2012年04月17日LKM博士
金の切れ目は縁の切れ目
2009年度に採択され、3年間に渡って取り組んできた生研センター委託研究ですが、
3月の年度末をもって終了しました。
「腸内細菌にポリアミンを作らせて、炎症を軽減し、健康寿命を伸ばす食品を創る」
というテーマ。
目標は達成し、色々と最後の報告書の提出等が先週終わり、無事終了です。
結構しんどかったので、終わって「燃え尽き症候群」に陥りそうで心配な私・・・
このプロジェクトを達成するためには既存のメンバーでは不可能で、
合計3名のポスドクを雇用しました。
ポスドクとはpostdoc(toral)のことで、博士研究員と呼ぶこともあります。
つまり、博士号取得後、まだ助教など定職に就かず(現実は「就けず」)、数年から長くて5年間程度の任期付で様々な研究室で研究する若手の研究者のことです。
日本の現状は、過去に国の政策でポスドクが増加したにも関わらず、彼らの就職先である大学や研究所の定員は減少しており(ましてや、企業のポスドク採用は皆無に近い状況)、不安定なポスドクのまま40代に突入する高齢化問題が生じ、危惧されています。
また、所属した教授のテーマに取り組むことが多く、自分がやりたい研究を進めるのも困難、自分が出した成果も教授などの成果になることも多く、私は問題視しております。
社会的地位も微妙で、立場が弱く、アルバイトのような給料で雇われている人も多いです。
従って、生活が不安定で、将来が不安で結婚等を躊躇する場合もあるようです。
皆さんに馴染みがないでしょうが、日本の頭脳流出にもつながる大問題と思われますので、
私なりにポスドクの紹介をさせて頂きました。
で、雇った3名のポスドクが非常に優秀で、おかげさまで良い研究成果が得られました。
私の無茶な要求にも応えてくれて、何より良き相談相手になってくれました。
でも、この委託研究が終われば、彼らを雇うお金はなくなります。
従って、チーム解散です。
まさに、金の切れ目は縁の切れ目。
とても残念ですが、これが研究の世界です。
2012年4月17日現在、
2名はアメリカ合衆国に、1名は国内の大学で助教のポジションを獲得し、
それぞれの人生を歩んでいます。
企業の研究員で生活が安定しており、比較的自由に研究し、彼らが羨ましがる私ですが、
何か取り残されたような寂しい心境です。
彼らの成果は論文のみ。
共同でやった仕事を論文としてまとめ上げることだけが恩返しと思って、執筆します。
ところで、やり残した仕事の打合せは、アメリカで開催するしかないですかね?