協同乳業研究所 農学博士 松本光晴のブログ

ビフィズス菌LKM512研究スタッフ松本光晴博士が
お腹のためになる情報をお届けします。

2012年02月15日LKM博士
先日発表した論文(Scientific Reports)解説します⑦ ―結果と考察つづき―

昨日の続きで、
③各成分の濃度を無菌マウスと通常菌叢マウスで比較しました。
の中身を今日は紹介します。

無菌マウスで多かったもの、通常菌叢マウスで多かったもの、差が無かったもの、
色々ありますので、餌成分も加えてグループ分けをしてみました。。
それが論文の図2になります。
ややこしいのでここにもその図の一部を掲載します。
20120215.jpg
A~Gまで7つに分けました。
カッコ内はそのグループに属する成分の数です。

A:無菌マウスの腸内に多く、餌に含まれていない成分。
これは、生体あるは消化で産生され、普段は腸内常在菌にほぼ分解されてしまう成分です。

B:無菌マウスの腸内に多く、餌に含まれている成分。
これは、生体あるは消化で産生されるか餌成分がそのまま出てきたもので、普段は腸内常在菌にほぼ分解されてしまう成分です。

C:無菌マウスと通常菌叢マウスに差がなく、餌に含まれていない成分
これは、生体あるは消化で産生され、腸内常在菌の影響を受けない成分です。

D:無菌マウスと通常菌叢マウスに差がなく、餌に含まれている成分
これは、生体あるは消化で産生されるか餌成分がそのまま出てきたもので、
腸内常在菌の影響を受けない成分です。
ウンコにダダ漏れ系の食物成分も入りますね。

E:通常菌叢マウスの腸内に多く、餌に含まれていない成分。
これが、一番わかりやすいですね。
そうです、単純明快、腸内常在菌により生成される成分

F:通常菌叢マウスの腸内に多く、餌に含まれている成分。
これは、腸内常在菌により生成されている成分、
あるいは餌成分で腸内常在菌が大腸での吸収を阻害している成分となります。
吸収を阻害する成分はあまり聞いたことがありませんので、おそらくEと同じく、
腸内常在菌が生成する成分と考えても大きな間違いはないと思われます。
ちなみに私が大好きなポリアミンのプトレッシンとスペルミジンはここに属します。

G:餌のみから検出された成分。
これも簡単ですね。腸で完全に吸収される成分です。

それぞれのグループに入る成分の詳細は論文の図2の下に丁寧に書いてありますので、
研究者で細かく知りたい方はそちらから見て下さい。
→ http://www.nature.com/srep/2012/120125/srep00233/full/srep00233.html

一般の方には、「一つ一つ、丁寧に調べて色を変えて大変ねー」と思って頂ければ十分です。

この1つの図を仕上げるのに一体何日かかったことか...
思い出すだけでしんどい。

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