協同乳業研究所 農学博士 松本光晴のブログ

ビフィズス菌LKM512研究スタッフ松本光晴博士が
お腹のためになる情報をお届けします。

2011年08月17日LKM博士
本日、論文が公開されました

本日の午前6時にアメリカのオンラインジャーナルPLoS One(プロス・ワン)に我々の論文が公開されました。

タイトルは
Longevity in mice is promoted by probiotic-induced suppression of colonic senescence dependent on upregulation of gut bacterial polyamine production 
(PLoS One 6(8) e23652)

日本語にすると、
「腸内細菌のポリアミン合成上昇に依存するプロバイオティクス誘導型大腸老化抑制によるマウス寿命伸長促進」
とでも訳せば良いのでしょうか。
余計にわかりにくい様な気もします。

要するに、
「プロバイオティクス(LKM512)投与で腸内細菌にポリアミンを作らせたら、
ポリアミンの効果で大腸の老化を抑えることができ、
最終的に全身の炎症が抑えられて、
マウスの寿命が伸びました!」
という内容です。

これ、かなり凄いことなんですよ!
哺乳類で確実に寿命が伸ばせる方法はカロリー制限(食べる量を減らす)という方法が知られていますが、
カロリー制限なしで自由に餌を食べても寿命が伸びるのです。
このような食品成分は、今注目されているレスベラトロール(赤ワインの成分)しか報告がないのです。
薬品としてはラパマイシンという物質も報告されていますが、それを加えても、私の知る限り、これら2つのしかありません。

長期の試験中に、ビフィズス菌LKM512投与グループとしないグループ(対照グループ)で、明らかにマウスの様子に差が出てきた興奮は今でも覚えています。
長生きするだけではなく、LKM512投与マウスは、毛並が良く、活発なのです。
大腸の様子も全然違って、大腸の老化が抑えられているのが明らかでした。

いやー長かったです。
思い起こせば、2005年に準備を始めた実験ですから、論文発表まで6年間かかったことになりますかね。
しんどかったです。
もう少しレベルの高いジャーナルに掲載されたかったので、残念さも残ります。
審査までは進むのですが、どうしてもクリアできない指摘がありまして大変でした。
ScienceやNature Communicationも門前払いでなく、審査まで進んだのですがね...(今さら無意味に自慢)。

何を指摘されたのか?
それは我々の財産なので秘密です。

論文はフリーで落とせますので、ここ(↓)から読んで下さい。
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0023652
英語ですが...。

英語がうっとおしいという方は、

プレスリリースもしましたので、こちらを参考にして下さい。

近々、皆さんの反応をみながら、このブログでも解説します。

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