引っかかった振動に素早く反応、獲物に到達し(1秒以内)、
お尻から何本もの糸を帯のように出し、
後ろ足で器用に獲物をグルグル回し、
2-3秒後には獲物は糸でグルグル巻きになっています。
獲物は何が起こったかわからないうちに、身動きできなくなっているのではないでしょうか。

クモ嫌いの人でも感動するはずです。
デートでやったらモテモテ間違いなし!(保証しませんが...)。

2011年07月25日
ショウリョウバッタ(幼虫)

この写真にバッタがいます。何処にいるかわかりますか?
201107251.JPG


中心にいます。
左斜め上が頭部で触角がありますね。
この見事な保護色(擬態ともいえますかね?)はショウリョウバッタの幼虫です。

まだ3 cm程度ですが、成虫になるとメスは10 cm級の日本最大のバッタです。
小さめのオスの成虫は結構飛翔能力が高く、キチキチキチと音を出して跳ぶ("飛ぶ"との間位の飛翔能力)ので、俗称でキチキチバッタとも呼ばれています。
全国で普通にいる、特に珍しくないバッタです。

秋植えのダイコン用に、イネ科のニューオーツという植物を育てて、刈り込んで、畑に有機物肥料としてすき込んでいるのですが、このバッタはそのエリアで見つけたものです。
つまり、茶色く枯れた植物が多いエリアです。

一方、雑草や作物など、青々とした植物があるエリアにいるショウリョウバッタはこんな感じです(↓)。
201107252.JPG


これも中心にバッタがいる写真ですが、見事な保護色で環境に溶け込んでいますね。

ほんと不思議です。
何故色が変わるのかは知りませんが、凄い能力です!

2011年07月19日
オオタバコガ

聞き慣れないカタカナタイトルから虫の話というのはわかった方が多いと思います。
最後の文字が"ガ"なので、多くの方の予想通り蛾の話です。
ですから、蛾が苦手な方は注意と言いたいところですが、
今日は蛾嫌いの方より、イモムシ嫌いの人の方が注意が必要です。

これ、「野菜作っています」シリーズで紹介しようかと迷ったのですが作物害虫なのです。
タバコガというタバコの葉を好むガの仲間で、タバコガとオオタバコガの2種類が作物に被害を出します。
特に、オオタバコガは、1994年に大発生して以来、ナス科、ウリ科、アブラナ科、マメ科、イネ科など、殆どといっても過言でない広範囲な作物に容赦なく被害を出す大害虫となっているようです。

その特徴はかなり悪質で、果実、茎、結球などに潜り込み食い荒らす手口です。
つまり、トウモロコシの皮を剥くと・・・
201107191.JPG

こんな具合に入り込んでいるのです。

穴が開いたトマトを見つけると・・・

201107192.JPG
中にいるんです。トマトの場合、侵入時の小さな穴がポツンと開いているだけのことが殆どで、収穫まで気が付かないこともあります。

茎に侵入されると・・・
201107193.JPG


その上部は枯れます。侵入した穴がわかりますか?

昆虫少年だった私は虫のオーラを感じるので被害を最小限に抑えることができますが、一緒に農園をやっている方の中でも虫オーラを感じない方は、被害を受け易いようです。

そして、こいつの難儀なところは、あまり薬剤が効かないのです。
といいますか、植物体の中に潜り込んでいるので、薬をかけようにもかけられません。
若齢期は潜り込まずにウロウロしていることが多いので、その間に発見するしかありません。
是非、このブログで農家の方の苦労を理解して下さい。

ちなみに成虫はこれといって見栄えしないしょぼい"ガ"です(蛾好きには怒られる...?)。

もし気付かずに、幼虫入りトマトをガブッと食べるのを想像すると怖いですね。
まあ、肉食昆虫の気分を味わったと思えば良いことですが。

2011年07月12日
トホシテントウ

かなりの頻度でキュウリが被害を受けるのです。
こんな感じに。
201107121.JPG

ついに犯人を見つけました。
現行犯逮捕です。トホシテントウ。
201107122.JPG

有名なナナホシテントウや先日紹介したナミテントウ(マニアックですが、ナミテントウの斑紋)などの肉食性の益虫と扱われているものとは異なり、草食性のテントウムシです。
これに似た、ニジュウヤホシテントウはナス科の植物を食い荒らす大害虫であるのは知っていましたが、トホシテントウが作物に被害を与えるという報告は私の知る限りありません(もちろん専門家でないので文献を調べまくったわけではありません)。
インターネットで調べましたが、全ての解説で、
「アマチャヅルなどのカラスウリ類の葉を食べる。」
というようなことが書いてあり、作物に被害を与えるという記述はありません。
おとなしい草食性のテントウムシというイメージなので、少し驚いています。
近くにカラスウリ類の植物があり、時々飛んできていると思われます。
大発生というレベルでもありません。

"トホシ"はもちろん"十星"で斑が10個あります。
上の写真では8個(よく観察すると8.2個ほど見えます)しか見当たらないでしょうが、横にあります。
横から見ればわかりますよ。これ↓
201107123.JPG

ナナホシテントウより、少し厚みがあるのもわかるでしょうか?
そして翅の表面は0.1mmにも満たないであろう無数の短い毛で覆われており、ナナホシテントウやナミテントウのようにテカテカした光沢はありません。
これ、草食性テントウムシの特徴ですね。
見つけ次第捕獲し、コガネグモにプレゼントしています。

2011年06月10日
マニアックですが、ナミテントウの斑紋

昨日のテントウムシの蛹はどんなテントウムシかわかりますか?
皆さん良くご存じのナナホシテントウではありません。
私が観察している限り、全個体がナミテントウです。

ナミテントウ?
初めて聞く名かもしれませんが、よく見かける黒地に赤い斑点二つのテントウムシです。
もちろんアブラムシを食べる種類なので、人にとっては益虫ですね。

この斑点(専門的には斑紋)ですが、表現系がいっぱいあるのです。
表現系というのは、簡単に述べると、生物の体に現れてくる形質です。つまり、同じ種類の生物でも形や模様に出てくるものです。
クワガタの大アゴの大きさや、バッタの体の色、昆虫以外では花の色や三毛猫の模様も表現型といえるでしょうね。
遺伝的なものと環境的なものがありますが、ナミテントウはどうやら遺伝的な要因です。

ナミテントウの基本形は黒地に2つの丸い赤斑紋なのですが、4つの斑紋、赤地に黒い斑紋、斑紋の形も様々、無地のものもあり、20種類以上存在します。
とても同じ種類のテントウムシとは思えません。

これは斑紋に関連する複数の遺伝子により決定されるのですが、さすがに私も説明できません。それに関しては極めて秀逸なホームページがありますのでご参照下さい。世の中にはマニアックな方がいると感動してしまう程凄いので、ナミテントウに興味が無くても一見の価値ありです!(http://nemutou.fc2web.com/namitento/namitento.html

この敷地内では、私が観察する限り100匹に1匹程度の頻度で紅型(橙あるいは赤地に多数の黒斑紋)の個体が生まれています。

20110610.JPG

左側が紅型。羽化直後なので、もう少し時間が経つと赤味を帯びてくると思います。
右側は変形二紋型。すなわち黒地に変形した赤色の2つの紋がついているタイプですね。

楽しんで頂けたでしょうか? 無理やろなー?

2011年06月09日
テントウムシのサナギ大発生

昨夏、協同乳業㈱東京工場および研究所の敷地内では多量のセミが羽化をしていることを
紹介しましたが(初ミンミン)、
今はテントウムシがこれまた沢山蛹になって羽化しています。

研究所の玄関付近の植え込みの下のコンクリート部分を撮影してみました。
201106091.JPG
見て下さい、この多量の蛹。私が数えた限り28個の蛹と、
羽化してすぐのまだ翅が黄色い成虫1匹、幼虫1匹と蛹の抜け殻2つがあります
(このショットを撮るのは少し苦労しました)。幼虫がどれかわかりましたか?
もう少しアップにしてみましょう。
こんな感じで密集しています。
201106092.JPG
さて、この敷地内全体でどれ位の数がいるのでしょう?
実は、カウンター(鳥の数とか指でカチカチしながら数える道具)で数えようと試みたのですが、軽く1000を超えたので諦めました(999を超えるとゼロになる)。
それで計算で大まかな数を出してみます。

撮影したのはちょうど無味乾燥な線で区切られた60×70cm程度の区画なのですが、
研究所玄関を中心に北に約50区画、南側にも同様の距離で合計約100区画。
この1区画あたりには多いところでは30匹以上、少ないところでも10匹以上、
無作為に選んだ5つの区画の平均では約21個でした。
つまり、研究所を長方形(おおよそ長辺:短編=3:2)とすると、
長辺の片方のコンクリート部分だけで21×100=2100匹になります。
研究所の残りの周囲分を算出すると、2100匹(長辺)×2+1400匹(短辺)×2=7000匹。
さらに研究所の4~5倍の敷地がある工場の周囲には少なくとも
2万匹は要る計算になります。
また、コンクリートの奥にある植え込みの中(たくさんの草、低木、巨木がある)にも
観察すると大量に蛹がありますので、軽く5-6万匹はいることになりますね。
ちょっと怖いです。

そして、彼らは一生の内に食べるアブラムシは数千匹と言われています。
蛹になるまでの育ち盛りに500匹食べたと仮定しても、
数千万匹のアブラムシがこの敷地にいた計算になります。

2011年05月11日
2011年版 野菜作っています7 ―遂に食べまくり状態に突入です―

先週はゴールデンウィークで紹介できませんでしたが、野菜達の生長スピードは凄まじいです。
とにかく2週間前の写真(野菜作ってます5)、(野菜作ってます6)と比べて下さい。
20110511.JPG
初夏の日差しのパワーを受けて生長する凄さがわかると思います。
手前はジャガイモですよ。
その向うの畝は食べざかりの葉菜類です。
これ狭そうですが、奥行が70-80センチあり、
スーパーの小松菜の束でいうと、これで軽く10束分位はあります。
もう食べ切れず、プレゼントしまくりです。

201105112.JPG
ラディッシュもこんなに大きくなりました。
地中にできるイメージの方が多いと思いますが、基本的には地上で巨大化します。

201105113.JPG
これ、ルッコラです。
収穫して香りでわかりました。イタリアンとかのサラダに使う野菜ですね。
少し苦味があって本当に美味しいです。

水菜ベース7、ルッコラ2.5、ラディッシュ0.5位の割合でドレッシングをかけるサラダは絶品です。

野菜食べ過ぎで、ウンコが緑系の色が入ってきたのは言うまでもありません。
言うまでもありませんが、書いてしまいました (^o^)v

2011年05月10日LKM博士の勝手にベストセレクション
カナヘビ

知っている人は知っている。
知らない人は知らない。
(当たり前ですが・・・)
それがカナヘビという生き物でしょう。

奈良の実家の植え込みから、頭を出した写真です。
201105101.JPG
「ひなたぼっこしよう。安全かな~」
と思っているのでしょうか。
ヘビ?

いえいえ違います。
201105102.JPG
足があります、トカゲです。
感性の問題なのでうまく表現できませんが、凛々しいでしょう?

残念ながら捕獲には失敗しました。
虫の動きに慣れている私にとっては、カナヘビの動きは非常に素早く感じてしまうのです。
また、手に触れても虫と異なる重量感とパワーで振り切られてしまいます。
狙った虫の捕獲率が90%程度はあるのに対し(私の感覚)、
カナヘビやトカゲは10%以下だと思います。
情けない・・・(´ε`)

正式にはニホンカナヘビ、日本の固有種です。
いわゆる尻尾の先が青いニホントカゲと区別できるようにしましょう。
基本中の基本です。
皮膚は、カナヘビは乾いた感じ、ニホントカゲは濡れた感じがします。
また、私の印象ですが、カナヘビは低木などに登って
ひなたぼっこをしていることが多いと思います。
ニホントカゲは、あまり木の上では見かけず、石の上などが好みのようです。

このブログ、3年目にして初の爬虫類の登場でした。

2011年04月15日
翅を開く直前のナナホシテントウ

今日は、ひねりの無いタイトルです。
そしてタイトルのままの写真です。
20110414.JPG

飛びそうな雰囲気があったので、翅を開いた瞬間を撮ってやろうと思ったのですが、
もう少しでした。
あと、ゼロコンマ何秒か遅くボタンを押せば翅を最大限に開く写真が撮れたような気がして残念です。
しかし、4-5年前の普通のデジカメではこれが限界だと思います。

それにしても翅を開くという感覚はどんなものなのでしょうね?
肩甲骨を動かすイメージなのでしょうか?
それに飛翔用の後翅を広げたり、折りたたんだり、どうやってコントロールするのでしょうか?

ふと、そんな事を考えてボーっとしてしまいました。

能力の高いデジカメが欲しい!

2011年03月18日
ふ化の頃には

本地震で無事だった地域の企業人は、日本経済のために、最大限の努力をしなければなりません。
食品企業としては、きっちり製品を作り市場に送り出すこと。
研究者としては、日進月歩で研究を進めて行かねばなりません。
特に国の委託研究を受けている立場としては、国が苦しい時こそ、きっちりした成果を出す事が大事だと思っています。

しかし、この連日の停電は厳しいですね。
仕事中に電力供給が無くなるのは、単純に3時間の遅れではなく、
8時間かけて行う実験(これは計算し、早朝や深夜の停電と停電の間に実施可能)、
24時間かけて行う実験、
1カ月かけて行う実験、
1年かけて行う実験、
全てが困難、あるいは不可能になってきております。
参った(×_×;)
・・・

いきなりですが、
今日はカマキリの卵で締めたいと思います。
20110318.JPG
これ、ハラビロカマキリの卵です、たぶん。
95%位の確率で自信があります。
ハラビロカマキリはこのブログに何度か登場している、ずんぐりむっくりしたカマキリです。
「夏の忘れもの」
「晩秋をカマキリで感じる」を参照して下さい。

カマキリのふ化は大体4月後半から5月初めです。
厳しい冬をこの状態で耐えて、一斉にふ化するカマキリにあやかり、
この卵がふ化する頃には、正常に近づくことを祈りたいと思います。

2011年03月04日LKM博士の勝手にベストセレクション
啓蟄(2011年版)―どアップ(カマキリ編)で祝いましょう!―

明後日、3月6日は啓蟄です。
漢字が読めない方、昨年も同じタイトルで書きましたので、それを読んで下さい
2010年啓蟄
いよいよ本格的に多くのムシ達が活動を始める時期ですね。

このブログでもムシ達を扱う機会も増えてくるでしょう。

ムシ、特に昆虫、は哺乳類とは異なる方向に究極的に進化した生物集団だと思います。
ムシ嫌いの方々もそういう視点で観察すると面白いはずです!

ということで、啓蟄を祝して、昨年紹介し忘れたカマキリのアップといきましょう。
モンシロチョウを美味しそうに食べている姿です。
どうぞーっ。
201103041.JPG
「なんか文句あるのか!」という感じですね。
これは私のコンピュータのスクリーン背景に使っている写真です。
201103042.JPG
どアップ
当然ですが、チョウの翅ではなく、体から食べ始めるのですね。
カマキリは体液を吸うタイプではなく、むしゃむしゃ食べるタイプの肉食昆虫です。