協同乳業研究所 農学博士 松本光晴のブログ

ビフィズス菌LKM512研究スタッフ松本光晴博士が
お腹のためになる情報をお届けします。

2019年06月12日LKM博士
論文が掲載されました(Nutrients)

令和に入って最初の論文アクセプト(受理)です!
Nutrientsという欧州のジャーナルに掲載されました。

タイトル
Endothelial function is improved by inducing microbial polyamine production in the gut: A randomized placebo-controlled trial
血管内皮機能は腸管内で腸内細菌のポリアミン産生誘導により改善される:無作為化二重盲検試験

我々は、20年近く、地道に腸管細菌を使ってポリアミンを増やす技術開発やそのメカニズムの研究を行ってきました。
今回、一歩進めて、その技術を応用したヨーグルトを作製してヒト試験を行いました。
BMIが高めの健常成人に12週間食べてもらったところ、
仮説通り、血管内皮機能が改善されたという結果をまとめたものです。

血管内皮機能とは、いわゆる血管の「しなやかさ」といっても過言ではないと思います。
動脈硬化発症プロセスの最初に生じるのが血管内皮機能の低下ですから、
これが改善されることは、動脈硬化予防に有効であるということを示しています。

ポリアミンが動脈硬化を含む心血管疾患を予防する機能を有する可能性は、複数の研究者が考えていたことですが、ヒトで効果が確認された最初の報告となります。

また、ポリアミンを高濃度含む食品を摂取するのではなく、腸内細菌を利用してポリアミンを作らせるというアプローチでの効果確認も腸内細菌研究においてはとても大事なことと考えています。
つまり、口から食したものは吸収・利用されたらそれっきりですが、腸内細菌に作ってもらえることができれば、多少腸から吸収されようが、条件さえ整っていれば、腸内細菌は年中無休で活動しておりますので、しばらくの間は作り続けてくれるのです。
従って、腸内細菌を利用することで、生体に供給できる生理活性物質の量が増える、今回の場合はポリアミンの量が増えると、私は考えております。(これを証明するのがとても難しいのですが...)

詳細は、論文内容はリリースにまとめてあります。
https://www.lkm512.com/contents/20190612.pdf

原文はここにあります。
https://www.mdpi.com/2072-6643/11/5/1188/htm

ヨーグルトは秋に発売予定です。

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