研究結果報告 ビフィズス菌でアトピーのかゆみを軽減?! プロバイオティクスビフィズス菌LKM512による成人型アトピー性皮膚炎軽減効果

アトピーのかゆみが軽減される傾向に!

症状が中程度の成人型アトピー性皮膚炎患者10名に、 1 日100 グラムのLKM512含有ヨーグルトおよびプラセボを4週間摂取してもらい、 摂取前と摂取後に糞便および血液を採取し分析しました。 その結果、LKM512含有ヨーグルトを食べることで、 自覚症状のアンケート結果では「かゆみ」が改善される傾向が認められました。 見た目が改善された被験者もあり、 4週間という短期間にもかかわらず予想以上の効果が得られました。

LKM512ヨーグルトプラセボ
皮膚症状Score(平均値)*1改善患者数*2Score(平均値)改善患者数
痒み0.5(4/10)0.1(1/10)

*1改善された:+2、少し改善された:+1、変化無し:0、少し悪化した:-1、悪化した:-2
*2「少し改善された」および「改善された」と回答した人数/症状のあった患者数
*Scoreの値が高いほど、皮膚症状が改善されたことを示します。

出展:Matsumoto M, Aranami A, Ishige A, Watanabe K, Benno Y. (2007) LKM512 yogurt consumption improves the intestinal environment and induces the Th1-type cytokine in adult patients with intractable atopic dermatitis. Clin. Exp. Allergy 37: 358-370.

成人型アトピー性皮膚炎患者は腸内ポリアミン濃度が低い!

近年急増している成人型アトピー性皮膚炎患者は健常成人と異なる腸内菌叢を形成しており、
腸内ポリアミン濃度が低いことが確認されています(図1)。

図1.成人型アトピー患者と健常成人の腸内ポリアミン濃度
図1.成人型アトピー患者と健常成人の腸内菌叢および腸内ポリアミン濃度
左の図は、網羅的解析を用いて成人型アトピー性皮膚炎患者と
健常成人の腸内菌叢を比較したものです。
数字は被験者番号を示し、赤字は成人型アトピー性皮膚炎患者を示します。
()内の数字は、被験者数の内の成人型アトピー性皮膚炎患者数を表しています。
腸内菌叢はアトピー性皮膚炎患者の割合が高い群と低い群の2つに分かれ、
各群のポリアミン濃度を比較すると、
アトピー性皮膚炎型群のプトレスシンおよびスペルミン濃度が
健常成人群より低いことが認められました。

大腸内ポリアミンが減少すると大腸の防御機能が低下し
有害物質が体内に侵入しやすくなります。
アトピー性皮膚炎患者は腸管バリア機能が脆弱化しており、
アレルゲンが腸から入りやすい状態になっています。

ポリアミンが十分に存在していると大腸の防御機能が高まり
有害物質の侵入を防ぎます。

出展:Matsumoto M, Kakizoe K, Benno Y. (2007) Comparison of fecal microbiota and polyamine concentration in adult patients with intractable atopic dermatitis and healthy adults. Microbiol. Immunol. 51: 37-46.

LKM512ヨーグルト摂取で腸内ポリアミン濃度が上昇

図2.LKM512ヨーグルト摂取による腸内ポリアミン濃度の変動

LKM512含有ヨーグルトを摂取したアトピー患者の腸内ポリアミン濃度を調べたところ、腸内菌叢が著しく変動し、ヨーグルト摂取期間中の腸内ポリアミン濃度が上昇しました(図2)。

ポリアミン濃度が上昇した結果、脆弱化していた成人型アトピー性皮膚炎患者の腸管バリア機能が回復し、アレルゲンの侵入機会を減少させることが可能になったと考えられます。

出展:Matsumoto M, Aranami A, Ishige A, Watanabe K, Benno Y. (2007) LKM512 yogurt consumption improves the intestinal environment and induces the Th1-type cytokine in adult patients with intractable atopic dermatitis. Clin. Exp. Allergy 37: 358-370.

図2.LKM512ヨーグルト摂取による腸内ポリアミン濃度の変動

免疫バランスも反アレルギー型にシフト

また、別の研究では、花粉症患者の血液から回収したリンパ球にポリアミンを添加して培養すると、アレルギー型のサイトカイン(リンパ球等から分泌される主として免疫系に作用する物質の総称)の産生量が減少することが確認されています。ポリアミンは免疫バランスが崩れた時に、そのバランスを整える作用があると推測し、現在研究中です。

出展:Matsumoto M, Kimata H, Benno Y, Kamio S. (2008) Impact of spermine on down-regulation of Th2 cytokines in peripheral blood mononuclear cells from cedar pollinosis subjects in vitro. Biosci. Biotech. Biochem. 72: 1604-6.