協同乳業研究所 農学博士 松本光晴のブログ

ビフィズス菌LKM512研究スタッフ松本光晴博士が
お腹のためになる情報をお届けします。

2013年08月15日LKM博士の勝手にベストセレクション
穴の中の生物④ ―ひらめき編―

ハンミョウ幼虫釣りに失敗して2年が経過。
軽く100回以上は失敗している。
しかし諦めてはいけないのが研究者である。
2012年の秋もたくさんの穴が発生した。
ただ、もう同じ作戦、すなわち、
枯草を巣穴に突っ込み、その枯草を幼虫がどけようと押し出される瞬間に釣り出す方法
を実行するつもりはなかった。

ちなみに100回以上の失敗はただの繰り返しではなく、
枯草の長さや太さ、穴への突っ込み方、タイミング、植物種、さらには生草等の検討も含まれる。

幼虫が枯草を持ち上げる行為は、住処に突っ込まれた枯草が邪魔で幼虫が巣から追い出す行為と推測される。
すなわち、よく考えると、
幼虫は枯草を巣穴から出したいわけで、その枯草を引き抜いたところで、
幼虫にとってはラッキーなことで枯草を噛み続けている必要がない。
一緒に引き上げられる可能性は当然低いはずである。

発想の転換が重要である。

この「枯草法」がダメな理由は以下の4点と分析した。
① 枯草にきっちり喰い付いていない可能性が高い。つまり巣の中から邪魔な枯草を頭を使って押し出しているだけの可能性が高い。
② そもそも枯草は脆く、きっちりハンミョウの幼虫が噛みつくことができないかもしれない。
③ 枯草が動いて地表付近に出て来た瞬間に手で枯草を引き上げていたが、おそらくハンミョウの視界に手が入った瞬間に、ずば抜けた反射神経ですぐに巣内に潜っている。
④ 枯草法を応用した「枯草シャベル法」は、掘るために巣に相当近づかねばならず、これまたハンミョウの幼虫視界に入ってしまう。

上の問題を見事に解決するため、私がとった作戦を以下に示す。
① 積極的に噛みつかせる方法にすべきで、疑似餌が良いはずである。
② 牙で挟みやすく(喰い付きやすく)するために、糸で作る。
③ しかも、メインの獲物であるアリに似せるため黒い糸を使い大きさをアリサイズにする。
④ 釣竿のようにして、私が1m程離れた所から疑似餌を扱い視界に入らないようにする。
⑤ 振動を感じているとすると真上から疑似餌を垂らすのは不自然なので、巣の周囲に疑似餌を落とし、アリの様な動きで巣の真上まで疑似餌を引きずる。

さて、完成したハンミョウ幼虫捕獲道具はこれである。
2013062601.JPG

疑似餌の部分のアップはこれである。胸部と腹部間のくびれも再現した。
2013062602.JPG


作製に要した時間、約10分間。

謎の自信があった。

つづく
次はクライマックスだ!

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