2014年01月06日LKM博士
午年です。我々の研究でウマと言えば・・・
仕事初めは真面目に研究系の話から始めますかね。
(元旦にブログをアップしておりますので、そちらがまだの方は読んで下さい→
明けましておめでとうんち!)
我々はさすがにウマを研究対象にすることはありません。
獣医系の方でウマの腸内菌叢を調べている方等はいますが。
我々のように腸内細菌を研究している者にとって、
最も身近なウマ絡みの物は、
間違いなく、ウマの血液でしょう。
腸内細菌用の寒天培地(微生物のための栄養が入った培養用の寒天。シャーレ内に入れて作ることが多い)にウマの血液を入れるものが古くから使われています。
ですから、ウマの血液そのものが市販されています。
100 mlで5000円程度です。
高いのか安いのか全くわかりません。
ウマ血液寒天培地を作製するにあたっては、
血液を入れるタイミングが少々難しく、
ウマ血液(特にタンパク質系成分)が熱で変性しない温度、
且つ、寒天が固まらないギリギリの温度帯で、
(添加するウマ血液の影響で下がる温度も計算に入れねばならない)、
つまり大体55℃位のタイミングで、
撹拌しながら添加しなくてはなりません。
もちろん、使用前の寒天培地に微生物が混入したらいけないので、
温度計など突っ込みません。
高圧滅菌後の寒天が溶解した液状の培地が入ったフラスコを手で触って判断します。
慣れれば簡単ですが、少々、職人技です。
先人達が、どうしてウマの血液に行き着いたかは不明ですが、
試行錯誤の努力の賜物であることに間違いはないと思います。
不思議なことに、寒天培地にウマ血液を入れると、
培地の上に生育する腸内細菌は、種類ごとに色や形状に差が出てきて、
識別し易くなるのです。
これ、私の腸内菌叢をウマ血液添加するBL培地(Blood-Liverの略で血液と肝臓エキスを主成分とする培地)というもので培養したものです。
大きさ、形状、色が異なる多種類のコロニー(1個の菌から増殖した塊)が生育しているのがわかると思います。
もしウマ血液を入れないと、全部、白いコロニ―になって識別困難になるのです。
また、ウマの血液を入れないと生育しない菌種もあるようです。
おそらく、ある菌種にとっては増殖因子になる成分が含まれているのでしょう。
近年は、DNAを使って菌種解析するので出番は少なくなっておりますが、
腸内細菌をウンコから分離するためには必要なものです。
今年は、いつも以上に血液を抜き採られるウマに感謝して、
ウマ血液を使いたいと思います。