2012年03月07日LKM博士
先日の論文を解説します!(漢方薬活性型ビフィズス菌)②
昨日の続き、大黄の有効成分センノシドを腸内で分解して薬効成分レインアンスロンを産生して腸の蠕動運動を活性化させる技術の開発です。
とその前に、「レインアンスロンを飲めば良いじゃないか」というご意見もあるでしょうが、
この物質は安定性が悪いようです(化学は得意でないので説明が雑ですいません)。
試薬として販売すらされていない位です。
ですから、腸管内で作らせる方が効率的で経済的なのです。
センノシドをレインアンスロンに変換するには、
酵素で二段階の分解を行えば良いのです。
ややこしいので酵素の名前は書きませんが、こんなイメージですかね。
4ピースのパズル(センノシド)を第一段階で2ピースに割り、第二段階で1ピースに割ると、その片方がレインアンスロンであるというイメージです。
これら酵素をビフィズス菌や一部の乳酸菌が持っているだろうということは過去の報告からわかっていたのですが、それだけで研究が進んでいませんでした。
薬学部の先生方は、複雑怪奇な腸内細菌が登場した時点でお手上げ状態に陥るようです。
その結果、優秀な菌株を選出する作業は実施されていませんでした。
そこで、私が保存している135株菌株から優秀な菌株を選択する作業に入りました。
試験管レベルの実験です。
その結果、センノシドを分解し、レインアンスロンを産生する菌株が複数見つかりました。
その中から、胃酸を通過できる耐酸性を有しているものを選択し、
強烈にセンノシドを分解する菌株とマイルドに分解する菌株を選出しました。
強烈なのが簡易番号M-8(後にLKM10070と命名=正式に協同乳業の保存菌株に登録)と、
マイルドなのがお馴染みLKM512。
マイルドな菌株が必要な理由は、強烈過ぎると下痢になるリスクが考えられたからです。
そして、マウスを使った実験へと進んで行くのですが、続きは明日。
ちなみに、M-8という菌株はBifidobacterium pseudocatenulatum(ビフィドバクテリウム シュードカテヌラタム)という学名のビフィズス菌です。
私の本名はMitsuharu Matsumoto。
M-8のMは私の頭文字。
社内でも秘密にしていましたが、これは私のウンコから発見した菌なのです ( ̄ー+ ̄)