2016年02月02日LKM博士
遺伝子とゲノムは使い分けてや~
少々時代遅れの大学教授や少々生物学研究をかじった上司などと話していて、
ややこしくなるのが遺伝子とゲノムの使い分けです。
「それは"ゲノム"を調べたらわかるやろ」
なんて言われたら混乱です。
「ゲノム???」
心の中「"遺伝子"(発現)と間違ってるやろ? 指摘すべきかスルーすべきか...?」
ゲノムというのは、ある生物が持っている全ての遺伝子のことです。
遺伝子とは遺伝情報が入っている部分です。
つまり、ゲノムを調べるという行為は、その生物の遺伝子全てを調べるということです。
どんな遺伝子を持っているのかを調べる行為です。
総財産をゲノムに例えましょう。
現金、定期預金、株、宝石、車など、一つ一つが遺伝子に該当すると思います。
つまり、「ゲノムを調べろ」は「全財産を調べろ」になります。
全てを片っ端から捜索せねばなりません。
一方、遺伝子を対象にする場合はこうです。
「遺伝子Kabuの発現を調べろ」⇒「株をどれくらい保有しているか調べろ」
「遺伝子Kabuの発現が低下した」⇒「保有している株価が下落している」
「車は持っていない」⇒「Kuruma遺伝子は発現していない」
とターゲット絞って分析する作業です。
今は、ヒト(一生物種)のゲノムを解読するのに、世界各国の研究者が集まって10年以上かかった時代ではありません(ヒトゲノム計画。大昔のように思われるかもしれませんが、解読が終わったのは2003年です)。
その後、科学分析機器が恐ろしいスピードで進化を遂げており、
今では、本気出せば、いや出さなくとも、機械とお金があれば、
バクテリア(細菌)のゲノム程度なら1名の研究員で1週間以内に読める時代です。
したがって、「ゲノムを調べたらわかるやろ」というセリフは混乱するのです。
まあ、会話の流れからわかりますけどね。
これにDNAという言葉が絡んでくると益々混乱します。
なので、今日は書きません。