2011年02月23日LKM博士
牛乳でおなかゴロゴロ(前半)
先日、初めて乳業メーカーの研究員らしいことをブログにしたら反響が多かったです。
このブログ→「植え継げませんよビフィズス菌は」
https://lkm512.com/blog/images/2011/02/08/。
そういうわけで、もう一つ、一般的にはきっちりとは理解されていないだろうと思われることを書いてみます。
牛乳飲んだらおなかがゴロゴロする、酷い人は下痢をするのですが、この原因をご存じですか?
それは乳糖、英語ではラクトース(Lactose)、の仕業です。
これが消化管内で分解できない人は、おなかがゴロゴロするのです。
細かいメカニズムは置いておいて、まずはこの乳糖とは何者かをお話しましょう。
牛乳中には主要な栄養源として入っており、その濃度は約4.5%です。
すなわち、牛乳1Lあたり、45gも入っています。
そして、牛乳中に入っている炭水化物の99.8%はこの乳糖となります。
牛乳のエネルギー(カロリー)源の約30%は乳糖によるものです。
糖なのに牛乳は大して甘くないと思われるでしょうが、乳糖はあまり甘くない糖なのです。
ショ糖(砂糖)と比較してみると、
ショ糖の1%、5%、10%、20%の甘味度は、
乳糖の3.5%、15%、20%、33%の甘味度に相当する、
と報告されています(Nickerson, 1974)。
一部の植物体に乳糖を含むものが存在するようですが、基本的には名前の通り、哺乳類の乳中に特徴的な糖で、殆どの動物の乳では最優勢な炭水化物です。
当然、ヒト乳(母乳)にも大量に含まれています。
母乳には、牛乳以上に含まれており、約7%です。
牛乳より母乳が少し甘いといわれるのは、こういう理由からです。
"牛乳でおなかゴロゴロ"は、牛乳がヒトに適していない(相性が悪い)からと誤解されている方が多いようですが、牛乳でおなかゴロゴロする人は、当然、母乳でもおなかがゴロゴロするはずです。母乳の方が濃度は高いので、酷いことになるかもしれません。
「どうして赤ちゃんは大丈夫なの?」
と思われた方へ。
つづきは明日です。