協同乳業研究所 農学博士 松本光晴のブログ

ビフィズス菌LKM512研究スタッフ松本光晴博士が
お腹のためになる情報をお届けします。

2013年02月05日実験器具・機器シリーズ
お世話になっている実験器具・機器シリーズ12 ―8連(マルチチャンネル)ピペット―

本シリーズ9で紹介した96個のチューブが合体したようなプレートの穴に、
本シリーズ10で紹介したチップを使って、
一つずつ反応液を注入するのは大変な労力がかかります。
単純に、1種類の試薬を入れるだけで96回も
元液での吸い上げと穴への注入を繰り返すことになります。
穴の中で、5種類の試薬や試料を混ぜるとなると480回の労力です。
正直、正確にはできなくなります。

そこで使われるのが、これ!
20130205.JPG
複数のピペットを一つに合わせたピペットです。
ここでは8つ連なったピペットを使っています。
96回の作業が12回で済みます。
本シリーズ11でチップが8×12が基本単位と書きましたが、
このピペットもこれに対応しています。

「複数の」という意味の「multi-」をつけて、
マルチピペットという名で売られることが多いです。
が、殆どの方は「8連ピペット」と呼びます。
時々12連ピペットがある研究室もありますが、ちょっと大き過ぎて私は苦手です。

8つとも正確に吸い上げて注入する必要がありますので、
信頼できる機種でなくてはなりません。
しかーし、実績のある老舗メーカー品は8~10万円程度するので、
購入を少し躊躇してしまいます。
コスト削減を意識した私は、一度、安いもの(3万円代)を購入したのですが、
8本全てにきっちりとチップを装着するのが困難で、
また、装着できたように見えてもそれが甘く、試薬が正確に吸い上げられなかったのです。
結局手で、1つ1つチップを押して装着確認をする始末。
コスト削減どころではない、時間と試薬の損失です。

8連ピペットは、老舗メーカー品も、メーカー毎に、重さや使い心地が少々異なるので、
好みが分かれる汎用機器です。
大概のメーカーはお願いすれば、お試し貸出しをしてくれますので、
1週間程お借りして、研究室メンバーでどれを購入するか選ぶのも楽しいです。
といいますか、我々、理系、特に生命科学系、の仕事をしている人間は、
こんなことでワイワイ、ガヤガヤ言うのが結構好きな人種なのであります。

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