2010年03月11日LKM博士
最新論文紹介
Natureの3月4日号(464巻、59-65ページ)に腸内菌叢関連の論文が掲載されました。
メタゲノムという手法を使って糞便中のDNA配列を徹底的に解読し、腸内菌叢を解析した論文です。
メタゲノムとは・・・(んー、一言で説明するのは難しい・・・)、
土壌など(勿論ウンコも)環境中の試料から抽出してきたDNAをそのまま解読し、
解読したDNA配列をデータベース上に存在しているDNA配列と比較して、何由来のDNAかを調べる手法です。
どの菌種という情報以外にも、どのような機能を持った遺伝子が存在しているかということもわかります。
例えば、「炭水化物を分解する腸内細菌由来の遺伝子が多い」なんてこともわかります。
ややこしいですが、
これまでは単一菌種由来のDNAを必死で解読していたのに対し、
この手法では、腸内菌叢のような多様な細菌由来DNAの混合物がそのまま一気に解読できるのです。
つまり、100種類の細菌が棲息していたとしても、一度の解析で、ほぼ確実にそれらのDNAが全て検出できるようになるのです。
こんなことができるようになったもの、DNAシーケンサー(解読装置)が進化し、
次世代型シーケンサーというものが開発されたためですが、
ややこしいのでこの話はストップします。
この論文では、124名の糞便を解析し、
ヒトの腸内細菌は1,000-1150種存在し、
各人には少なくとも160種類の菌種が棲息し、
多くの被験者に共通して定着している菌種も多数確認できた。
ということが述べられています。
腸内細菌は一体何種類いるのか?
という疑問は、大体決着がついたのではないかと思います。
凄い技術ですが、この分析にはお金はかかりますよー。