協同乳業研究所 農学博士 松本光晴のブログ

ビフィズス菌LKM512研究スタッフ松本光晴博士が
お腹のためになる情報をお届けします。

2012年09月28日その他
単位の違いとうんちの尊さに戸惑いながら...(助手Aブログ)

久しぶりに助手Aです。
以前のブログにも書いてありますが、
この部署に異動になる前はプリンの商品開発に携わっていました。
仕事の内容は読んで字のごとく、新商品を開発するわけですが、
新製品の市場への投入は、大きく分けると一年で春と秋の二回あります。
その発売時期に間に合うように、マーケティング部門とコンセプトや商品設計を詰めていき、
製造に問題がないか、保存性に問題がないかを工場でのライン試作で検証していきます。

このライン試作というのが、プレッシャーのかかる仕事です。
というのも、一回のライン試作で作るプリンミックス(原材料を混ぜ合わせたもの)は
工場にもよりますが約2トン、
個数にすると20,000個から30,000個分くらいのプリンを作るからです。
原料費だけでも数十万円‼なんてことも。
安全な商品を安定的にお客様に提供するには必要なコストとはいえ、
何度も失敗できる金額ではありません。

一方、今の仕事は、マイクロは当たり前で、ピコ、ナノの世界です。
トンからナノまでは実に0が18個、18桁も小さいものを扱うので単位ボケすることも。
ただ、物理的な数字は小さくなっても、金額は反比例し1mlで十数万円する試薬もあり、
たった数滴でライン試作と同じ金額なんてことも多々あります。
まだ慣れないこともあり高価な試薬や酵素を使う時には結構緊張します。
プリンの設計も見た目以上に複雑で難しいのですが、
今の仕事はプリンの試作と違って目に見えないレベルでの反応であるため、
失敗した時もどこが間違っていたのか、
どこを改善すればいいのか見当をつけるのもなかなか難しい。

お金で買えるものならいいのですが(良くはないですが^^;)、
うんちはそうはいきません。
試験期間中のその被検個体のうんちは、その時だけのもの。
一期一会でまさにプライスレス。
特にうんち中の生きた微生物を見る場合は失敗できません。
まさかうんちを尊いと感じるようになるとは思ってもいませんでした・・・・ 
まだ、そこまで貴重な実験試料は扱っていないですが、
今後色々と貴重な資料も扱うことになると思うので
気を引き締めて臨んでいきたいと思います。

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