2016年08月22日LKM博士
古代のチーズ「蘇」
蘇をご存知であろうか?
"そ"と読む。
日本最古のチーズといわれているものである。
飛鳥時代に身分の高い人々が口にしていた貴重な食物とされている。
この時代、タンパク質不足であったであろうから、
滋養強壮食品としても効果が抜群であったと思われる。
これらの方々も間違いなく口にしていた事であろう。
推古天皇、聖徳太子
曽我馬子、曽我蝦夷、曽我入鹿
中大兄皇子(天智天皇)、中臣鎌足・・・
蘇に関しては、日本史で習った人、
或いは食品分野から学んだ人もいるであろう。
とはいえ、存在を知っていたとしても、なかなか口にする機会はない。
先日、実家に帰った時に久しぶりに明日香(あすか)に行った。
ややこしいが、場所は「明日香(村)」、
ここに都があった時代を「飛鳥」時代と称する。
飛鳥寺の脇の売店で復元された「蘇」が静かに販売されていた。
原材料は100%牛乳。
一切添加物が入っていないため、
過剰な甘さやフレーバー慣れしている現代日本人にとっては物足りない風味であり、
誰もが喜ぶとは思えなかったが、
職場の土産として購入を決断した。
少々香ばしく、ほんのり甘く、まさに凝縮された牛乳で、
外側組織のクッキーっぽい食感もなかなかよく、
意外と評判が良かった。
奈良県出身で、
学生時代に乳製品製造学を専攻し、
現在乳業メーカーの研究所で働いている私。
よく考えると、私を待っていたかのような土産である。
大量生産できないため殆ど出回っていないと思われるが、
もし飛鳥に行く機会があれば、是非購入して頂きたい。
食べながら、食と歴史と文化を語り合うことができる、お薦めの逸品である。
以上
勝手に奈良県観光大使より